2004年1月7日午前10時15分頃、鹿児島発大阪(伊丹)行き日本エアシステム(日本航空インターナショナルの前身)650便MD-87が、宮崎県上空を上昇中、左エンジンに異常振動及び異常音が発生した。機長は同エンジンを停止させ、午前10時30分頃鹿児島空港に緊急着陸した。乗員5名、乗客85名、計90名は全員無事であった。
同機は、午前9時56分に鹿児島空港を離陸した。
調査の結果、高圧コンプレッサー内に設けられたエンジンの空気の流れを整える8段目のステーター(羽根)に亀裂が発見された。この部分にはステーター環状枠と合金製羽根片(長さ約10cm、幅約3cm)のつなぎ部分を補強するため、ニッケル合金で接着させる「ろう付け修理」が施されていた。
同社で同型のエンジンを使用しているMD-81及びMD-87全機を緊急点検したところ全25機のうち、18機(エンジン単位では予備も含めて52基中21基)から亀裂が発見され、亀裂が発見された機材の運航を停止した。運航停止により機材繰りがつかなくなったため、1月19日から2月7日までの間、計596便が欠航し、約4万人の旅客に影響が出た。本件による日本エアシステムの減収額は約5億円に及んだ。ダイヤの早期正常化のために同社では、エンジンをリースで調達したり、日本航空(日本航空インターナショナルの前身)から予備機材の提供を受けるなどし、当初予想された2月末よりも早期に混乱を収束させた。
国土交通省航空局は2004年2月24日、日本エアシステムに対し、ろう付け修理が行われたエンジンを飛行時間500時間ごとに内視鏡検査するよう耐空性改善通報を出した。