1962年9月23日世界標準時10時頃、カナダ・ニューファンドランド州ガンダー発西ドイツ(当時:現ドイツ)・フランクフルト行きフライングタイガーライン923便ロッキードL-1049H-82スーパーコンステレーション(N6923C)が、巡航中にアイルランド西方沖約800kmの北大西洋上に墜落した。
この事故で乗員8名、乗客68名、計76名のうち乗員5名、乗客23名、計28名が死亡した。
事故機はアメリカ軍のチャーター便としてガンダーを世界標準時午後5時9分に出発した。出発約3時間後、高度21000ftを飛行中に第3エンジンで火災が発生した。パイロットは第3エンジンを停止し、プロペラをフェザーにセットした。5分後、今度は第1エンジンで速度超過が発生し、この際フライトエンジニアは誤って第1エンジンのファイアーウォール・シャットオフ・バルブを閉じてしまった。このため第1エンジンは間もなく停止し、運航乗務員の再始動の努力も実らなかった。事故機はアイルランド・シャノンへの緊急着陸を決め、第4エンジンをMETOパワーにし、第2エンジンの出力を下げた。程なく第2エンジンにも故障が発生し、推力を失った。この時点で遂に運航乗務員は不時着水を決断し、着手した。着水の衝撃により左主翼は破壊されたが、客室部分は原形を留めた。客室は瞬く間に水で満たされ、機体は着水から約10分後に機首部から海中に没した。
事故原因として、4基搭載されたエンジンのうち2基が故障したことに加え、副操縦士の不適正な操作によりもう1基が使用出来なくなったことにより不時着水が必要となったことが挙げられた。
事故機は1957年に製造された。