「雛の節句」になぜ貝を食べるの?


「雛の節句」(雛祭り)になぜ貝がそなえられるのか、 関西の篠山地方にはこんな伝説が残っているといいます。
  • お雛さまには「耳たぶ」が無い。
  • お雛さまはタニシが大好きで、うららかな春のある日、タニシが泣いているのを聞いて「私の耳たぶと取り替えてでも、タニシが食べたい。」と言った。
  • それから、お雛様には「耳たぶ」がなくなったという。 
それで、今でも篠山地方では、3月3日の「雛祭り」には、タニシが備えられると言います。

本来「雛祭り」は、旧暦の3月3日です。
3月はじめの「巳の日」に行われたので、「上巳の節句」とも呼ばれたようです。
土御門天皇の頃から、3月3日の「雛祭り」が行われているようです。
桃の花が咲く頃に行われるので、後の世の人が「桃の節句」と名付けたようですね。

旧暦の3月2日は大潮で、正午には海の底まで干上がってしまいます。
この日に、潮干狩りをして、翌日、取った貝類をお供えしたようです。

「雛祭り」には貝はつきもので、一般的には「はまぐり」で、江戸(東京)では東京湾でとれた「はまぐり」をそなえる風習がありました。
なぜ「雛祭り」に貝をそなえるかというと昔から二枚貝は「姫様」(女の子)を意味していたからです。

貝類がこの時期に一番美味しくなると同時に、特に「はまぐり」は2枚の貝がぴったりと合い、他の貝殻とは合わないのです。

ここから、「女の美徳や幸せ」につながるとされたのです。(今の時代に通じるかどうかは別です。) 

この事から「はまぐり」は「夫婦和合」の象徴とされ、結婚式にも縁起物として出されています。 

昔、江戸では「嫁入り道具」として使われており、「貝桶」と呼ばれて、真っ先に新郎の家に運び込まれたのだそうです。
そして、この「貝桶」には、1年分(360個=旧暦1年の日数))のハマグリを入れてあり、通年の「夫婦和合」を祈ったと言われています。

このような事から、「雛祭り」にハマグリを食べる習慣ができてきたと考えられます。

なお、京都では「雛祭り」に「しじみの佃煮」を食べます。

これについては、琵琶湖が近くにあり、「瀬田しじみ」が容易に手に入った事で、この貝を食べるようになったのではないかと思われます。

しじみを食べるいわれについては、京都の人でも知らない人が多いようです。

京都中央市場で、何人かの仲買さんや荷受け会社の方に聞きましたが、確実なことはわかりませんでした。

京都において、「雛祭りにしじみの佃煮を食べる」のはなぜか、また、いつ頃から始まった習慣なのか、
ご存じの方がおられましたら、教えていただきたいと思います。
また、京都では「雛祭りに子持ちのササガレイ」を食べます。
でも、最近では、ササカレイが超品薄で高値なので、一般的にはミズカレイを代替えに利用しているようですが。
この理由についても、市場で聞いてもはっきりした理由がわかりません。ご存じの方がおられましたら、お教え下さい。よろしくお願いいたします。

ハマグリのお吸い物は、水から煮るようにしましょう。
ダシ汁で煮ますと、ハマグリの風味が損なわれてしまいます。
ハマグリを、塩水でよく洗い、煮立ったらアクをのぞいて、火を止める寸前に、塩か薄口醤油で味をつけます。
ハマグリ自身、塩味がありますので、塩や醤油は控えめにし、味見しながら、必要なら量を増やしてください。
また、汁の色は、できるだけ透明なほうが良いのです。それが、京料理の特徴のひとつと考えてください。

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