ひなたぼっこ


◆第110回『引っ越し狂騒曲』◆ (2023.07)

 はい、『M Magazine』の更新をサボっている間に息子氏、あっさり社会人です。この『ひなたぼっこ』は生まれてすぐから書いていたような気がするので(妊娠中の前段は『アマ小説家』の方で書いたような? さすがにもう記憶がない)、25年間、揺り籠から通勤電車まで。よく続いてますねぇ、一大歴史絵巻ですねぇ、すごい(自画自賛)。

 しかし息子氏、今のところ「通勤電車」には乗っていません。会社の独身寮に住んで、晴れの日は自転車、雨の日は徒歩通勤。そこそこ歩くようなので雨の日は大変だけど、「ラッシュアワーの電車に乗って往復2時間」とかを経験しなくていいのは楽ちん。まぁすでに高校時代に「ラッシュの電車で片道1時間強」をやってますけども。アホほど大きくて重たいリュック背負ってねぇ。3年間皆勤でよくがんばった。

 で。

 寮の話です。

 最初は寮ではなく、自分でアパートを探すようなことを言ってたんですよ。寮は家賃が非常に安い代わりだいぶ古いし、「大型家具禁止」になってて、下宿で使っていた諸々が運び込めない可能性大。何より「自分の好きにできない」。トイレやお風呂は共用で、色々制約がありますからね。

 自分で探すなら早いうちに探して引っ越し業者さんの手配もしないと、と思ってたんですが、大学の先輩や、すでに就職して寮生活をしているお友だちなどに話を聞いた結果、「とりあえず最初は寮に入ってみたら」と言われたそうで、寮生活をすることに。

 引っ越し費用は会社持ち(上限あり)なれど、入寮日は3月30日か31日の2日間限り。大学にはもう3月頭ぐらいで行かなくてよくなるので、下宿にいつまでいるか、下宿から寮への荷物をどうするか、など、引っ越しの段取りが難しい。ずっと自宅住みで自宅から入寮する新入社員は30日から31日に荷物と一緒に入ればいいでしょうが、そんなギリギリまで下宿にいるのは金銭的にも片付け作業的にも厳しい。となると一旦滋賀に荷物を移して、そこからまた引っ越し???

 荷物は入寮日より先に入れてもいい――というかむしろ「先に入れろ」だったので、下宿から引っ越し業者さんに大きな荷物(テレビやら冷蔵庫やら布団やら衣装ケースやら)は運んでもらって、細々としたものは一旦滋賀に移して、入寮日に自分で持っていくことに。どっちにしても2回引っ越すようなもので、なかなか大変でした。もうあんまりよく覚えてないけど……。

 まず3月の第一日曜日に旦那氏と二人で「引っ越しの前準備」に行きました。滋賀に持って帰れるものは先に持って帰っておく。旦那氏の車はそれなりに大きいけど、載せられる荷物の量には限りがある、とても1回では運びきれないだろうということで。でも結果的にこの日は段ボール2つぐらい持って帰ってきただけだったような? なんせまだあと1週間以上は生活する予定なので、持ち出せるものは限られている。おなじ理由で、荷造りできるものも限られている。「業者さんにはどれとどれを運んでもらうか」「どれはもう処分するか」といったことを親子で検討しただけで終わったような……。それでなくても「片付け」が苦手な私、ほぼ何の役にも立ってませんでした。下宿に引っ越す時は旦那氏が仕事の都合で来られなかったので、私もそれなりに頑張ったんですけども。息子氏が録画してくれてた白鵬の特番(滋賀では放送がなかった)を見たのと、お昼にご馳走を食べたくらいしか記憶が。

 その後、息子氏一人でがんばって荷造りをして、業者さんに荷物を託したのが3月16日。繁忙期ということもあってか、何時に業者さんが来るのかわからずずーっと待っていて、結局夕方 6時頃になってやっと搬出できたらしい。寝具も全部運んでもらうので、その夜はもう下宿では寝られない。なのでこっちへ帰ってきて、夕飯もこっちで食べる段取りだったので、そりゃもうやきもきしましたよ。こっちにも段取りがあるんじゃあああああ。

 で、3月18日に「残った荷物の引き取りと下宿の掃除」に親子3人で向かいました。またしても途方に暮れました……。え、なんか、全然片付いてなくない? まだまだ捨てるものとか仕分けからやんなきゃじゃない? 業者さんに持っていってもらうものは頑張って荷造りしたけど、それ以外は――という状況で、調理スペース周り(一口IHコンロと狭い流し台)の掃除もほぼ手つかず。ぐぅぅ、私も人のこと言えた義理じゃないけど――というか私の躾けがなってなかったんだろうけど、一日でこれ片づけて滋賀へ帰らなきゃいけないのかぁ。うわぁ。

 朝、渋滞で到着が遅れたのもちょっとつらかった。世間的には連休だったんですよね。あまりに関係がなくて忘れてたけど。朝から雨で、雨なのにみんなどこへ行くんだよ~と思ってました。荷物運ぶのにはそれほど支障のない降り方で助かったけど。なんせアパートに直接車を置けないので、最寄りの有料駐車場に停めて、往復。最後段ボールはさすがにアパート脇に車持ってきて積み込んだけど、もし大雨だったらそれも大変だった。古紙回収がない自治体で、色々とゴミが捨てにくかったのも片付かない原因ではありました。車に全部積むの厳しかったから、わざわざ宅急便に出した箱もあったし。コンビニまで持っていくのがそこそこ大変だった、ほんとに雨がたいしたことなくて良かった。

 なんせパソコンが。

 デカい!!!

