特集第二号(連載その

           生涯スポーツとしてのトライアスロン!
              (ナンバについて3)

                
                                            2005年12月5日
                                             清水 正博
                                 
        兵庫県トライアスロン協会副理事長
                                                  健康道場「サラ・シャンティ」道場主


    ナンバ歩きの実践
       図1を見てください。これは飛脚さんが走る姿の写真で、右手右足を同時に出して走るナンバの証拠写真とし
       てよく使われるものです。書籍に掲載されているのは何枚かあり、違う飛脚さんがポーズしていますが、どれ
       も似たように、ポーズをとらして写真家が撮ったもので、よく見ると実際に走っているのでないことは一目瞭然
       です。どれも似てしまったのは、この時代のカメラ技術から考えて、飛脚さんにカメラの前でポーズしてもらい
       撮影したために右足を出した方が安定したからだと思います。当然ながら文箱を右肩にかつぐポーズに固定
       されるため、右手右足を出した記録写真になってしまったのではないかと推測できます。


         1        2 

                                                                                                                                    ナンバ歩きの不自然で誤解を生む「右手右足を同時に出す歩き」という説がまかり通るようになったのは、こん
       な静止のポーズで撮った写真が原因だとすると、この誤解が正しい身体論の普及の障害となっているのでは
       ないでしょうか。しかし図2は私が最近読んだ講談社学術文庫「絵で見る幕末日本」エメェ・アンベールに掲載
       されていた飛脚の絵です。これは実際に走っている見たままの印象をスケッチしたものだからでしょう躍動感
       があり生き生きしています。これを見て分かりますが、右肩に文箱を担ぐ飛脚が左足を前に出しているので、
       図1のような不自然さがありません。従って図1は明治に入って飛脚という職業の記録写真を残す意図で撮影
       されたものだと思います。
                                       ■
       前回にも紹介したシュリーマンの著書では馬丁が馬の横を全速力で走ってついてくるという驚きの紹介は、他
       の文献にも出てきますが、もし図1のような可笑しな走り方を本当にしていたとしたら、きっとこの時代に訪れた
       多くの外人たちは「日本人は右手と右足を出す可笑しな走り方をする民族だ」と興味深く書いたと思うし、それ
       が世界中でもっと流布していたのではないでしょうか。 この意見を覆す文献があれば教えて欲しいと思います。
                                       ■
       「ナンバ」とは右手・右足を同時に出す事といった誤った説明が一度頭にインプットされると、修正が難しくなる
       という困った状況が生じてしまいます。歩く時に右足と右半身を同時に前に出しても、腕の力を抜いていれば右
       手は後ろに振れます。ですから、ナンバは「右手ではなく、右半身(右腰・右肩)が右足と同時に出る動作」と正
       しく伝わるようになってほしいものです。最近の日本の短距離の陸上選手の走法の変化や女子マラソン選手
       があまり手を振らないで走るようになっていますが、これすなわち腰を捻らない動作「なんば」の影響が発揮さ
       れているとおもいます。
                                       ■
       前々回に紹介の斉藤孝は「身体感覚を取り戻す」の副題を「腰・肚文化の再生」とし、日本人の帯と腰肚の関係
       を詳しく説明しています。帯、フンドシ、腰巻の持つ役割が長い農耕社会から武芸や着物文化のを通して日常
       生活に知恵として深く生活に根付いていたのですが、残念ながら現代では衰退してしまったと述べられていま
       す。私たちが忘れている日常生活における知恵が満載されていますので、斉藤孝の「呼吸入門」角川書店も合
       わせてお薦めです。しかしこのような知恵は注意を向けて探せば全く衰退してしまった訳ではなく、幸いな事に
       私たちの身近にいくらでも残っていますし、身近でお手本になる方もいます。
                                       ■
       明治維新後に追いつけ追い越せで取り入れてきた西洋式ライフスタイルの良さも認めつつ、日本人が営々と築
       いてきた珠玉の文化遺産を再評価する時期にきている思います。しかし一度安易な生活に浸ると抜けられない
       のが悲しい人間の性で、糖尿や高血圧といった成人病を生活習慣病と言い換えても、肉食を減らし菜食中心へ
       と習慣を変えるのが難しいのと同じで、腹肚の身体法を修得するために、生活を見直すにはかなりの勇気と忍
       耐力が必要になります。子どもの時からしっかり教えられることが大切ですが、例えばイスを使わない畳の生
       活に戻す、少しの移動に車は止め自転車を使うなど、大人が変らないと無理ですよね。

