事故詳細

(事故No,20030607ja)

 2003年6月7日午前8時27分頃、福岡発関西行き日本航空(日本航空インターナショナルの前身)322便ボーイング767-300(JA8980)が、福岡空港で地上走行中、滑走路の手前で停止する際に急ブレーキとなった。
 この事故で、運航乗務員3名、客室乗務員6名、乗客232名、計241名のうち、着席せずに業務を行っていた客室乗務員4名が転倒して負傷し、うち1名は肋骨を骨折する重傷を負った。
 本件発生当時、同機は離陸のため誘導路E-1上を滑走路に向けてタキシングしていた。発生直後、負傷者の負傷の程度は乗務に支障がないことを確認したうえで、予定通り関西空港まで運航を継続した。国土交通省は本件を航空事故に指定した。
 国土交通省航空・鉄道事故調査委員会は、2004年3月26日、誘導路上の停止位置標識付近で停止する際、機長と訓練中の副操縦士がほぼ同時に強くブレーキを踏んだことが主な原因とする事故調査報告書をまとめた。関与要因としては、まもなく停止位置標識に到達するという余裕がない段階で、機長は、訓練中の副操縦士がPF(パイロット・フライング:主に操縦を担当する操縦士)業務の移管を受けられる状況であるかどうかを十分に確認しないまま副操縦士にPF業務を移管したこと、PF業務移管後に、機長が、副操縦士の操縦に取って代わるために必要な「アイ・ハブ・コントロール」の発声をせずに、ブレーキ操作を行ったこと、 機長は、副操縦士がボーイング767への移行訓練中であり、ブレーキ操作について不慣れであることについての配慮が十分でなかったことを指摘した。
 なお、報告書は客室乗務員の安全確保のため、離陸前の着席状況ついて乗務員間の意思疎通を徹底すること、緊急時につかまるハンドグリップを通路に設置することなどの安全対策にも言及した。


(C)2004 外山智士
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