2005年3月28日午後6時11分頃、台湾・台北発成田行きエバー航空2196便エアバスA330-200(B-16306)が、成田空港の南南東約100kmの東京都新島の西約20kmの太平洋上空高度約10700mを降下中に乱気流に巻き込まれた。同機は午後6時29分頃、成田空港に緊急着陸した。
この事故で、乗員16名、乗客251名、計267名のうち乗客1名が重傷を負い、乗員10名、乗客38名、計48名が軽傷を負った。乗客の国籍は、台湾が140名、日本が104名、その他が7名、乗員の国籍は、台湾が12名、日本が3名、タイが1名であった。
重傷者の74歳の台湾人女性は、病院での検査の結果、頸椎を骨折していた。軽傷者の多くは打撲や気分不良で、空港内のクリニックや成田市内の病院に搬送された。
同機は、午後4時11分に台北を離陸した。
乗客の証言などによると、着陸態勢に入るため高度を下げる旨の機内アナウンスがあり、ベルトサインが点灯した直後に機体が急激に降下したという。2回にわたり大きく上下に揺れ、負傷者の多くは、シートベルトの着用が間に合わずに体が浮き上がり天井で頭をぶつけたり、床に投げ出された。負傷して出血した者もいた。機体後部を中心に天井や壁の一部が破損し、頭上の手荷物入れに収められていた手荷物が散乱した他、酸素マスクが落下するなどした。機内アナウンスは英語と中国語で行われており、乗客の中にはよく聞き取れなかった者もいた。
成田航空地方気象台では、同日早朝から日本の南の海上で乱気流が発生するおそれがあることについて国際空域悪天情報を発表し、周辺の航空機に注意を呼びかけており、午後1時17分には飛行場気象情報を発表し、午後6時13分には雷に関する飛行場気象情報を発表するなどしていた。但し、これらの情報は文字情報で航空機に提供されるために、パイロットが情報を引き出さない限り確認出来ない。また、本件発生以前にも複数の航空機から空港当局に乱気流遭遇の情報が寄せられていた。
事故調査委員会の調査の過程で、2回目の揺れは最初の揺れから8分後、高度約7500m地点で発生していたことが分かった。負傷者の大半は最初の揺れで負傷していた。
本件の影響で、同機を使用予定の折り返し便であるエバー航空2195便が欠航となり、同便の乗客214名は翌日の臨時便で台湾に向かった。
本件の発生は日本の領空内と見られることから、国土交通省は本件を航空事故に指定した。
エバー航空は1989年に設立された台湾に本社を置く航空会社で、世界40都市以上に就航しており、日本では成田、関西、福岡、新千歳、仙台と台北を結んでいる。
事故機は2003年に製造された。