原編成 第1・第2マンドリン、マンドラ、マンドロンチェロ、ギター、マンドローネ
スコア 原編成と同じ
パート譜 原編成と同じ
解説 編曲者ポーリは、1896年創立されたクレモナの「Circolo Mandolinistico di Cremona」の指揮者として、イタリア各地で開催されたコンクールに度々入賞するなど目覚ましい活躍をした。「Circolo
Mandolinistico di Cremona」は、マンドリン系楽器によるマンドリン四重奏団、約25名によるプレクトラムオーケストラ、さらには若干の管楽器とオルガンやハープ等を加え、ポーリの編曲によるモーツァルト、ポンキエルリ、ヴェルディ、ドニゼッティ、ロッシーニ等の作品を演奏するグランドオーケストラの三つのグループで構成されていた。ポーリの死後、「Circolo
Mandolinistico di Cremona」は「Circolo Mandolinistico di G.F.Poli」と名称を変更、ポーリの名を冠し、ポーリの功績を称えた。
1796年、ヴェニスで初演された歌劇「オラッチとクリアッチ」は、今日ほとんど演奏されることもなく忘れ去られているようだが、その「序曲」だけがマンドリンオーケヅトラの特性を熟知したポーリの巧みな編曲によりマンドリンオーケストラ曲として新たな生命を与えられ、マンドリン界に今も光を放っている。1910年「イル・プレットロ」誌主催の第3回作曲コンクールで特別金牌を授賞し、一躍斯楽で愛奏されるようになったこの曲は、悲劇的なオラッチ兄妹の宿命を暗示する緩叙部と、両国戦士の激闘を描写する快速部から構成されている。原調は変ロ長調であるが、ポーリにより簡潔明快に編曲されている。ポーリの編曲譜では4/4で記されているが、原曲では2/2である。演奏技術が格段とレベルアップした今日、従来の解釈、奏法にとらわれず快速に演奏されたい。今までの演奏が滑稽に感じられるはずである。右下は『オラッチとクリアッチ序曲』原譜。
|