2002年1月21日午後1時3分頃、名古屋発函館行き全日空391便エアバスA321-131(JA104A)が、函館空港で着陸復行の際、機体後部を滑走路に接触させた。事故機はそのまま上昇し、上空を旋回した後、午後1時20分頃、同空港に着陸した。
乗客6名、乗員87名、計93名のうち、客室乗務員3名が軽傷を負った。
事故機は、機体のフレームや後部圧力隔壁、フロアビームにひびが入るなど損傷を受けた。事故機は最終進入の際、ウインドシアに遭遇し、風向風力が急変したため、着陸復行のため上昇しようとしたところ、機体の後部が滑走路に接触した。国土交通省は本件を航空事故に指定した。
2003年9月26日、国土交通省航空・鉄道事故調査委員会は、事故原因について同機が最終進入中に対地高度100ft付近から激しいウインドシアに遭遇し、回復操作を行ったものの、上昇力の回復が間に合わなかったためとする報告書をまとめた。同機は最終進入中に向かい風が増加し、エンジン推力を絞りつつ進入を継続していたところ対地高度100ft付近で向かい風の急減に遭遇し、ウインドシア警報が鳴動したため、エンジン推力を離陸最大推力にまで増加させる操作を行ったが、沈下を止めることは出来なかった。報告書はガストを伴う強風下の進入時に、向かい風の増加などに応じてエンジン推力を減少させると、風速の急変により直ちに推力増加が必要になり遅滞なく操作を行っても実際に推量が増加するまでの間、危険な降下に曝されること、加えて同機は最初に設定された進入速度が低めであったことが滑走路への接触を避けられないものとしたことを示した。
なお報告書は、本件において負傷者が客室乗務員に集中したことについて、客室乗務員席のクッションの厚さが乗客用の3分の1であること、背もたれがほぼ垂直であること、肘掛がないことなどにより、腰部に衝撃が加わりやすい点を指摘し、客室乗務員は緊急時において乗客の避難誘導等に当たる保安要員であることから、機体が衝撃を受けた際に客室乗務員の負傷の可能性を低減させるための方策について検討を行う必要があると述べている。
同機は1999年に製造された。