事例詳細

(事例No,20010627ji)

 2001年6月27日午前11時6分頃、名古屋発タイ・バンコク行き日本航空(日本航空インターナショナルの前身)737便DC-10-40(JA8531)が、名古屋空港を離陸上昇中に右主翼の第3エンジン(JT9D)に異常が発生し、エンジン内部の部品の小石大の破片数百個が空港の北西約800mの住宅密集地に落下した。同機は同エンジンを停止して燃料を投機した後、11時48分に同空港に緊急着陸した。
 この事故で運航乗務員3名、客室乗務員10名、乗客187名、計200名は無事であったが、地上にいた男性1名が破片に触って軽い火傷を負ったほか、付近の住宅の屋根や車に被害が出た。
 着陸後に機体を点検したところ、エンジン内のタービン(圧縮機)の15段の羽根のうち後ろの4段が集中して損傷しており、地上に落下したのは羽根の破片であった。メーカーによる調査の結果、エンジン内の高圧タービンの2段目のブレード(羽根)先端に穴が開いたことで、金属疲労が進み、102枚のブレード全てが破損したことが原因だったことが分かった。
 本件の発生を受けて、エンジンメーカーのプラット・アンド・ホイットニー社は、JT9Dについてタービンブレードを飛行時間2000〜3000時間毎に内視鏡で腐食点検するように各航空会社に指示し、日本航空でも2500時間毎に点検するよう改めた。しかし、2005年8月12日には再び同種の事例の発生を見ることとなる。


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