厳寒の海の幸「棒鱈」


「棒鱈」は、北海道稚内市の特産物です。
北海道の近海で漁獲された新鮮な真鱈を、天日で時間をかけて乾燥させて作ります。
稚内地方の早春は、晴れて湿度が低く風が強い日が多いため、「棒鱈」の製造に一番良い条件となっています。
昔から、この地方で作られた「棒鱈」が京都まで運ばれてきていたのです。
「棒鱈」は、京都のお正月になくてはならないものです。
ところが、乾燥した魚を戻して料理する事など、今時の若い奥さんにはちょっとむずかしすぎる料理です。
でも、年1回のお正月、この時くらいは「棒鱈」を自分で作ってみましょう。
下の料理法を参考にして下さい。

棒鱈の料理法
1.棒鱈は太めのものを求めて下さい。堅い棒鱈のカットしたものを、自分でもどすのが良いでしょう。
2.真水に、5日間くらい浸します。(長い棒鱈の場合は1週間くらい)
3.毎日、水を変えること。水を変えなければ、腐ってしまう可能性があります。
4.戻ったら、綺麗に水洗いをしましょう。腹の部分の黒い薄皮などは、この時に丁寧に取っておいて下さい。
5.一口大に切り、多めの水で煮ます。水から煮立てて、5分ほど沸騰させたあと、火を消します。
6.そのまましばらくおいた後、新しい水に変えて6〜7時間おいておきます。
7.こんぶとカツオでダシをとっておきます。
8.もどした鱈の2倍のダシで、3〜4時間、煮ます。
9.汁が半分になったら、砂糖を適量加え、30分ほど煮ます。
10.醤油・みりん・酒を加え、味をみながら、5分ほどさっと煮ます。
11.火を止め、さめるまでおいておきます。こうすれば、骨まで柔らかく食べられます。

「いもぼう」について一言・・・・・2004年1月12日に加筆
いろいろ検索したみたのですが、京都の名物料理「いもぼう」について、「棒鱈と里芋の炊いたもの」と書いてあるサイトがたくさんありました。
これは簡略形(海老芋が手に入りにくい為の変化形)だと思います。
本来は「棒鱈と海老芋を薄味で炊いたもの」です。
京都に来られたら、円山公園のなかにある平野屋で、「いもぼう」を食べてみて下さい。

すけそうだらの「棒干し」・・・・・2004年1月12日に加筆
fishmlで、タラのことが話題になりました。
「干したタラ」について、いわゆる「棒鱈」と「すきみたら」がごっちゃになったり、「棒鱈」(マダラをカチカチに干したもの)と、「棒干し」(すけそうだらを丸のまま干したもの)がごっちゃになったりしました。
すけそうだらの「棒干し」は、青森、富山、山形、秋田などで食べられていて、料理法は京都での棒鱈と同じようなものらしいですね。
なお、私は10年以上、京都の市場に通いましたが、すけその「棒干し」というのは見たことがありません。

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