(事故No,19620603a)
1962年6月3日午後0時35分、フランス・パリ発アメリカ・ニューヨーク経由ジョージア州アトランタ行きのチャーター便のエールフランスのボーイング707-328(F-BHSM)が、パリ郊外のオルリー空港を離陸滑走時にローテーションすることが出来ずにオーバーランし激しく炎上した。
この事故で、乗員10名、乗客122名、計132名のうち、乗員8名、乗客122名、計130名が死亡し、客室乗務員2名が重傷を負った。
事故調査の結果、水平安定板のトリムが2ユニットも余分に機首下げ方向にセットされていたことが分かった。水平安定板のトリムが誤ってセットされていた原因として、トリム・サーボ・モーターの故障が考えられたが、証明は出来なかった。実機試験の結果、トリムを事故機と同じ設定にしても、引き起こしに強い力が必要なものの離陸に支障はないことが確認されたが、事故機の機長にはこの点に関する知識は不充分であった。機長は重い昇降舵に墜落の危険を感じ、オーバーランを覚悟で離陸を中止し事故に至った。
本件は、当時単独機としては世界の航空史上最悪の事故であった。