                                ■
       さて、その腰肚文化の再生の具体的実践の一つとして「腹帯を締める」があります。杖道では稽古着として袴を
       着ますが、袴を着るには、結び目がヘソの下あたり来るように腰帯をシッカリと締める必要があります。袴の前
       の紐を帯の上に巻いて落ちないようにし、後ろの紐を帯の下の臍下丹田の前できっちりと締めつけます。 これ
       で腰の位置がしっかりして腹が据わった感じになります。武道を練習する時でも、袴を着ると着ないとでは上達
       に差が出ますが、これを上手に着こなす為に、ここで正しいナンバの修得が必要になります。なんばの腰と足
       の一体の動きを修得すると、どんなに動いても腰帯がヘソの位置より上がってくることはありません。当初私も
       下腹に巻いた帯がミゾオチへと上がってきて女性のスカートのようになりました。旅館のユカタも着慣れないと、
       宴会などの間に帯の位置が上がってだらしなくて、さまにならない姿になりました。しかし、武道が上達するに
       つれ、余分な腰の捻り動作がなくなるサバキが出来るようになりました。さらに細く長く息を吐く丹田呼吸法も徐
       々に修得できるようになります。

                                ■
       健康法で複式呼吸を指導することが多くなってきましたが、丹田呼吸法というのはヘソの下に意識を集めてす
       る腹式呼吸で、ヨガではクンバクと云い下腹と肛門を締めるように指導します。私は武道の諸動作にも「下腹を
       締めろ」と指導しますが、それにより逆腹式呼吸が修得できます。現代人は情報過多とストレス社会のために
       呼吸が短く、口で呼吸する人が多いと言われていますが、腹式呼吸により横隔膜を使って10から20位数えて
       鼻から吐く長い呼吸ができるようになれば、自律神経が制御できるようになり、副交感神経が安定して様々な
       病気を治し、健康管理に役立つことはすでに常識になっています。呼吸法は瞑想とか座禅のように座って指導
       されることが多く、音楽を聴いたり静かにリラクゼーションのような環境を求められるのが一般的です。自然体
       とは武道の鍛錬によっても得られ術ですから、歩いたり走りながらも出来て当たり前のハズです。(呼吸法は
       様々な指導法が氾濫していていますが、細かい違いに捉われないことでしょう)。

                                ■
       ナンバを1人で修得する方法の早道は袴を着て太刀を腰に刺し、居合いの練習をすると良いでしょう。歩く時に
       自然に左手は腰の刀の上に手が行き、右手は右腰の辺りに添えて刷り足で歩くようになります。抜く動作では、
       腰を引かないと刀は鞘から出ません、斬る時も左足を引いて右手右足が前に出ないと、自分の足を切る事に
       なります。しかし私が習っている杖道の場合は、杖と太刀が相対して型練習をしますので、相手の体格や実力
       によって違った動きになりますのでより実践的になります。 <つづく>


                  

     特集第二号(連載その                        2005年11月10日

               生涯スポーツとしてのトライアスロン!
                (ナンバについて2)
        さて、前回に続いて「ナンバ」について書いてみたいが、最近タイミング良く二つの記事が掲載されたのでそ
        れを引用させていただく。山下哲弘というスポーツトレーナーが10月11日神戸新聞に紹介されていた。トッ
        プアスリートが師と仰ぐ人らしい。彼は13年前に足首をねんざしたハードル選手の足首をテーピングで固定
        して大会に参加させたところ自己新記録を出した。この時に一部の動きを制限することで全体の運動効率が
        向上する事に気付いた。足首と膝の動きが制限され股関節を中心とした運動に変化し、より理想的なフォー
        ムになったことに気付いた。

