イント・ナット(イントネーテド・ナット)とはこのようにナットでアクティブにピッチ調整をする事です
初めて見た方はかなり違和感を感じるでしょう?しかし、考えてみて下さい
スチールギターならともかく、普通のフレッティング・ギターは0フレット(ナット)以外は
全て弦をフレットに押しつけて音程を得る訳です
つまり0フレット以外のフレットでの音程は全て微妙にチョーキングされた状態な訳です
精密なチューナーをお持ちの方は以下のような実験をしてみて下さい
まず、開放弦で正確にチューニングします
次に1フレットを押さえて音を出しチューニングメーター上で
ピッチが合っているか確認してみて下さい
どうです?微妙に♯しているでしょう?
そしてこの♯の度合いが各弦で違うことが分かるでしょうか?
これはつまり弦の太さによるもので、弦の芯線が太い物ほど
押弦したときの音程の♯度合いが大きくなります
ブリッジ側のピッチ調整でも芯線の太い3,6弦がより大きくイントネーションを
取る必要があるのと同じ事です
従来ではブリッジでのピッチ調整をちゃんとしていれば音程は合うものと思われていましたが
それは最初に説明した押弦しない0フレットと押弦する他のフレットの矛盾を無視したものでした
ギターの音程は24フレットギターの場合、6弦×24フレット+6(解放弦)=150
つまり150のポジション中の144ポジションが押弦されて出される音程であり
押弦された音程に合わせるべきなのです
そこで、簡単に正確なピッチを得るために1フレットを押さえてチューニングするという
開放弦での音程を犠牲にするという方法もありましたが
それを一歩進めて、各弦のナット位置を調整することで
全てのポジションで正確な音程に近い音程を得られるようにしたのが
このイント・ナットです
位置の割り出し方としてはあらかじめ多めにイントネーションを取ったナットを作り
ギターに取り付けた後に、適当な弦高になるように弦溝を入れ弾ける状態にします
そして各弦1フレットでチューニングを合わせ、
その状態でまずブリッジ側でのピッチ調整をします
が、よく行われるようなオクターブ音と実音を合わせて行くと云う方法ではなく
1フレットのチューニングが合った状態で
最終フレット(或いはよく使うポジション)の押弦音の音程が合うように
ブリッジのイントネーションを合わせます
この状態で解放弦の音程が合うようにナットを少しずつ削って
イントネーションを付けていくと云う作業を行う訳です
が、弦のゲージや弦高をお客さんの好みに合わせて作業しても
私が全て調整したのではお客さんと私の押弦力が違った場合
より正確な調整は出来なくなります
お客さんに弾いて貰いながら微調整する必要があるというのが
このイント・ナットの”ややこしい”所です
しかし、特に押弦力が強い人で無い限りは
私が全て調整しても効果は十分に感じていただけると思います
ちなみに写真のギターのオーナーは極太の弦とメチャ高の弦高
高めのナット高がお好みで、尚かつ強握力のお客さんでしたので
かなり派手なイントネーションがついています

イント・ナット加工料金       ¥15,000〜(ナット代込み・要見積もり)

なお、イント・ナットは従来の矛盾を取り去り
”より正確に近い”音程を得ると云う物であり
全てのポジションで全く正確な音程を得ると云う事までは不可能です


2003年1月6日イントナットの効果についてデータ取りしてみました


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