カキについて


海の香りの精と呼ばれるカキは、日本の冬を代表する食べ物、海の幸です。
生でも、煮ても、焼いても、フライにしても美味しく、また燻製にして食べることもあります。
グリコーゲンやミネラル類などの栄養も豊富で、「海のミルク」とも呼ばれています。
カラを割ったばかりのカキに、レモン汁をかけ、そのまま食べて見て下さい。
口の中に、「海の香り」が広がります。
カキ殻には、水質浄化作用があることは知られていました。
東北大学農学部の実験ではカキ殻で作ったセラミックボールを入れて処理した水道水中の「O-157」は全部、死滅したということです。

海の香りの精・カキ
産地 天然のものは、全国に分布し、内湾の塩分の少ないところを好みます。
広島、宮城、熊本、岡山、三重などが代表的ですが、全国各地で養殖されています。舞鶴でもカキは養殖されています。
生産量は広島が多いのですが、京都では宮城産の評価が高くなってきています、。
寒い時期が旬 になる「マガキ」に対し、「岩ガキ」は夏が旬であるため夏カキと呼ばれ,
天然物が多く養殖は少ないです。
貝類全体の養殖生産量の7割以上を占め、「マガキ」はその6割の生産量を占めています。
最近は「韓国産」もあり、これは国産が出回る前に早期に出回り、価格も安いです。
種類 日本には、約20種類の「カキ」があり、食用は「マガキ」「岩ガキ」が代表的です。
通常、むき身にして出荷されるのは「マガキ」で、量的にはこれが大多数をしめています。
北海道の厚岸湖やサロマ湖などに産するものは長く大きくなり、長カキといいます。(品種は「マガキ」)
形態 日本で代表的なカキは「マガキ」で、形はタマゴ型。2枚貝の殻の表面は薄い板を重ねたようになっています。
右殻は左殻より小さく、浅く、ふたのように見え、左殻は岩など固い基質に固着しています。一生、うごきません。
「岩カキ」は、殻が巨大になる割には身のほう小さいです。
養殖法 カキが産卵する水温20度前後 の頃合いを見計って、ホタテ貝の貝殻などに幼生の付着しやすいものを筏につけて海中につるし、
稚カキを付着させて育てます。特別にエサをやるということはなく、海中のプランクトンを食べて成長します。
緑のカキ カキがある種の植物性プランクトンを食べると「緑色」になります。カキはエラ呼吸した際、植物性プランクトンを体内に吸収し、その後「緑色」に変化するのです。日本では、これは「苦情の対象」となるのですが、フランスでは「グリーンオイスター」と言って人気があり、わざわざ、植物性プランクトンを食べさせて「グリーンオイスター」を作っていると言うことです。したがって、なんら害があるものではありません。

殻つきカキのあけかた、食べ方
1.貝柱を切らないと、カキの殻はあきません。
2.手を切りやすいので、軍手をはめて作業をしましょう。
3.ちょうつがいを向こう側にして、手前の左右の殻の薄いところからナイフを差し込んで下さい。
4.うまく入らない場合は、金槌などでたたいて少し割れ目をつくり、そこから差し込んでください。
5.片側の貝殻に沿ってナイフを入れ、貝柱を切って下さい。これで殻は手で開きます。
6.むいたときの殻のクズが残っていると食べにくいので、塩水でさっと洗いましょう。
7.反対側の貝柱もはずして、殻ごと盛りつけて食べて下さい。
8.ポン酢でもケチャップでも美味しくたべられます。ケチャップの場合は、レモン汁をかけるとより美  味しいです。
9.殻のまま焼いていただいても美味しく食べられますが、焼きすぎないように注意しましょう。
殻付きカキの焼き方
殻付きカキは,タワシでよく洗って拭き、必ず殻の丸い方を下にして下さい。
1.ガスオーブン・ガスコンロの場合は、殻が飛び跳ねる場合があります。アルミフォイルに包んで、7  〜10分くらい加熱します。
2.フライパンの場合は、カキを並べてフタをし、殻の口が開くまで焼きます。(5〜6個で、約15〜2  0分間)
3.電子レンジの場合は、ラップにつつんで、5個で約5〜6分加熱します。
4.蒸し器の場合は、茶碗蒸しと同じ要領で、7〜10分加熱して下さい。
注意点
殻付きカキを焼く場合は、殻をはずす必要はありません。そのまま焼いていただいて結構です。焼けば殻ははずれます。

カキの土手鍋 カキの成分
「カキの土手鍋」は、カキの最大の産地である広島の代表的な郷土料理であり、冬の味覚です。
鍋の周囲に味噌を塗って土手を作り、その中にカキや野菜を入れて煮ます。
火が通ったら、味噌を少しずつ崩しながら、味を付けます。
熱い内にいただきましょう。熱燗とともにいただくのが最高ですよ。
カキ100gで78kcal
  • 水分 81.9%
  • タンパク質 9.7%
  • 脂質 1.8%
  • その他 6.6%

広島湾で、カキが赤潮で大被害!
この赤潮は、「ヘテロカプサ」と呼ばれるプランクトンが大発生し、海水が変色したのです。
このため、カキの約80%が死んでしまったようです。「ヘテロカプサ」赤潮が発生するとカキが死ぬという事の原因は、よくわかっていません。
ただ、カキのエサになる珪藻が増えると「ヘテロカプサ」の増殖は抑えられるということは分かっています。
ところが、この珪藻は、海水の汚染に弱いのです。
広島湾の海底のドロに含まれるTBT(有機スズ)化合物の濃度が、神戸・大阪についで高く、これが珪藻の増殖を妨げているのではないかと推測されています。
(有機スズは、船の底に塗る塗料として使用されていたが、魚介類への汚染が問題になり1991年に使用禁止になっている。ただし、外国船には使用している船もあり、広島湾の造船所に出入りしている。)
漁民の被害は深刻です。抜本的な対策が望まれています。
上記の文章は、1998年10月8日に追記しました。

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