略語変換
■ 概要
略語変換とは、現カーソル位置の直前(左側)にある略語を、それに対応する文字列に
変換する機能です。例えば、
YO
と入力して、略語変換(Mail用) を起動すると、
よろしくお願いいたします。
と変換されます。
略語は、そのスペルを全て入力する必要はありません。先頭から何文字かを入力して、
略語変換を起動すれば、適宜、その変換候補の一覧が表示されます。
候補が1つに確定する時は、即時に変換させることも可能です。
本エディタの略語変換では、上記のような短文への変換だけでなく、
次のようなことも行なえます。
- 複数行のテキストへの変換
- 変換文字列内の改行で、自動インデントする
- 矩形状(ボックス状)に挿入
- 変換文字列挿入後のカーソル位置の指定
この機能を使えば、例えば、次のようなことができます。
void main( int argc, char* argv[] )
{
sw┃
}
ここで、作成途中のC言語のプログラムの一部分があるとします。
カーソルは、sw の直後にあります。この時、sw を略語として、略語変換(C++用) を
起動すると、次のようになります。
void main( int argc, char* argv[] )
{
switch( ┃ )
{
case :
}
}
この変換では、インデントレベルが適合した複数行の文字列が挿入され、
カーソルが通常期待される位置に移動しています。
なお、略語の入力として認識されるのは、現カーソル位置の直前(左側)にある英数字と下線(_)だけです。
その際、英字の大文字と小文字や、半角と全角は、同一視されます。そのため、IME(かな漢字変換等)が
ONの時に略語を入力する場合でも、IMEのモードの切り換えは通常不用です。
●選択範囲がある時の略語変換
本エディタの略語変換では、選択範囲を、変換文字列の前半と後半で囲う機能もあります。
例えば、
これは、太字です。
のような文があって、「太字」の部分を、HTMLの太字のタグで囲いたい場合は、
まず、その範囲を選択します。
これは、太字です。
次に、略語変換(HTML用) を起動して、太字のタグを選ぶと、次のように変換されます。
これは、<B>太字</B>です。
このように、略語変換で選択範囲を囲う場合は、最初に略語を入力するのではなく、
まず範囲選択を行なってから、略語変換を起動します。
すると、選択範囲を囲うために登録されている候補の一覧が表示されます。
そこで、略語のスペルを1字入力するごとに、候補が絞られていきます。
候補の1つが選ばれると、一覧表が閉じて、その変換文字列で選択範囲が囲まれます。
なお、その囲い方は、範囲選択の形態によって異なります。
これは、慣用語句入力の場合と同様です。
以下に、範囲選択の各形態で、C言語のコメント化の変換を行なった時の例を示します。
文字範囲選択の場合
AAABBBCCC
PPPQQQRRR
XXXYYYZZZ
↓
AAA/* BBBCCC
PPPQQQRRR
XXXYYY */ZZZ
行範囲選択の場合
AAABBBCCC
PPPQQQRRR
XXXYYYZZZ
↓
/* AAABBBCCC */
/* PPPQQQRRR */
/* XXXYYYZZZ */
矩形範囲選択の場合
AAABBBCCC
PPPQQQRRR
XXXYYYZZZ
↓
AAA/* BBB */CCC
PPP/* QQQ */RRR
XXX/* YYY */ZZZ
●略語変換の辞書
略語とそれに対応する変換文字列は、所定の書式で辞書ファイルに登録しておく
必要があります。初期環境では、次の3種類の辞書ファイルが、標準で用意されています。
C++Abbr.dic | 略語変換辞書ファイル(C++プログラム作成支援用) |
HtmlAbbr.dic | 〃 (HTML文書作成支援用) |
MailAbbr.dic | 〃 (メール文作成支援用サンプル) |
これらのファイルは、本インストールフォルダ内の Dict というサブフォルダ内に入っています。
これらは、テキストファイルなので、その内容は、本エディタで容易に確認できます。
これらの標準の辞書ファイルの内容は、各ユーザーの用途に応じて、任意に変更することが
できます。また、新たに別の辞書ファイルを作成することもできます。
辞書ファイルの内容の確認や変更等の際には、その書式を理解しておく必要がありますが、
これについては、後述します。
●略語変換の起動
初期環境では、上記3種の標準辞書ファイルに対する略語変換が、次の各キーに割り当て
