本の虫

◆第14回『るろうに剣心〜明治剣客浪漫譚〜/和月伸宏』◆

 経済的及び空間的理由で新しい作家やシリーズには手を出すまいと努めていたのに、久々にハマってしまいました。この作品、現在アニメも放映中なのですが、主役・緋村剣心の声を元宝塚スターの涼風真世さんがやってまして、彼女のファンだった私、冷やかしのつもりでチャンネルを合わせたのです。したらけっこう面白くて、ついついコミックスに手を出してしまい、するとアニメ以上に面白くてあっと言う間に全巻そろえてしまい、今や夫婦二人して水曜日(アニメの放映日)とコミックスの発売日を心待ちにするという状況に陥っています。

左之助  『明治剣客浪漫譚』という副題が示すとおり、時は明治。幕末の動乱のさなか、「人斬り抜刀斎」として最強無比の名をほしいままにした剣客・緋村剣心が、「もう決して誰も殺さない」と誓って逆刃刀(さかばとう)を手に諸悪と闘う、というお話です。まぁ早い話がめちゃくちゃ強い主人公が、次から次へと現れる強い奴を倒して回るという少年マンガの定番ストーリーなんだけど、設定の良さとキャラクターの魅力、そして「話のうまさ」で読ませてくれます(ついでに泣かせてもくれる)。で、なんか作者の真摯な態度がいいんですよ。私より年下なのになんてしっかりしてるんだろうと思ってしまうんです。物語や作品、作家であるということに対する考え方など……(私がしっかりしてないだけか)。

 主役の剣心もいいですが、私は何と言っても左之助のファン! 直情型の性格ゆえにみんなからバカ扱いされ、ちっとも実力を認めてもらえない左之助だけど、でも彼は実はとっても賢いというか、「ちゃんとわかってる」子だと思うんですよねぇ。器用に生きられなくて何が悪い、器用に生きてる奴に善人なんかいやしねぇ、とでもいうのでしょうか。まっすぐな心ほど強いものはないのだ。先頃出たばかりのL巻では本当にカッコよくってお姉さんは嬉しいぞ!

 新撰組の生き残り、斎藤一さんも大好き。特に左之助とのやりとりがめちゃめちゃ面白くて好きです。京都編が終わってもちゃんとレギュラーで活躍してくれるのかなぁ。

 アニメもけっこうよくできていますが、時々入るオリジナルストーリーがやっぱり、なんか、違うんですよねぇ。と言いながら毎週しっかり録画して見てるんですけど……。

 ともあれ。早く続きが読みたい!

『るろうに剣心』@〜L
以上 和月伸宏(集英社ジャンプコミックス) 週刊少年ジャンプ連載中


●次回予告●

次回は『力の言葉/デイヴ・ダンカン』です。


『本の虫』インデックスに戻る