宇治川の東岸を上流の方へ歩くと、ここ、興聖寺琴坂石門に至ります。
見比べてみましょう。
やはり多少の整備はされていますが、ほとんど変化はありません。絵はがきの石門左脇の
石塔は、今は木の陰に隠れていますが、健在です。ただ、石門右脇の木は、切り倒されていま
す。枯れたのかもしれません。
琴坂は紅葉の名所で知られています。もう1週間か2週間もすれば、真っ赤になっていたか
もしれません。残念でした。
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ところで最近、宇治市が力を入れている観光資源のひとつに、源氏物語があります。紫式
部が11世紀に書いたと言われるこの物語は、全部で54帖から成り立っていますが、そのう
ち、45帖から54帖までは宇治を主要な舞台にしているところから、
「宇治十帖」
と呼ばれて
います。
光源氏亡き後、子の薫、孫の匂宮と大君、中君、浮船の三人の姫君が織りなす悲恋の物
語ですが、様々なモニュメントやミュージアムを建設し、観光に力を入れているのです。
下は、そのモニュメントのひとつです。
う〜ん、平安の雅ですねえ(笑)。
実は今回も従妹のゆきちゃんが同行していたのですが、「あさきゆめみし」ですか?源氏物
語からの漫画をベースに熱っぽく解説してくれました(笑)。
...でも
...ごめんね。よくわかんなかった(笑)。
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さて、宇治川を下流の方へテクテク歩いていきますと、やがて、宇治橋のあたりに、そのお
寺はあります。
橋寺。
正しくは「放生院常光寺」。聖徳太子の命
で、604年に秦河勝が創建したと伝えられ、
宇治橋の守り寺というところから「橋寺」と呼
ばれています。
このともすれば見落としそうになる山門を
くぐり、階段を上っていくと、あの石碑がある
のです。
あの石碑とは…
「宇治橋 断碑」
ただの石碑ではありません。重要文化財なのです。
すさまじく様変わりしています。
明治期には素朴に建ってたんですけどねえ。今では檻の中です(笑)。200円の見学料を
払って、檻の扉を開けていただきました。実は、この檻。あとでご住職からいろいろお話を伺う
機会がありました。とまれ、まず断碑についてですが、これも「ぎゃらぃ」の解説を見ていただく
として、切断面より上の部分が、本体です。7世紀に作成されたと言われる、オリジナルの部分
です。
べんべんたるおうりゅう(横流) そのはやき
ことやのごとし
…じゅうしんにおもむかんとすれども じん
ば(人馬)いのちうしなう
左は、橋寺でいただいた断碑の解説か
ら、記された文字の部分を取り込んだもので
す。断碑には宇治橋が架けられたいきさつが
記されています。
そうそう、あまりの様変わりには理由がありました。それは、この檻の話とも関係があるの
ですが、元々、この断碑は現在地の右横に本堂の方を向いて建っていたのです。そして今、断
碑が建っている場所にはお茶室があったそうです。
左の写真の石組みのところに、こちらを
向いて建っていました。その向こうに(つまり
檻の場所に)、お茶室ですね。壁もあったん
でしょう。これで、絵はがきとイメージが重なり
ます。数年前まではこの場所で、屋根だけの
状態で建っていたそうです。
それが今のような形になったのは...
はっきり言って、わたしたちのせいなのかもしれません。
文化庁から保存方法にもっと気をつけるようにとの指示があったそうです。丁度、あちらこ
ちらで文化財の破壊が報じられていたのです。落書きしたり、傷を付けたり、スプレーをかけた
りと。
馬鹿
のやることは理解できません。
ご住職は、憤りを隠さずに話してくださいました。結果、総費用1200万円也の堂々たる檻
が出来上がってしまったのです。建材は檜葉(あすなろのことですね。建材になるとは知りませ
んでした)。節があってはだめなんだそうです(重要文化財ですから)。屋根はチタン葺きです。
銅は酸性雨の関係で使わないそうです。
又、ここのお寺は本尊も重要文化財に指定されているそうで、消防署の方からも防火設備
の充実を指示されているそうです。
もちろん、種々の設備は補助金で賄われますが、そのあとの維持費が大変なんだとこぼして
おられました。
…200円ぐらい出すべきだろうな。と思ったのです。
ホントは例の檻も、ガラス張りとか考えておられたようですが(保護のため)、さすがに、一
般の見学者から遠くなるのは、ということで今の形に落ち着いたんだそうです。
難しい問題です。
わたしはこの檻を見ながら、いくぶん複雑な気分だったことを覚えています。文化財の保護
と自由な見学。本来、国民の財産である文化財はしかし、一部の人たちの努力によって守られ
ています。そしてそこには当然のことながら、金銭的負担も生じるのです。
誰が負担するべきなんでしょうか? 行政の仕事だと言ってしまえばそれまでですが、それ
だけでいいのでしょうか?
これからも考えていきたいと思います。
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と、これで今回の旅は終わるのですが、
ゆきちゃんがソフトクリームを食べたいと言い
出しまして、宇治橋東側のお店で食べまし
た。おいしかったです。
左が宇治橋。西側から撮影しました。宇
治は地味ですがいい観光地だと思います。ま
た行ってみたいと思いました。
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実はこのあと、思いつきで京都市内のある場所へ立ち寄ることになったのですが...
それは次の頁の
「おとらのみちくさ」
で。