                    
     トライアスロン誌11月号が「壁をうち破る動きのリセット術!」の特集を組んで、あの宮塚英也氏も「肝心な
        のは新しい技術より固定観念を捨てること」と書いている。彼は「現役時代に何度も変身を繰りかえした」と
        言ってたけど、実際にはその変身に何度も失敗していたと告白している。「結局それまでの自分の動きを捨
        て切れなかった。動きを捨てる勇気はあったものの捨てる方法を知らなかった」と。そして整骨院・鍼灸院「
        立川堂」の佐藤憲一氏のもとに毎週一度通い、背骨を自由に動かして全身を運動させ故障・限界知らずの
        身体を取り戻すことに気付いたそうだ。
                     
     さらに宮塚氏は「頭で考えずに人間本来の動きを感じる」、「背骨を左右にユラユラ揺らす」と書いて、背骨を
        揺らして歩く写真が沢山掲載されている。これを見たら「アメリカの黒人たちのヒップホップな歩き」のようで、
        彼らならカッコ良いが、私たちがマネすると変な人と見られてしまうが最近の若者ならやれそう。R&Bのリ
        ズムを体に現して歩く黒人たちが、競技でリズムよくリラックスして心身の力を発揮することと関係あるのだ
        ろう。余談ながらこの数年「よさこい・ソーラン祭り」が全国各地で展開しているが、大阪でも神戸でも沢山の
        グループが出場して踊りを競う祭りが盛んだ。リズムに合わせパワフルに踊り元気一杯自己表現している
        のは大半が女性たちである。このハツラツ元気なウーマンパワーの動きを見ていると、日本の女子がマラ
        ソンや他の競技で活躍するのと根っこが同じでありそうだ。

                    
    
神渡良平著「春風を斬る」の中で、明治天皇の指南役であった山岡鉄舟は皇居から横浜、小田原、箱根を
        越えて三島・円通山龍澤寺まで座禅を組みに通ったと書かれてある。距離は往復260キロ、それを月に2
        回ぞうり履きで二日間で往復したそうだ。もちろん走らないと往復できない距離で、食べものもお茶漬けや
        おにぎり、服も木綿など重たい服だったろうし、雨風をどのように凌いだのか。お寺についてスグに座禅を組
        んで、江戸城へ引き返す、それを3年間も続けた。

                  
        考古学者シュリーマンの旅行記「清国・日本」を読んだら、この時代の街道筋の状況や日本人の生活ぶり
        が詳しく書かれたあった。街道は茶屋があったりして人通りが多く、途中休憩したり飯を食べるような場所
        はいくらでもあったようだ。シュリ−マンが横浜に滞在していた時、イギリス人6人と絹の生産地で手工芸の
        町の八王子へ馬を借り、馬丁7人を雇い連れ立って行ったとある。「馬丁は下帯だけの素裸で、馬とスピー
        ドを競うかのように駆け足で我々の後を追った」と書かれてある。1865年6月18日から20日と日付も書か
        れてあり、天気は土砂降り続きだったそうだ。

