ペーパークラフトN管理人室

ここではペーパークラフトN管理人が型紙設計にあたり考えていること、作品に込める思いを少し書きたいと思います

 1.消えゆく民家・変わりゆく暮らしを残したい
 昭和30年代頃までは職住接近、というか住居は仕事でもある家が多かったように思います。トイレは別棟か母屋から張出した場所に設けられるのが当たり前でした。資材は近くで調達可能な木材・土・茅で、気象条件や産業に合った形をしていました。
 昭和40年代以降は、住宅メーカーの誕生、物流の利便性向上や農業や地場産業の衰退、生活様式の変化など色々な要因で地方の景観を形成していた民家の形式も「地域の特徴」を失ってしまいました。民家は外観は茅葺き屋根にトタンを被せた程度の変化でも、内側は土間が無くなりトイレは屋内に移り天井が張られる等、現代の生活に合わせ大きく変化しています。
  このような住居の移り変わりを形として残したいと考えています。

大正~昭和初期

 2.「ペーパークラフトは安っぽい」から「ペーパークラフトでないとできない」に変えたい
 ペーパークラフトの建物といえば屋根はペラペラで裏は白く、糊が乾くとすぐひずみが出てくる。凹凸がなく、プラスチック製の物に比べ著しく見劣りしました。一方プラスチック製のものは高価で、子供ではなかなか手が出ないものです。
 最近はレーザーカットされた厚紙で出来たペーパークラフトも市販されるようになりました。こちらは柱の凹凸や板の継ぎ目まで再現されペーパークラフトの難点をほぼ解消しており魅力的ですが、プラスチック製の物より更に高価なものとなっています。
 そこで「屋根に厚みがあり、印刷のない白い部分を出さない」「歪まない」「凹凸をつける」をコンセプトに設計しました。それだけではなくプラスチックでは出来にくい「小物入れ」として、「雨戸の着脱」などの機能を持たせるよう極力配慮しています。
 また茅屋根の表現などは紙に印刷したものだからこそ出来るものと考えています。

  
 3.鉄道模型・ジオラマを身近なものとしたい
 子供の頃「箱庭を作ってみたい」「ジオラマを作ってみたい」と思うことがしばしばありました。そんな頃、鉄道模型のストラクチャーの建物・車両は、お小遣いの少ない子供には憧れの品でもありました。 なら自作しようと思っても、なかなか望む精密なものは出来ません。 またコツコツ貯金し買いそろえるには時間もかかります。 そういった方でも時間と根気さえあれば大きなジオラマが造れるようにと思い型紙の設計をしています。 また若いころには農村部に普通に見かけた茅葺き屋根も近年はめっきりその数を減らし寂しく感じていたこともあり、こういった「ある時代には普通にあった」が「今では珍しくなった」建物を形として残したいとの思いもありました。 作品のほとんどは、建物も特定の文化財や珍しい車両ではなく、「どこにでもありそうな」「ふつうに見かける」建物や車両です。様々なジオラマの構成品として、懐かしさを感じる小物入れとして活用していただければ幸いです。
  
 4.型紙製作で考えていること
 ペーパークラフトの型紙設計では ①なるべく紙の切断面の白色を表に出ないようにする ②作品が歪まないように折り込みを作る ③屋根裏まで印刷し質感を持たせる ④出来る範囲で着脱部を設け小物入れとしても使えるように部分する ⑤A4版の紙1枚に収める⑥空いたスペースには作品に合った小物も付ける を基本方針として作品を制作しています。 でも①の紙の切断面がなるべく表に出ないようにするため型紙が少々複雑になっており、できた形を想像して作る必要があることが難点と考えています。(解決策は思いつきませんが…) そのうち動画で作り方のコツや参考とした建物のある地域、民家の紹介も上げていきたいと考えていますが、現段階では目途はたっていません。
 平成27年のHP開設以来、容量の制限もあり10作品づつの公開となっています。 本来の目的である「鉄道模型・ジオラマを身近なものとしたい」との思いはあるのですが、各作品とも約半年で公開を終了せざるを得ない状況にあります。 また作品完成までには数回の試作・改良を加えており、その紙代やインク代もばかにならない現状です。
 定期的に作品を提供していくため、今後旧作品の有償頒布やアフリエイトの取り組みを考えていきたいと考えているところです。できることでしたら、本HPをご利用の皆様にはネット通販ご利用の際に本HPを通した通販をお願いできればと思っております。