2003年1月27日午後9時49分頃、韓国・仁川発成田行きエアジャパン908便ボーイング767-300(JA605A)が、成田空港B滑走路(暫定平行滑走路)をオーバーランした。
乗員10名、乗客92名、計102名に怪我はなかった。乗客はバスでターミナルビルに移送された。
事故機は滑走路の南端で止まりきれずに滑走路端に設けられている長さ約60mの過走帯を右に偏向しながら走過して、前脚が舗装路部分から南側に逸脱し、芝生の緑地帯に10m入った地点で航空灯火に衝突して停止し、右主脚も舗装路を西側(右側)に逸脱した。滑走路の誘導路灯、補助灯各1器が壊れるなど空港施設の一部が損傷したが、機体には損傷はなかった。
しかし、前脚と右主脚は折からの雨によってぬかるみとなった緑地帯に30cm〜40cm程度はまり込んでいたため、同機を移動させる作業は困難を極め、親会社の全日空等から100名以上の作業員が出て牽引車などを用いて徹夜で作業にあたり、翌28日午前6時55分、事故直後から閉鎖されていた同滑走路は再開した。ダイヤに影響はなかった。
事故当時空港周辺は、強い降雨で、最大13mの西からの追い風気味の風が吹き、視界不良であった。
暫定平行滑走路は全長2180mで、2002年4月に供用を開始した。南端先約200mの成田市東峰地区には空港反対派農家や畑、神社、漬物工場など空港計画地の未買収地が点在している。
2003年9月26日、国土交通省航空・鉄道事故調査委員会は、追い風の中で速度超過のまま、滑走路の中央付近で接地した点を指摘し、距離が短い滑走路に着陸するのに必要な注意を怠ったことを主な原因とする報告書をまとめた。報告書によると事故機は暫定滑走路の北端から940m地点に接地したが、速度超過のため再び浮揚し、4秒後に北端から1250mの地点に接地した。残りの滑走路では停止しきれず、緑地帯で停止した。運航乗務員は着地地点や速度超過を適切に把握しておらず、着陸復行すべきであったとしている。
成田空港でのオーバーラン事故は1978年の開港以来本件が初めてであった。国土交通省は本件を重大インシデントに指定した。