                              
       また、シュリ−マンが江戸への街道を馬に乗って全速力で向かった時も、「全身に刺青した馬丁が馬の速
         さと競うようにあとを駆けてきた」とある。こうした記述を見て驚く事だが、なんと厳しい環境でも平然とふだ
         ん着で長い距離を移動していた事が分かるし、その疲れ知らずの持久力に驚嘆する。最近出版された「ナ
         ンバ」についての本では、走るという行為は飛脚や籠かき、忍者という限られた特殊技能だったと変な事が
         書かれている。しかし、そんな不自然な事はないだろうと私は思う。子供の時は走って遊んだろうし、大人も
         必要に迫られたら走ったろう。私たちも素足で歩くと足の裏が痛くて神経が敏感になり、下腹がきゅっと締ま
        った姿勢になる。草履でも石の上を歩くだけでかなり痛い。毎日石だらけの街道や山道を歩き続けると、腹
        が据わった体になるに違いない。それは武芸者であろうと、旅人であろうと、農民であろうと同じで、飛脚だ
        けが特別な足の裏をもっていたと思わない。岩や根っこが飛び出した場所で子供の時から裸足で育つと、
        どんな運動能力が育ち、生きる姿勢が生まれるか。底の厚い靴を履いている私たちの世代と、昔の人とい
        ろんな点での運動能力の差が生まれると思う。

                              
        したがって「長い歴史の大半、裸足生活の人たちが自然に身につけていたのが「ナンバ」であって、現代の
        靴文化になって踵をガンガン地面に当てるような歩き方が始まった」と考えても変ではない。足の爪先だけ
        に履く「半足」という草鞋などは、まさに「爪先歩き」が普通であったことを証明している。爪先歩きをすると、
        当然腰から歩く「ナンバ」になる。右手と右足(あるいは左手左足)が同時に出す動作は、何も昔の事では
        なく、よく観察すると私たち現代人の日常生活のあらゆる事に使っている。テニス、ゴルフからクワで畑を耕
        すような日常の道具を使った動きはほとんど「ナンバ」であり、従って、歩く、走る、泳ぐも「ナンバ」が正しい
        ということになる。

                              
       最初に紹介した山下さんのように「膝や足首の動きを制限すると股関節を中心とした運動に変化し、自己
        新が出た」ことに気付くのは大変まれなこと。自己新を出なかったら山下さんは気付かなかった。気付いて
        も実行しなかったら、それまで。「縁に気付いて、縁を生かさず」という言葉があるが、読者も「ナンバを知っ
        て、ナンバを生かさず」に終わらないよう実践してみてください。実践すればするほど周りに同じ動作がある
        ことに気付き、それを生かし始めると面白くて夢中になり健康になります。 (つづく)


                   

        特集第二号(連載その                      2005年10月21日

                    生涯スポーツとしてのトライアスロン!
                 (ナンバについて1)

          境問題では江戸時代の全循環システムとか日本人古来の生活が見直されている中、ベス
        トセラーになった「バカの壁」の養老猛、「身体感覚を取り返す」の齋藤孝の本が良く売れ
        ており、古武道の体術などの伝統文化の復活の兆しがあります。前号では胆力、スリ足、サ
        バキ、ナンバなどの古武道のカラダの使い方について書くと予告しましたが、タイミング良
        く「ナンバ歩きで脅威のカラダ革命」が立風出版から出ました。
        この中でチームテイケイの八尾監督がTJ誌の中で述べられている「2軸理論」も紹介され
        ていて参考になりますので是非読んで頂きたいと思います。インターネットでも「ナンバ歩
        き」で検索すると以前よりずっとその数が増えました。どれも似た様な内容ですが、ここで
        は私の体験を通して自論を展開させてください。
                          
              
きなり「かかと着地は間違っている」と言うと、「え、ウソ」と思われるでしょう。そ
        う「ナンバ歩き」は足の裏をフラットに着地します。だから平地では少し踵から着地するで
        しょうが、「爪先着地」を意識した方がうまくいきます。困ったことに最近女性に人気のデ
        ユーク更家さんは日本人のすり足は間違いと確信をもって言われてます。が、果たしてそう
        なんでしょうか? 美しく歩くことで日本の女性が生き生きと健康になるのですから、彼の
        活動は素晴らしいことだと思っていますが、でも先日テレビでの映像をみたら疲れたれた人
        が膝から下だけ動かす歩きを「すり足」と示して。日本人の歩き方は間違いと言われると、
        何千年の長い生活から生まれた日本の体文化の狂言、能、舞、相撲から各種の古武道などの
        「すり足」まで全否定されてしまいそうで心配です。

