2004年6月5日午後0時50分頃、成田発タイ・バンコク行き日本航空(インターナショナル)717便ボーイング747-200が、鹿児島県奄美大島上空高度約10700mを飛行中に、機内火災のため那覇空港への緊急着陸を要請した。同機は午後1時25分頃、那覇空港に着陸し、国際線ターミナルに駐機した後、午後1時45分頃乗客が降機し、国際線ターミナルの待合室で待機した。
乗員乗客223名は全員無事であった。
午後0時50分頃、昼食が終わり食器の回収が行われている最中にプラスチックの焦げるような異臭が漂いだし、直後に客室後部左側の座席番号60番付近の手荷物入れと天井の間の隙間からパチパチという音とともに火花が散り、灰色の煙が噴き出した。この際火元のほぼ真下に座っていた乗客は数十センチの炎を目撃した。乗客の連絡により駆けつけた客室乗務員は消火器を用いて程なく消火し、後部の乗客十数名におしぼりや毛布を口に当て前方の空席に移るよう指示した。後部客室を中心に煙と消火剤が拡散、充満し数分間は異臭が消えず、出火元付近では黒いすすも飛び散ったが、発火当初に悲鳴をあげた乗客がいた他は乗客に大きな混乱はなかった。その後しばらくして機体後部で煙が出たことと、那覇空港に緊急着陸することを伝える機内アナウンスが行われた。火元から離れた客室前方部では、事態が理解できない乗客もいた。
同機は午前11時13分成田空港を離陸し、バンコクには現地時間午後3時30分に到着予定だった。
機内火災の一報を受けた那覇市消防本部では、消防車や救急車など約10台を出動させて待機、着陸後の同機を取り囲んだ。機体停止後、消防隊員が機内に入り安全を確認した。
緊急着陸後、整備士らが機内を点検したところ、座席番号60番付近の天井手荷物入れ内の間接照明用の蛍光灯の安定器がショートして火花が散り、配線が切断していたことが分かった。運航に支障がないため機材交換は行わずに、部品を交換し修理した後、念のため蛍光灯回路を切って、午後4時56分バンコクに向けて再度出発し、定刻より約3時間遅れの現地時間午後6時39分(日本時間午後8時39分)バンコクに到着した。
本件の発生により那覇空港への到着便1便に約4分の遅れが出た以外は、同空港への発着便に大きな影響はなかった。