事例詳細

(事例No,20030220ji)

 2003年2月20日午後8時54分頃、羽田発青森行き日本エアシステム(日本航空インターナショナルの前身)169便エアバスA300B4-622R(JA8565)が、青森空港に着陸の際にオーバーランし、前脚が滑走路南西端から西側の草地に逸脱して停止した。
 乗員9名、乗客141名、計150名に怪我はなかった。
 同機は、全長2500mの滑走路に北東からILSアプローチで着陸したが、南西端で止まりきれず、60mの過走帯をも走過し、緑地帯の草地に約30m入ったところで停止した。機体に損傷はなかった。
同機は滑走路周辺の積雪により自力走行が不可能となり、除雪作業が終了した同日午後10時50分まで、乗員乗客は機内に足止めされた。
 事故当時空港周辺の天候は弱い降雪で、視界は約2kmと不良、北北東から7mの風が吹いていた。視界不良のためILS進入を行う必要があり、青森空港のILSは北東側からの進入にのみしか対応していないため追い風の中の着陸となった。また、同機が着陸する約30分前に滑走路の除雪作業が終了したが、着陸時の路面には氷結と積雪があったと伝えられる。
 同機は午後5時55分に羽田空港を発ち、午後7時5分に青森空港に到着する運航スケジュールであったが、青森空港の滑走路除雪作業による滑走路閉鎖のため羽田空港を出発するのが約1時間10分遅れ、さらに青森空港上空でも滑走路の除雪作業終了を待つために上空待機した後の着陸となった。
 機体の撤去作業は21日早朝に作業員約40名を投入して開始され、22日午後8時39分に終了した。
 青森空港は同日午後9時過ぎから22日午前7時30分まで滑走路を閉鎖した。この影響で同日の青森着の1便が羽田に引き返したほか、21日に同空港を発着する予定の32便全便が欠航し、約2400名に影響が出た。国土交通省は本件を重大インシデントに指定した。
 2003年9月26日、国土交通省航空・鉄道事故調査委員会は、悪天候の中、着陸復行が適切に行われなかったことを主な原因とする報告書をまとめた


(C)2004-2006 外山智士
他項目へのリンク(クライアントサイドイメージマップ)