事例詳細

(事例No,20050330ji)

 2005年3月30日午前1時10分過ぎ頃、日本航空インターナショナルのボーイング747-300が、羽田空港で牽引車に牽引されて誘導路を移動中に誘導路脇に設置された不法侵入防止用の監視カメラの支柱に左主翼を接触させた。
 同機は、洗機のため洗機場に移動中で、搭乗者はいなかった。接触により左主翼は激しく損傷した。監視カメラは、国土交通省東京航空局が3月19日に設置したもので、誘導路中心線から25mしか離れていなかったため接触した。設置基準などは定められていないが、大型機の通行を想定した場合、45m以上離して設置する必要があった。国土交通省は、カメラの設置場所が不適切であったとして日本航空に謝罪した。
 4月20日、国土交通省は、設計会社が縮尺に誤りのある地図を用いて設計し、その設計図に従ってカメラを設置したことと、完成後に同省が行った検査で距離を測定しなかったために誤りに気づかなかったことが事故原因であったことを明らかにし、同省も発注者としてチェック体制や責任分担が明確でなかったことを認め、関係者の処分と、機体の修理が完了後に主翼の修理費用の補償を行うことを発表した。
 4月21日、国土交通省は、本件監視カメラの他に、監視カメラとセンサー計2基が、誘導路から安全な間隔がない状態で設置されていたことと、本件発生直後に本件監視カメラとともにこれらも撤去していたことを明らかにした。


(C)2005 外山智士
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