 昨年の秋だったかな、ずっとLet's noteだけだった息子氏、ついにゲーミングなデスクトップPCをGetして、写真では見てたんだけど、実物見たら予想以上に大きくて、箱に入れるとさらにデカい。精密機器だからぞんざいに扱えないし、重いし、もちろんモニターもあるし、「えええ、これどうすんねん」「なんで引っ越してから買わないんだよ」という。無事運べて良かった。

 疲れたのでこの日もご馳走。昼も夜もご馳走。3月の出費、エグかったな……。

 息子氏は数日後、また下宿の方に行って、こたつ机や本棚等、処分するしかない大物を業者さんに引き渡し。こたつ机は6年使って天板割れちゃってたからいいけど、本棚はもったいなかった。こっちに欲しかったよぉ。背が高い&分解できないので、とても車には積めなくて、まだきれいなのに持って来れなかった。寮の方も「大型家具禁止」で、部屋の大きさがどれくらいなのかわかんないから運べなかったんだよねぇ。会社持ちの引っ越し費用が「初めてのひとり暮らし用」みたいな最低限パックで、「これ以上はダメ」だったし。

 そしていよいよ3月末、入寮。

 親子3人、大量の荷物とともに寮へ向かいました。同じ時間帯に数人入寮がありましたが、うちみたいに段ボール2箱(だった気がするけどもしかしたら1個だったかも?)+デカいパソコンの箱+その他掃除機など諸々をどーんと持って来ていたのはうち一人。親が2人ともくっついて来てるのももちろんうちだけ。どんだけ過保護やねーん! いや、だって、寮とか入ったことないからどんな感じか見てみたいし、引っ越し当日しか入れない(あとは家族であっても部外者の入寮は禁止)ので行くしかない。行くしかないでしょう!?

 下宿から業者さんに運んでもらった荷物はすでに部屋に入っているので、まず軽く部屋を掃除したあとそれらを片付けていくわけですが……うーん、どこから手をつければ。部屋は予想以上に広くて、「これなら本棚入ったじゃん!」って思ったんですが。トイレもお風呂も調理場もない分、「部屋」自体は正直下宿より広くて、押し入れスペースもしっかりあって、居住性は十分。年代物だったエアコンも後日新しいものに取り替えてもらったらしいし、「これがこのお値段で住めるのはさすが寮!」でした。

 とはいえ建物自体は古いので、トイレや大浴場はかなり……かなり……心配な部分も。あと洗濯機と乾燥機がだいぶヤバいらしい。どちらも共用、さほど多くない台数をみんなで寄ってたかって使うので、フィルターとか汚れがエグいらしい。……みんな、掃除しよ……、きれいに使お……。

 なので息子氏、入寮してすぐは「早く引っ越さないと」と言ってたんですよね。トイレも暖房便座なくて冷えるから「冬は無理」(彼は大変お腹が弱くてトイレが長い)、食事も安い代わりだいぶ寂しくて、土日は外食か弁当を買ってくるしかない(食堂が休みで、自力調理もできない)。狭いながらもこれまで「自分の城」(下宿)で好きに暮らしていた息子氏には、何かと気になる点が多かった。

 でもやっぱり寮は「とにかく安い」。自分でアパート借りたらどうなるかと試算した結果、今は「寮を出るべきか出ざるべきか」と悩んでいる様子。家賃だけで今の何倍もかかるわけで、少々の不便は我慢してまずはお金を貯めた方がいいのでは、と。また引っ越すとなるとそもまず引っ越し費用がかなりかかる。洗濯機も買わなきゃいけない、自分で掃除も全部しなきゃいけないし、寮ならとりあえずご飯があるけど、仕事から帰ってきて、毎日ご飯を作れるかっていったら、ねぇ…。学生時代は時間に余裕があったし、学食という強い味方もあったけれども。

 またすぐ引っ越すかも、ということで下宿から持って帰ってきた食器その他、段ボールそのままなんだけど、さてどうなるかなぁ。しばらく引っ越さないんだったらこの段ボール、どうしよう……。

 入寮当日は片付けのあと、役所へ行って住民登録、近所のスーパーの偵察兼ねて必要消耗品の買い出しなど盛りだくさん。もうあんまり覚えてないけど大変だったなぁ。晩ご飯はまたご馳走だったかな、いや、超久しぶりにびっくりドンキー行ったんだったか。息子氏は入寮日、寮で夕飯が出た(というか頼んでいた)気がする。

 社会人になってかれこれ3か月、今のところ残業などもなく(まだ身分としては研修中らしい)、平穏に(?)過ごしているもよう。具体的にどんな業務をしているのか知らないし、職場の人や寮の人と仲良くしているのかどうかもわからないけれど。ただ、この間「もしアパートを借りるとしたら車持ってる同期にパソコンとか運んでもらう」と言っていたので、そんなことを頼めるぐらいにはちゃんと同期付き合いができているよう。すごいな、コミュ障のお母さんとは違う!

 「寸志」ということで多少のボーナスも出たらしい。心身ともとりあえずは健康に過ごせているのじゃないかと。引き続きご安全に、仕事がんばってください。