事例詳細

(事例No,20050724ji)

 2005年7月24日午前7時57分頃、羽田発新千歳行き日本航空インターナショナル1001便ボーイング777-300(JA8945)が、新千歳空港に着陸の際、エンジン2基ともの逆噴射レバーが引けなかった。同機はスポイラーとブレーキ操作のみで停止した。
 運航乗務員2名、客室乗務員11名、乗客271名、計284名は全員無事であった。
 本件発生当時、滑走路面は乾いた状態であり、若干距離は伸びたものの、ほぼ通常の制動距離で停止した。
 同機は、同便の運航前7月19日〜7月23日まで、子会社のJAL航空機整備東京で機体塗装を受けており、その際に、作業員が左右両エンジン内の逆噴射装置に安全ロックピンを取り付け、塗装作業中に作動しないようにしたが、整備終了時に抜き忘れたのが原因であった。安全ロックピンには抜き忘れを防ぐため吹き流し(幅5cm、長さ40cm)がついていたが、塗装作業の邪魔になることから内部にしまって塗装していた。塗装作業終了時に別の作業員がチェックしたが、安全ロックピンが抜かれていると思い込み内部のチェックを行わなかった。日本航空インターナショナルは、引渡し時と出発前に点検を行っていたが、逆噴射装置は点検対象となっていなかったため安全ロックピンのチェックを行わなかった。作業は約40名の作業員が2交代で行っていた。
 同月26日、国土交通省は重大なミスとして、日本航空インターナショナルを文書での厳重注意処分とし、再発防止策の提出を求めた。
 日本航空インターナショナルでは、本件の発生を受けて、同社常務整備本部長の8月分役員報酬を10%カットする社内処分を発表すると共に、安全対策として、子会社の格納庫出入り時の作業指示書を改定しに安全ロックピンの取り外しを目視で必ず確認することを加えること、全整備関係者に周知を行う、委託先管理の徹底などの対策を行う旨発表した。日本航空インターナショナルは、7月26日付で同社ウェブサイトに本件に関するお詫びを掲載した。


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