サワラについて


サワラの旬
昔から、「サワラの旬」は、魚には珍しく年2回あると言われてきました。
「彼岸サワラ」という春のお彼岸の頃に獲れるのを「上りサワラ」、秋に漁獲されるものを「下りサワラ」といい、それぞれ「旬の魚」として食卓をにぎわしてきました。
魚編に「春」と書いて「サワラ」と読んでいますが、これは「彼岸サワラ」という春のお彼岸の頃に獲れる魚を指しているのだと思います。
サワラという名前
「サワラ」は「狭腹」という当て字を書く場合もあります。また、この魚の若魚を関西では「サゴシ」と言いますが、これは「狭腰」からきた名前だと言われています。体型がスマートで、腹(腰)の部分がすっきり(狭い)しているので、こういう名称がつけられたのでしょう。
なお、同種の魚で「ヒラサワラ」というのがありますが、これは「腰」の部分がフックラしています。「サワラ」より体型が平べったいので「ヒラサワラ」というようです。
「ヒラサワラ」は、市場にはあまり入荷しません。切り身にすれば、普通の「サワラ」と見分けがつきません。味も、そう変わりません。スーパーや魚屋さんでは、「ヒラサワラ」も「サワラ」と表示して売っていると思います。
生息海域など
「サワラ」は、北海道南部・韓国から、南日本・台湾にかけて分布しています。
産卵場所は中国の渤海湾と言われており、近年、中国からの輸入が激増しています。
中国船は、福岡港(博多港)に入港することが多く、博多の魚市場には輸入「サワラ」が山積みされています。
瀬戸内海でも多く見られ、全長1メートルにも達する大型魚で、背中一面に斑点が数多く見られるのが特徴の一つです。
(瀬戸内海の「サワラ」については「岡山中央魚市」のホームページが詳しいです。)
「サワラ」は、沿岸の濁った水を好み、海表から5メートルくらいの層を群れをなして泳ぎます。
純食肉性で、イワシ・サバ・サンマなどを好んで食べているようです
冬場は深みに移ります。4月〜5月ころに、内湾に入って産卵します。

夏ばて回復に
「秋になったのに食欲が無く、疲れやすく、何もする気がおこらない。」
このような状態に少しでも心当たりがあれば、それは「夏ばて」です。
「夏ばて」回復には、1.バランスのとれた食事をする。2.タンパク質をたくさん摂取する。などがあげられます。
このような時、白身であっさりし、タンパク質の豊富な「サワラ」はぴったりです。
サワラの美味しい食べ方
「サワラ」は上品な白身で、鮮度が良ければ「お刺身」が美味しいです。
(中国産の「サワラ」では、「お刺身」にはできません。)
また、照り焼き・塩焼き・みそ漬けにすると「天下一品の味」と評価する人もいます。
冬場は、鍋物利用が多いですが、あまり煮すぎない方が美味しいようです。
腹が内臓の色で黄色くなっていると「苦み」が出ます。腹の薄皮は厚めにそいで料理しましょう。
「カラスミ」といえば、「ボラのたまご」で作るのですが、昔は「サワラ」の卵巣を使っていたことがあるようです。

2000年、どういうわけか、サワラ・サゴシは大豊漁!
今年は、サワラ・サゴシが多いですね。
数年前は、資源の枯渇が言われており、相場も超高値(中国モノでも、kg3000円とか)だったのですが、今年は、その半値や3分の1はざらに出ています。
特にサゴシ(サワラの未成魚)が多く、若狭から山陰方面で多くの漁があり、500g程度のモノが1尾100円ぐらいでした。
もちろん、このクラスだと脂乗りが良くないので、サワラに比べると味が落ちますが、漁場が近いので鮮度が良く、お刺身にもできる位です。
しかし、サゴシが近海で大漁になったというのは、ここ10年でいえば始めてのことなので、お造りにして食べるという経験が消費者になく、小売り段階ではなかなか売りにくかったことも事実です。

今年、なぜ、たくさん獲れているのか、これは、正直言って?です。
「水温が高い。」ということが指摘されています。
それ自体は事実ですが、そのことによってサゴシが北上してきたことは理解できるとしても、漁自体が多いことの説明にはなりません。
サゴシだけでなく、ツバス(ブリの未成魚、600g〜1kgくらい)も非常に多かったようです。
トラフグも、例年になく天然物が多く、安値です。
スルメイカも、北海道で大漁です。
反面、イワシが極端な不漁で、10月度は、前年比95%の減少です。
これでは、イワシ関連産業は崩壊です。
アキサケも不漁で、おかげでイクラが超高値、スーパーに出まわってるのは、ほとんどが輸入品という状態になっています。

天然ものに多くを依拠する水産業界、毎年の漁模様に一喜一憂という状況ですが、この状態の主な原因と考えられている「地球環境の異変」を、なんとかもとに戻すようにしていかなければ、大変なことになるという予感がするのは私だけでしょうか。                                    2000年12月11日記

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