2000年9月11日午後5時頃、名古屋発佐賀行き全日本空輸559便エアバスA320が、佐賀空港に進入中、高度300mの地点で機長(53)が意識不明になり、副操縦士が2分後、同空港に着陸させた。乗員6名、乗客10名、計16名は無事であった。機長は病院に運ばれたが意識不明の重体となり8日後に死亡した。操縦中の操縦士が急に意識不明になったケースは、国内の航空会社では国際線も含めて前例がない。同機では、機長の指示で主に副操縦士が着陸操作を行っていた。
機長が意識不明になった原因は、脳血管障害であった。機長は7年前に高血圧のため1年間ライセンスを停止され、乗務から外れていたが、それ以降も通院し、降圧剤を服用し血圧を下げていた。航空法に基づく航空身体検査では今年の検査でも異常は認められなかった。なお、機長の当日の乗務は、仙台―名古屋、名古屋―青森、青森―名古屋、名古屋―佐賀の4便で、乗務時間は規則の制限内であった。乗務員の証言では離陸時、機長は疲れているように見えたが、それ以外に異常はなかったという。