事故詳細

(事故No,20000216ja)

 2000年2月16日午後0時45分頃、函館発札幌(丘珠)行きエアーニッポン354便YS-11A(JA8727)が、丘珠空港に着陸後滑走路から誘導路に入る際、右側に逸脱、オーバーランし、滑走路脇の雪原の雪山に乗り上げて停止した。同機は機体の前部と左翼プロペラを破損した。
 この事故で乗員4名、乗客37名、計41名のうち、乗客10名が軽傷を負った。
 国土交通省は本件を航空事故に指定した。
 国土交通省航空・鉄道事故調査委員会は2002年11月29日、事故調査報告書を公表し、フラップを下げるのが遅く進入速度が過大となったことを主な事故原因とした。DFDR解析結果によると、事故機は滑走路端上空通過時の速度が時速217kmで、運用規定で定められた時速174kmを43km超過していた。結果として接地点が通常よりも遠くなり接地速度も時速174kmと通常よりも速くなった。残りの滑走路長が短いうえに速度が超過している状況に加え、滑走路上の積雪によりブレーキの効きが悪く充分に減速することが出来なかった。報告書は降雪による視程悪化がパイロットの速度への注意をそらせたとしている。また報告書は、パイロットは着陸復行を決断すべきところ機会を逃したとした。
 なお、着陸前に乗員に知らされた滑走路面の状況(積雪1ミリ、ブレーキの効きは6段階中2番目に良好な状態)は、約1時間前に観測されたデータに基づいており、次第に悪化していく天候を反映していなかったとの指摘について、事故調査委員会は事故原因とはしなかったが、本件事故後丘珠空港の観測機器は新型に更新された。
 2005年1月20日、札幌地方検察庁は、業務上過失傷害容疑で書類送検された機長について、会社と被害者との間で示談が成立していることを理由に不起訴処分を決定した。


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