1956年6月30日午前11時30分、アメリカ・カリフォルニア州ロサンゼルス発同国ミズーリ州カンザス・シティー経由同国ワシントンD.C.行きトランスワールド航空2便ロッキード1049スーパーコンステレーション(N6902C)と同国カリフォルニア州ロサンゼルス発同国イリノイ州シカゴ経由同国ニュージャージー州ニューアーク行きユナイテッド航空718便DC-7(N6324C)が、同国アリゾナ州北部のグランドキャニオン上空高度21000ftで空中衝突し、両機とも墜落した。
この事故でトランスワールド航空機の乗員6名、乗客64名、計70名とユナイテッド航空機の乗員5名、乗客53名、計58名の合計128名全員が死亡した。
ユナイテッド航空機は衝突の直前にトランスワールド航空機を視認し、管制に「我々は衝突する」と叫びながら右に急旋回して回避しようとしたが間に合わなかった。
ユナイテッド航空機は、21000ftの管制承認を受けており、トランスワールド航空機は雲層の上1000ftを飛行する管制承認を受けた。奇しくもこの高度がユナイテッド航空機の飛行する21000ftに重複していた。しかも両機はそれぞれ管制に午前11時31分にペインテッド・デザート上を通過予定であると伝えていた。しかし、管制官は両機に双方の情報を伝えることはなかった。アメリカ民間航空委員会(CAB)は公聴会でこの点を管制官に尋ねたが、ペインテッド・デザートは約280Kmの幅があり、このどこを通過するか特定できないため通過予定時間が同じであっても必ずしも危険ではないことと、空中衝突地点は航空管制区域外であり、有視界飛行方式の原則どおりパイロットは自己の責任に基づいて視認飛行しなければならないことを主張した。
◎関連文献(刊行年順) |
著者名 | 書 名 | 出版社 | 刊行年 | 頁 数 |
デビッド・ゲロー | 「航空事故」(増改訂版) | イカロス出版 | 1997年 | 21頁〜23頁 |
デイヴィッド・オーウェン | 「墜落事故」 | 原書房 | 2003年 | 145頁〜147頁 |