事故詳細

(事故No,19601004a)

 1960年10月4日午後5時40分頃、アメリカ・マサチューセッツ州ボストン発同国ペンシルベニア州フィラデルフィア経由同国ジョージア州アトランタ行きイースタン航空375便ロッキード188Aエレクトラ(N5533)が、ボストンのローガン国際空港を離陸直後にウインスロー湾に墜落した。
 この事故で乗員5名、乗客67名、計72名のうち、乗員3名、乗客59名、計62名が死亡し、乗員2名、乗客8名、計10名が救助された。
 NTSBの調査によると、事故機は、離陸直後にホシムクドリの大群に突っ込んだために、バードストライクで4基のエンジンのうち第1エンジンが停止し、第2、第4エンジンの出力も一時的に低下した。パイロットはエンジンの推力を上げて対応しようとしたが、左右の推力不対称により操縦が不安定となった後、全てのエンジンが停止し、失速に陥りスピンしながら、沖合150mの海上に墜落した。
 なお、後に遺族が起こした民事訴訟において、遺族は、第3エンジンが正常で第2、第4エンジンもすぐに出力を回復していることから、高度・速度とも維持可能であり、墜落には結びつかないこと、パイロットが急激な機首上げ操作をしていることなどを指摘し、イースタン航空の整備記録の提出を求め、調査した結果、事故の6週間前に離着陸時に副操縦士席が突然後ろに下がるというインシデントが発生していたこと、この副操縦士席の整備にあたり、イースタン航空では正規の部品がなかったため、長さの異なるワイヤで代用していたが、これ以後副操縦士席は決まった位置に固定できないまま運航されていたこと、事故の2週間前に整備の機会があったが、この時も正規部品に交換されることはなかったことがを明らかにした。これらの事実を踏まえて裁判所は、事故原因をバードストライク後の上昇中に副操縦士席が急に後ろにずれ、副操縦士が握っていた操縦桿が引き上げられたため失速し墜落したものと認定した。

◎関連文献(刊行年順)
著者名書 名出版社刊行年頁 数
デビッド・ゲロー「航空事故」(増改訂版)イカロス出版1997年37頁
宮城雅子「大事故の予兆をさぐる」講談社(ブルーバックス)1998年248頁〜250頁
上記文献のうち現在も流通しているものについてはこちらで入手できます。
 


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