                                        
         
武道に沢山の流派がありますが、どれも死ぬか生きるか自分の命を守るために必死に編
        み出され受け継がれて長い間に一つの流派となり現代まで生き残った体の文化です。古武道
        は一般に型稽古として伝授され、繰り返し稽古する事から理合を学び上達できるのですが、
        習う時も真剣でなければなりません。日本のような平和ボケの社会で命がけになって朝鍛夕
        練せよと言われても実際難しいところです、しかし理合をきっちり指導できる良き師範と出
        会う機会があったらぜひご縁を大切にしてください。こうした貴重な対術の知恵が明治以降
        に否定されてしまったのは大変勿体無いことでした。
                          
         
ルとか100キロを走っていて気付いた人は多いと思いますが、体を捻る走りより、捻
        らない走りのほうが楽だと思った人は多いと思います。そして腰から、あるいは肩から順に
        又は同時に足を出すようにすると「ナンバ」になり走りが楽になります。それは捻りが入ら
        ないし、腰から振り子運動で足を出すようになりモモ挙げ・蹴りが少なくてすむからです。
        私がトライアスロンを始めた時に一番嫌だったのは、シューズの踵の外側ばかりが減って、
        爪先部分は新品同様で捨てるのが惜しかったからです。しかしある時マラソンの一流選手は
        靴の全体とか前の部分ばかりが減ることを知って私は自分の走り方に疑問を持ったのです。
        子供の頃を思い出すと、運動靴はつま先部分が開くほどボロボロになるまで履いていたこと
        を思い出し、なぜかと考えました。そして子供の頃はつま先着地だったのではないかと気付
        いたのです。


                         

       特集第二号(連載その)                            2005年10月13日

                      生涯スポーツとしてのトライアスロン!

       のテーマで書き始めた矢先、第2回の淡路大会で死亡事故が起こってしまったことは本
        当に無念遣る方無い思いです。亡くなられた方は健康のためにとトライアスロンに挑戦され
        た訳ですから、なんと言ってもご本人が一番無念であった事だと思い、思い出すたびご冥福
        をお祈りしている次第です。

                              
        がトライアスロンを始めた頃は、大会に申し込む際に必ず医師からの健康診断書をもら
        って書類に添付したものですが、それも徐々に形骸化してしまいました。例え、医者から太
        鼓判を押されても、大会当日にベストの状態にもっていける人はほんの少数でしょう。私も
        この21年間に練習中も含めてどれだけ命拾いしたかしれない事が度々ありますし、その事
        をを思うと本当に生かされていると感謝するしかありません。

                                 
        4年前にニュージランドのアイアンマンに参加した時は、大会3週間前に二人の方が現地
        で自動車事故で亡くなられたニュースが続けて入ってきて、トライアスロンには環境抜群の
        国との思いこみを打ち壊されました。現地についての練習時も20トン車がスピードを落と
        さずに追い越す度に命の縮む思いをし、恐くて練習する気が失せてしまいました。
                       
        こんな思いをしてまでも、やはり私にはトライアスロンは生涯スポーツだとの信念は失せ
        ません。3つの種目を安全に気持ちよく完走した時の気分は最高ですし、それをやり遂げた
        ことの満足感やそれに到るまでの充実した練習の日々が、健康なライフスタイルを確立する
        ための私自身の知恵の蓄積になりますし、生涯元気で生き通すという意欲を高める大切な修
        行だと思っているからであります。
                           
        20年来一緒にトライアスロンをしてきた50才代以上の仲間達には、大まかに2つのタ
        イプに分かれます。一つは記録にこだわってきた人、一つは完走を楽しむ人です。前者の人
        は記録を維持するために、練習量が多いことで、やはり腰やら膝を痛める事が多く、保険や
        ら医者のお世話人によくなっておられます。そして「もう限界や、そろそろ引退する」なん
        て言葉をちょくちょく口にされます。

