事例詳細

(事例No,20050523ji)

 2005年5月23日午前11時40分頃、羽田発那覇行き全日空123便ボーイング747-400が、那覇空港に最終進入中、滑走路上に2機の航空自衛隊南西航空混成団(那覇基地)所属F4ファントムがいたため、管制官から着陸復行を指示され、着陸復行した。同機は約30分後に定刻から47分遅れの午後0時12分に那覇空港に着陸した。
 乗員乗客576名は全員無事であった。
 本件発生当時2機の航空自衛隊機は、管制官の許可を得て滑走路上でエンジンの試運転を行っていた。管制官が滑走路から出るように指示したが間に合わないため、全日空機に着陸復行の指示を出した。全日空機は、その時点で滑走路の手前約5kmの地点を高度約100mで飛行しており、着陸まで1〜2分しかなかった。
 国土交通省大阪航空局那覇空港事務所は、全日空機の着陸までに余裕があると判断したためにエンジン試運転のために滑走路へ進入することを許可したが、航空自衛隊機が滑走路を離脱するのに通常よりも時間がかかったために全日空機に着陸復行を指示したとし、運航計画や管制官の指示に問題はなく管制官の判断ミスではないとした。
 これに対し、航空自衛隊那覇基地渉外室は、通常の手順通り、管制官の指示に基づいて動いており、訓練に時間がかかったとは認識しておらず、通常通り、最大でも5分間の試運転だったと認識しているとして、航空自衛隊機に問題はなかったとした。
 那覇基地によると、エンジンの試運転は滑走路の末端に停止して行い、試運転後は滑走路を離れ基地に戻る形で行われている。出力を全開にするため、地上の物件に影響を与えないように滑走路上で試運転する必要があるという。時間帯は特に決まっていないが、通常1日1回、午前7時30分頃に行うところ、当日はその時間帯の天候が悪かったために、午前11時40分頃に変更していた。2機の航空自衛隊機は、スクランブルに備えるために配備されている4機のうちの2機であった。
 本件の発生によって、他機の発着には影響は出なかった。


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