1956年2月18日午後1時20分、マルタ共和国・マルタ島からイギリスに向かっていたスコットランド航空(本社:イギリス)のアブロ・ヨーク(G-ANSY)が、マルタ島ルクア空港を離陸直後、メディタレニアン島南海岸のチェリエック近郊の崖に墜落した。
この事故で乗員5名、乗客45名、計50名全員が死亡した。
離陸時に第1エンジンから煙を出し、離陸後も左に流されながら傾き、墜落に至った。第1エンジンの過給器の螺旋パイプに過重と腐食を原因とする2箇所の亀裂が発生し、第1エンジンに供給される混合気が希薄になり、不完全燃焼によるバックファイヤーが第1エンジン内で連続して起こった。この結果オーバーヒートとなり過給器が完全に故障し、第1エンジンが停止した。しかし、第1エンジンの故障だけでは墜落することはなかったはずであり、むしろ左方向への機体の偏向を舵で修正しなかったばかりか、第1エンジンのプロペラをフェザーにすることもなく、そのうえフラップを全て格納したことで失速速度を早めてしまったパイロットの操縦に問題があるとされた。
事故機の乗客は全てイギリス航空省の職員であり、イギリス航空省のチャーター便として運航されていた。