                              
           者の方は、私も含めてトライアスロンを口実に旅を楽しみ、なんとか時間内のゴールが
         出来ればよいと、練習も出来る限り少なくて済むように知恵を絞ります。安全面にも注意を
        怠り無くし、バイクの練習も危険を避けるために熟知した家の周辺だけに限ります。
                           
          練習に一番時間をかけているのは室内でのヨガですが、これは筋肉や関節をやわらかくす
        るだけではなく、アイソメトリックスとしての筋肉トレーニングになりますし、教室に通う
        と女性が多くて楽しくリラックスできます。
                       

           私は神道夢想流杖道という古武道も長年取り組んでいますが、これも身体術として含蓄の
        ある深い教えがあり、ヨガ同様にトライアスロンの3種目にも役立つ身体操作があることを
        学ぶことができます。例えば、すり足、なんば歩き、胆力、胴体力、膝行、間合い、サバキ
        の中心感覚など、なんだ一緒だと気づくことが多く、長く続けるほどに楽しさが増してくる
        というものです。テイケイの八尾監督からも今年の年賀状に「古武道のテクニックを取り入
        れている」と書かれていました。次回からはそうした事を、書き綴っていきたいと思います
        。そのためにも会員の継続をお願いします。


                    

        特集第二号(連載その                         2005年9月4日

                    生涯スポーツとしてのトライアスロン! 

        21年前に兵庫トライアスロンクラブの結成に参加し、震災後は年に一度ロング・タイプ
        を健康管理を目的に続けています。今回は生涯スポーツとしてのトライアスロンについて日
        ごろ考えていることを書いてみたいと思います。
                              

     
  会員の方も競技目的、健康目的と取り組み方は様々だと思います。しかしトライアスロンを
        知らない一般の人は、トライアスロンは過酷で健康に良くないと考えている人が多いようで
        す。ですから生涯スポーツなんて言っても、イメージできない人が大半です。それだけトラ
        イアスロンへの間違った理解が世間にあるのは残念な現実です。

                        
     
  しかしどうでしょう、最近話題の三浦敬三さんも100歳でスキーを楽しまれていますが、100
        歳に近い高齢者で走る人、泳ぐ人、自転車に乗る人が時々話題になることがあります。ですか
        ら私の考えているトライアスロンも、こんな感じで3種目を楽しんで続けられたら無理ではな
        いと思うのです。今さら都会生活を脱出する気はありませんので、車、バス、電車など使わず
        に、身近な生活圏の近距離を歩き、走り、自転車で移動するようにし、そしてプールでの水泳
        やストレッチを適度に楽しむことを続けていれば、年に1度や2度のトライアスロン大会にも出
        場できると思っています。
                         
    
    
災の前までは、タイムや順位をこだわり、練習に時間をとって無理をしていました。今か
        ら考えると、自分の身体を随分酷使していたと思います。震災のお陰で生活がかわり、その為
        に競技志向が排除でき、マイペースでレースを楽しめるようになりました。練習時間は減りま
        したが、ロングタイプを完走するだけの最低限の体力と気力を維持しています。しかし最近つ
        くづく感じるのはロングは体力や気力も必要ですが、体の中の記憶とか、場数を踏む事から得
        られるリラックスした意識や姿勢も必要不可欠な要素だということです。そして諦めない気持
        ちが大切だと思います。

                                   
        論、この境地に到るまでには長い時間を要しました。例えば練習の時は大して水や食料を
        摂らないのに、なぜか競技の時は過食していることに気付きました。それは不安やストレスに
        起因していた訳ですが、それに気付いて随分楽になりました。水分摂取は本当に喉の渇きを感
        じるまで控え、補給も少し空腹感が起こるまで抑え、頭ではなく体の声を聞くようにします。
        普通は先に先にと言われていますが。