られています。また、メインメニューの「ツール」内にも配置されています。
・Ctrl+3 | 略語変換(C++用) |
・Ctrl+4 | 略語変換(HTML用) |
・Ctrl+5 | 略語変換(Mail用) |
これらのキー割り当てやメニュー内の配置は、言うまでもなく、環境設定の機能設定で、
容易に変更できます。但し、IME(かな漢字変換等)がONの時にも起動できるような
キーに機能割り当てしておく方が便利です。
●一覧表示中の操作
略語変換の候補が複数ある場合、それらは一覧表に表示されます。
また、候補が1つだけの場合でも、確認のために、即時変換しないで、
一覧表に表示することもできます。
この一覧表が表示されている時には、次の操作が行なえます。
一覧表示中のキー操作
↓ | 一覧表内のハイライト行を1段下に移動する |
↑ | 一覧表内のハイライト行を1段上に移動する |
Space | ↓ キーと同じ動作 |
Shift+Space | ↑ キーと同じ動作 |
PageDown | 一覧表内のハイライト行を次の頁に移動する |
PageUp | 一覧表内のハイライト行を前の頁に移動する |
Home | 一覧表内の最初の行の文字列にハイライトを移動する |
End | 一覧表内の最後の行の文字列にハイライトを移動する |
Esc | 一覧表を閉じる |
Enter | 現ハイライト行の文字列を入力する |
略語構成文字 | その文字で一覧表内の候補を絞り込む |
Backspace | 一覧表内の略語の候補の絞り込りを1字戻す |
Ctrl+1 | 一覧表内の第1行目の文字列を入力する |
Ctrl+2 | 一覧表内の第2行目の文字列を入力する |
: | : |
Ctrl+9 | 一覧表内の第9行目の文字列を入力する |
一覧表示中のマウス操作
左クリック | クリック先の行をハイライトにする |
左ダブルクリック | ダブルクリック先の行の文字列を入力する |
ホイ−ル回転 | 一覧表を上下にスクロールする |
■ 辞書ファイルの書式
●辞書ファイルの記述例
hm はじめまして、\@ と申します。
yo よろしくお願いいたします。
kk 株式会社
kk (株)
script スクリプト
h3~ <H3>\@</H3>
switch:-
switch( \@ )
{
case :
}
box:=
┌────┐
│ │
│ │
└────┘
table~:
<TABLE>
\@</TABLE>
補足説明:
- <略語> は、必ずしも短い綴りにしなくても構いません。比較的長い綴りでも、
先頭の何文字かで、候補が確定するか、少数に絞られます。
- 辞書ファイル内の <略語> の順には、特に制約はありませんが、候補の一覧には、
その記述順に表示されます。
- 辞書ファイルは、各範疇ごとに別ファイルにすると、整理し易くなります。
- 辞書ファイルの文字コードは、本ソフトが自動判別できるものなら何でも構いません。
■ コマンド形式
略語変換は、ListAbbr.mx という MikoScript で実現しています。
このスクリプトのコマンド形式は、次のようになっています。
ListAbbr.mx <オプション> <ファイル名> ...
説明:
- <ファイル名> には、「辞書ファイル」を指定します。この指定は、必須です。
辞書ファイルは、複数指定できます。
- 辞書ファイルの内容は、一旦読み込まれると、本スクリプトのグローバルスコープ内の
所定の箱に、保存されます。以降、<ファイル名> が指定されていても、同ファイルに
対しては、この保存内容が使われるので、読み出しのアクセスは行なわれません。
- /n または -n の <オプション> を指定すると、この保存は行なわれません。
この場合、毎回その対象ファイルにアクセスして、その内容を読み出すことになります。
- /r または -r の <オプション> を指定すると、上記のように保存されている
全ファイルの内容が削除されます。保存内容を更新する時は、このオプションを指定して、
本スクリプトを起動するか、または、本エディタを再起動する必要があります。
- /L または -L の <オプション> を指定すると、変換候補が1つだけに確定した
時でも、一覧表が表示されます。
- /m または -m の <オプション> を指定すると、変換候補が1つも見つからなかった
時に、その旨のメッセージボックスが表示されます。このオプションを指定しなければ、
その際、何も行なわれません。