◆パペット◆ 連載を終えて
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いやぁ、終わりましたねぇ。正直終われると思いませんでした。未完の女王だった私も、終わった作品の方が多くなってきちゃったなぁ(何の自慢にもならない)。
連載開始は1996年の夏。途中に長い中断があったとはいえ、終わるまでに丸7年かかったわけです。ホームページを開設して、小説を載せようと思って、ぱらぱらとノートを繰っていたら冒頭だけ書いてほったらかしていた『パペット』が出てきて、ごく軽い気持ちで「続き書いてみよう」と思って始めたら……全34回にもなってしまいました。冒頭を書いたのはたぶん1992年ぐらいなので、去年の夏脱稿するまでなんと足かけ10年! ほんとによく終わったなぁ。
実を言うと、92年のネタの段階では「ムトーとジュリアンが出逢ったらそこで終わり」と考えていました。追う者と追われる者が出逢って、でも謎は解明されないまま「何だったんだ!?」で終わる。連載を始めた時も、そのつもりでした。そのつもりだったけど、いざ二人が出逢ってみると「やっぱこれで終わるのはあまりにもあまりにもか」と思ってもうちょっと(っていうか、かなり)続けてみました。それが良かったのか悪かったのかはわかりません。もし92年にそのまま最後まで書いてたらこうはならなかっただろうし、出産による中断がなくてもこうはならなかったのかもしれない。ただ、今の私には「きっとこの物語にとってこの10年は必要な10年だったんだな」と思えます。
連載ということで、冒頭部分以外は「毎回の長さを揃える」のと同時に、「どうなるの!?というところで終わる」を心掛けたつもりです。毎回毎回一番「どうなるの!?」と思っていたのは誰あろう私自身……。連載である以上、一旦サイトに載せてしまったら「やっぱりやめとく」はできないわけで、普通の長編を書くのとは違う緊張感がありました。
連載が初めてなのはもちろん、こうして大勢の人の目に触れるというのも初めてで。間違いなく、今まで書いた中で一番色んな人に読んでいただいた作品です。初期の頃、このサイトとは別にT−Netという地方ネットでも連載させていただいていて、同じく小説を発表していらしたMJさんという方にムトーのセリフをパロっていただいたりして、本当に励まされました。諸般の都合でT−Netでの連載は途中までになってしまったのですが、やっと終わりましたよ!MJさん!
その他『ひなたぼっこ』の取材で来て下さった記者の方に「面白い」と言っていただいたり(記事中にも「連載中のSF小説」と言及していただきました)、『パペット』のおかげで出逢えた方々……。自分の紡いだ物語で、人との縁を結ぶことができる。こんな嬉しいことはありません。
皆さま、長い間お付き合い下さり、本当にありがとうございました。この作品がほんの少しでも、皆さまの心に響いてくれるといいのですが。
2003年10月 日向 霄