        また練習できなくて不安を感じる時は、完走できなくても良いじゃないと居直ると楽になり
        ます。宮古島大会の場合は14時間を一杯とってゴールするように時間配分すると、どんなに人
        に抜かれても、後方を走っていても気にならず、亀さん気分でいられます。前半で体の調子が
        良いからと、スピードを上げたりすると結局後半にそのツケが回ってきて苦労します。正しい
        リズムやピッチを守って、リラックスして自分を見失わないことは、すなわち座禅や瞑想の境
        地かもしれません。

                                   
        こうしたことは会社や家庭の仕事や日常生活でも生かすようにしていますが、これはトライ
        アスリートだからこそ得られる「生活の知恵」だとトライアスロンとの出会いに感謝していま
        す。他人と比較せず「自分との対話」を大切にし、「未知の自分を知るため」にと取り組めば
        、生涯役に立つ深い知恵を得られると思っています。


        また練習できなくて不安を感じる時は、完走できなくても良いじゃないと居直ると楽になり
        ます。宮古島大会の場合は14時間を一杯とってゴールするように時間配分すると、どんなに人
        に抜かれても、後方を走っていても気にならず、亀さん気分でいられます。前半で体の調子が
        良いからと、スピードを上げたりすると結局後半にそのツケが回ってきて苦労します。正しい
        リズムやピッチを守って、リラックスして自分を見失わないことは、すなわち座禅や瞑想の境
        地かもしれません。

                                   
        こうしたことは会社や家庭の仕事や日常生活でも生かすようにしていますが、これはトライ
        アスリートだからこそ得られる「生活の知恵」だとトライアスロンとの出会いに感謝していま
        す。他人と比較せず「自分との対話」を大切にし、「未知の自分を知るため」にと取り組めば
        、生涯役に立つ深い知恵を得られると思っています。


       
 特集第一号/芦屋浜アスリートクラブHP公開記念

                                     芦屋の強豪女性ランナーたち
            
            2005年4月8日
                                                  事務局編集

兵庫県芦屋市は総人口92,000人・総面積18.57km2のチッチャナ街である。
その街になんと4名の凄い女性ランナーが住んでいるのだ。


東京・大阪・名古屋・神戸の各国際女子マラソンはもとより、
関西一円のレースに積極的に参加し好成績をおさめ続けている。


なぜ芦屋なのか?その女性たちは非凡なるアスリート魂の持ち主たちであるのは
言うまでも無い。恵まれた身体能力に加え素晴らしい芦屋のトレーニング環境が
備わっているのだから鬼に金棒。
今後ともこの女性ランナーたちの活躍に注目していきたい!


この度、芦屋浜アスリートクラブ(AAC)のホームページ公開を記念し、
この素晴らしい芦屋の強豪女性ランナーたちをご紹介しよう!(あいうえお順)

                                                

氏     名:井床 善絵氏
        :1961年9月16日
職        業:会社員
マ ラ ソ ン   歴:23年
経験スポーツ歴 :バスケットボール・水泳
                 陸上競技(ハードル)
特       技:食べること
好きな 食べ物  :いなり寿司・オムライス・ザッハトルテ

過去のベスト記録: 
    1. 1994・5     黒部マラソン         10km    38:36
          2. 1994・1     大阪国際女子マラソン(通過中) ハーフ 1:22::0
          3.  1994・1・30   大阪国際女子マラソン       フル   2:46:34

  最近の主な記録:
          1. 2005・ 1・2   稲美町ロードレース        5km   19:06

  チョット一言:
           今まで以上に「自分との戦い」となって来ました。
           これからも元気に走り続けたいと思っています。
           がんばります。

                                                 

氏      名:三枝 惠美氏
        :1960年1月19日
職        業:会社員
マ ラ ソ ン   歴:15年
経験スポーツ歴 : テニス
好きな 食べ物  :トマト以外

