事故詳細

(事故No,19641123a)

 1964年11月23日午後2時9分、イタリア・ローマ発ギリシア・アテネ行きトランスワールド航空800便ボーイング707-331(N769TW)が、ローマ・フィウミチーノ空港を離陸の際に滑走路を逸脱し、地上車両に衝突し炎上した。
 この事故で、乗員11名、乗客62名、計73名のうち、乗員5名、乗客45名、計50名が死亡した。
 事故機は午後2時5分、離陸滑走を開始したが、80ノットを超えて加速中に第4エンジンのEPR(engine pressure ratio)が推力ゼロを示し、第2エンジンのスラストリバーサー展開を示す警告灯が点灯した。運航乗務員は離陸滑走開始から滑走路を800〜900m進んだ地点でV1に達する前に離陸中止を決断した。しかし、事故機の減速は期待されるよりも遅く、滑走路を走過するとともに右に逸脱し第4エンジンが舗装ローラーに衝突した。衝突により発火した事故機はさらに260m走り、炎に飲み込まれた。
 第2エンジンの逆噴射装置は故障しており、コックピットの計器では認識できない損傷を受けていた。即ち、第2エンジンのニューマティック・クラムシェル・ドア・アクチュエーティング・メカニズムに繋がるダクトが外れており、クラムシェル・ドアを動かし逆噴射装置を働かせるのに必要な空気圧を確保出来なかった。結局、4基のエンジン全てのレバーが逆噴射に操作されても第2エンジンだけは逆噴射にならず通常の推力を出し続け、減速を妨げた。
 事故機は1960年に製造された。


(C)2004 外山智士
ホームページに戻る 民間航空データベーストップページに戻る 世界の航空事故総覧トップページに戻る 全件表示に戻る 年代別検索に戻る 航空会社別検索に戻る 機種別検索に戻る 事故発生国別検索に戻る