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撮影:長野 聡史

《紅と白》
 
  墨、金箔、顔料、和紙、屏風装、既成品の雛壇に白色塗装(商品名「ことぶき」、「しあわせ」)  
  「コールマイン未来構想II うつし、うつり、たちあがるもの」より(田川市美術館、福岡)  
  2025年  
  現在の日本の法律上、日本国旗の赤色は「紅色」とされ、厳密な基準は定められていない。
「紅色」とはどのような色だろうか。
現在の国旗の原型とされる幕末に制定された「日本国総船印」は、福岡県飯塚市の茜屋という場所で日本茜で染めていたという話を聞き、取材に伺って見たその色は少しオレンジ味のある優しい発色の赤色だった。 日本国旗を実際に購入して、手元で見た赤色は鮮やかで、この方がなるほど「紅色」という印象である。
でも私のイメージの中の国旗は、少し黄味がかった赤色で「朱色」の方が近い。

あらためて周りを見てみる。
五月晴れの祝日、生垣のある民家の玄関に掲げられている紅白の旗の色彩は恐ろしく美しい。
神社の参道の石段をのぼっていくと、社殿の脇に高々と掲げられた紅白の旗が風にひるがえっている光景の様式美にハッとさせられる。隙がない。

旗は布製で風に吹かれて形は一定しない。時間帯や気候によって、見る度にころころと印象がかわるので、私が視覚した国旗の色を、自作した色見本と照らし合わせて記録をしておいた。

この旗をを単純に「紅」と「白」に腑分けして描いてみる。色は記録した色で再現を試みた。
描きあがった「紅」と「白」の絵を再びつなげて、屏風として仕立て直す。
屏風の裏書に、拙い英語で国旗を見た場所と日付、その場所についてのメモを書き留めておいた。

紅と白を分かてば、紅白の垂れ幕のようなただのハレの色彩に少しは戻れるだろうか。
完璧にもみえる国旗の色彩が、ただの美しい「紅と白」に見えるだろうか。

少し前まで、祝日に玄関先に国旗を揚げるおばあさんがいらっしゃった。
お祭り、神輿の先頭に立って、白装束姿で白髪頭にねじり鉢巻きをしたおじいさんが、日の丸の扇子をひらひらとさせながら調子をとって歩く姿。
娘の卒園式にいただいた紅白饅頭。
かつて国道の通学路、紅白の紐をかけた嫁入り道具を載せたトラックが何台も、私の脇を通り過ぎて行った。

紅白は人を強く惹きつける美しい色彩である。
今、私が見えているこの色彩の印象を描き留めておこうと思っている。
私の感覚の変化によって、見える色彩は変わっていくし、絵を見る人だってきっとそうだろう。

この作品は継続して見届けたい。

 
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