過去のベスト記録: 
    1.1999・ 6・28(日)大阪選手権       10km     33:58
         2.1994・12・18(日)三田国際マスターズ     ハーフ  1:17:21
        3.1996・ 3・10(日)名古屋国際女子マラソン  フル   2:38:10

      最近の主な記録:
         1.2005・  3・13(日)名古屋国際女子マラソン   フル    2:44:57

  チョット一言:
       私の初マラソンはハワイで開催された車イステニス大会に同行させてもらった時に、
         参加したホノルルマラソンです。
         一生の思い出にと参加したのですが、車イスの方々がタクシーに乗って何度も応援して
         下さりとても楽しく走れ、ゴール後は最高に気持ち良く言葉で言い表せない程感動しま
       した。
      それから病み付きになり早15年程経ちます。現在まで走れて来られたのも多くの方の

         お陰と感謝しています。
      これからも気力、体力の続く限り頑張って行きたいと思います。


                                                

氏      名:西川 加代氏
        :1965年6月30日
職        業:会社員
マ ラ ソ ン   歴:9年
経験スポーツ歴 :バレーボール(小・中・高)
好きな 食べ物  :焼きたてパン

過去のベスト記録: 
   1. 2002・12・15 防府読売マラソン     10km   36:39
          2. 2002・11・ 3 吉野川ハーフマラソン    ハーフ  1:19:14
          3.  2002・11・17 東京国際女子マラソン    フル  2:46:40

  最近の主な記録:
          1. 2004・ 1・25  大阪国際女子マラソン      フル   2:55:06
          2. 2004・ 3・14  京都シティーハーフマラソン  ハーフ  1:21:30
          3. 2004・ 3・21  日本海マラソン               フル  2:49:33

    チョット一言:
      マラソンとの出会いは三十路記念に大きな感動を求めて友達と走ったホノルルマラソ
      ン。そして現在所属しているチーム「ナイトラン・エキスプレス」との出会い。

         マラソンは年齢性別を問わず一喜一憂できるところが楽しいです。
      2年前から地元密着型の「芦屋浜アスリートクラブ」の土曜日練習会に参加させて頂
      き、刺激をもらっています。

      これからも色々な方々との出会いと、大きな感動を求めて走り続けたいと思います。
      今後ともよろしくお願いします。

                                                     

氏      名:山下 早苗氏
        :1965年2月23日
職        業:中学校教諭(国語)
マ ラ ソ ン   歴:5年
経験スポーツ歴 :バレーボール(中)
                        器械体操(高)・テニス
好きな 食べ物  :ビール

過去のベスト記録:
   1. 2003・ 1・26  神戸市ティーマラソン    10km  39:39
          2. 2004・11・23  名古屋ハーフマラソン     ハーフ 1:28:00
          3.  2005・ 3・13   名古屋国際女子マラソン    フル 3:12:11

     最近の主な記録:
          1. 2004・12・12  大阪女子30kmロードレース 30q2:09:44
          2. 2005・ 1・30   大阪国際女子マラソン       フル 3:22:09
          3. 2005・ 3・13   名古屋国際女子マラソン      フル 3:12:11

      チョット一言:
            中学校の教師として色々な運動部の顧問をしながら、生徒と一緒に走ったり市民マラソ
        ンに出たりして、5km・10kmくらいの距離を楽しく走っていました。

            30歳を過ぎて当然のように遅くなって行ったのですが・・・・
            35歳を過ぎてからどう言うわけかタイムが早くなり、嬉しくて早朝ランを始めるなど
        本気で取り組み始めました。
        2003神戸全日本女子ハーフマラソンで1:29:57の記録を出し、国際女子マ
        ラソン大会の出場権を得、39歳で2004名古屋国際女子マラソンに初出場を果た
        すことが出来ました。今年は40歳で東京国際女子マラソンに初挑戦。

            今では、体力の限界は気力で打ち破れると実感しています。