アジについて


「アジ」について
アジは、日本産だけみても、かなりの種類があります。一般に、一番多く流通しているのは「マアジ」です。市場では「平アジ」とも呼ばれていますが、これは後述の「丸アジ」と比べて体型が「平べったい」からでしょう。このアジは美味です。
「丸アジ」は、年中出回る魚ですが、鮮度の良い魚が安く大量に出回るのは3月〜6月くらいの間です。この時期には、大阪湾(紀州方面)から瀬戸内海(播州方面)で大量に漁獲されます。

何年か前に、姫路まで「丸アジ」の漁獲状況を見に行ったときなど、あまりにも獲れすぎて相場が下がり、出荷すればかえって損をするという状況で、夜遅くに水揚げされた魚は捨てる(もしくは「養殖魚のエサ」にする)ということで、ダンベに入れて放置されていました。

余談ですが、この時は船に乗せていただく予定だったのですが、大漁のため翌日は休漁となり、船にのれませんでした、残念。これ以後、「丸アジ」漁の船に乗る機会はありません。

「丸アジ」は、大漁の時には1尾30円とかの「激安」になります。(「マアジ」はこのようなことは、まず起こらないですね。)だからといって、「マアジ」に比べて、味が極端に落ちるかと言えばそうでもない。紀州や瀬戸内物の鮮度の良い「丸アジ」をタタキにすれば結構美味いです。ですから、この「丸アジ」は、春から初夏にかけてのおすすめ品なのです。

その他のアジとしては、造り用高級魚の「シマアジ」(養殖が多い。)、ムロアジ、姫アジなどが一般市場に流通しています。八幡浜に多い「メッキ」もアジの一種ですね。
アジの場合は、身を細かく包丁でたたき切りにしたものを「タタキ」といいます。しかし、カツオの場合は、表面を焼いた物が「タタキ」なのですよね。なぜ、ちがうのでしょうかねえ。

「アジ」のブランド化
アジも、いろんな産地の物があります。当然、輸入品もあり、それぞれの産地によって美味しさも違うし、鮮度保持の良否での味の違いもあります。
こうした状況の中で、「うちのアジは美味しいよ。」とアピールをする産地が増えてきました。
これは、狙いとしては「魚価を、できるだけ高値で安定させたい」ということがあるのですが、数年前からテレビなどでも話題になっている「関アジ・関サバ」の成功が教訓になっているのでしょう。(「関アジ」「関サバ」は、一般のアジ・サバに比べると、2倍〜3倍程度の価格で流通しています。)
ブランド名 産地・漁獲海域等 特徴
関アジ 大分の佐賀関と愛媛の佐田岬をむすぶ豊予海峡・別名「速吸の瀬戸」。太平洋と瀬戸内海の戸口にあたる海の急流。 体色は金色味があり、身は引き締まっている。一本釣りなので鮮度抜群、活かしも多い。ブランド化の元祖的存在。
やまぐちの瀬つきあじ 山口県の外海にある「アカバ瀬」「カキノ瀬」「角島グリ」「魚城」と呼ばれる瀬が主要漁場。
萩漁港、仙崎漁港、下関漁港に水揚げされるものに限定。
県が主導してブランド化を推進している。
「山口の瀬付きアジ」←ここに詳しい説明があります。
脂がのってふっくらしている。体色は黄色みを帯びている。そのため、地元では「キアジ」とも呼ばれる。
漁場から港まで約2時間なので鮮度がよい。漁法は巻き網。
旬は、4月から8月初めまで。
旬アジ 日本遠洋旋網漁協(エンマキ)のブランド。
エンマキ所属の大型巻網船が、5月〜8月にかけて五島・対馬海域で漁獲するマアジを「旬アジ」(ときあじ)と命名。
新幹線にもポスターをはって宣伝している。
流通段階でも協力体制ができている。
この時期に漁獲された物が、一番脂がのって美味しい。
高級魚の位置づけではなく、大衆魚として美味しい時期に食べて下さいという狙いがある。
ごんあじ 五島灘の瀬付きのアジ。
中型巻網船の柏木水産(長崎)のブランド。
先闇期間中に漁獲したマアジを、イケスで蓄養し、月夜回りでアジが無いときに出荷している。
「瀬」とは、海の中に岩の起伏があり、潮の流れの速いところを言います。
起伏に富んだ複雑な海底で、プランクトンが大量に発生、エサが豊富なため魚が居着くのです。

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