アマ小説家はつらいよ


◆第107回『ワクチンと夫と昔の作品』◆ (2021.10)

 前回、2021年5月に公開した記事で、「オリンピック本当にやるつもりなのか」などと書いていたんですが。

 開催されましたねぇ。無事と言っていいのかどうかわからんけど、無観客で開催された。なんだかんだそれなりに盛り上がって、私も卓球だけは一生懸命見ちゃって、閉会式の「手話のお兄さん」を楽しんだりしました。もちろんその後のパラリンピックも開催。しかしオリンピック直前に緊急事態宣言が出て――ん? 東京の緊急事態宣言はもうずーっと出ていたんだっけ? 確か東京は「今年に入って何も措置が出ていなかった時期が数えるほどしかない」とかだったんだけど。

 ともかくデルタ株やら連休による人出の増大やらで全国的に「第5波」到来、滋賀も8月3日に「過去最多!79人!」と言ってたら翌4日にはもう100人超え、お盆明けの8月18日には200人を超え、病床逼迫どころかまったく足りない状況、自宅療養者が積み上がっていく事態に。結局最高が235人/日ぐらいだったと思うけど、8月27日に緊急事態宣言対象になった後も自衛隊駐屯地での大クラスター(最終的にここだけで220人ぐらい出た)など高水準が続き、ようやく9月半ばには減ってきたものの、本当に一時はどうなることかと。10万人あたりの感染者数ではかなり上位に食い込んでたんじゃなかろうか。

 そんな中、義母は6月下旬、義父は7月上旬にワクチン2回接種完了。同じく7月上旬に職域接種で義妹も1回目接種。「高齢者向けを7月中に終えろ!」という政府の命令で自治体はがんばっていて、「このペースだと私たち中年世代も8月から接種できるか」と思っていたら、「ワクチン配分減らします」「職域接種のワクチン全然足りません」みたいな話が出て来て。

 ふざけんな、ゴラァ!となったものの、私の住んでる自治体はがんばってくれて、7月下旬に1回目を受けることができた。まぁ、予約開始日(もちろん平日)にPCの前にスタンバって取ったわけで、無職だからできた芸当ではあるんだけど。無職だからさほど日取りにこだわる必要もないしね。とはいえ、最寄りの接種会場は全然空いてなくてちょっと遠征しなくちゃならなかったし、そっちも時間帯とか悩んでる間にどんどん枠が埋まってっちゃって。働いてる人、小さいお子さんや介護対象の高齢者がいる人などは、自分の都合と空き日時をマッチングするの大変だよね。1回目だけじゃなく2回目の都合も考えなきゃいけないわけだから。

 私は2回目接種がちょうどお盆前になって、親族宴会当日に発熱でうだうだすることになったけど、おかげで合法的に宴会を免れられたというか(笑)。もちろんこのご時世、お客さんは少なく、「宴会」というほどのものでもなかったんだけど。

 うん、盆と正月のオペレーション的にはこのままソーシャルディスタンス重視で行ってもらえると、嫁としてはめちゃめちゃ楽で嬉しいんだけどなぁ。みんなワクチン打って、このまま年末まで大きな流行なく乗り越えられたら、「いつものお正月」が戻ってきてしまうのだろうか……。

 で。

 私は早々に1回目を打ったんですけども。

 旦那さんがなかなか予約をしてくれない

 うちの旦那さんは土日が休みではなく、それどころかおおむね週休1日というブラック労働で、休みの日がズレることも多いため、私が勝手に予約を取るわけにはいかなかった。なので自分の予約を取ったあと、「早よ予約取りや〜」と促したのだけど、返ってきた返事は。

 「あんなん打たへんで」

 ふぁっ(゚Д゚)!?

 えーっと、もしもし、マジで言ってます????? もともと大の注射嫌いだし、仕事柄コロナ禍をもろにかぶってるところもあって、「コロナは風邪、経済を回せ」っぽい主張をしていたり、ゴールデンウィークに他府県に会食に行くなど、なかなか香ばしくはあったんだけど、それでもまさか本気でワクチン打たないつもりだとは……。

 ちょっと(だいぶ)揉めたし、「こんな身近に反ワクが」と大ショックだったんだけど、世の中には「自分だけじゃなく家族にもワクチンを打たせない反ワク」というのも存在するので、「自分は打ちたくないが家族が打つ分には口を出さない」旦那さんはまぁ……まぁ……。

 どうすれば接種に前向きになってくれるんだろう、押してもダメなら引いてみるべきか、などと悩んでいるうち、個別医療機関でも接種の受付が始まって(それまで集団接種のみだった)。旦那さんにとっては一応かかりつけ医である最寄り医院でも受けられるとなり、旦那さん、一応予約枠の空きを見たりするように。おおおおお、いきなりの進歩じゃん! 「○○医院の人気を確かめただけや」などとうそぶいていたけど、とにかく自分で空き状況を確認(つまり予約システムにログイン)してくれただけでも万々歳。

 医療機関での接種はそもそも枠が少ないようで、全然空いてなかったものの、自治体から予約受付再開情報が来るたび旦那さんに伝え、県の広域接種が県民一般に開放されるニュースもいち早く伝え。

 幸い広域接種の会場が旦那さんの職場に近く、「ここなら休みを取ったりしなくても仕事の合間に抜けて接種できる」とかなり前向きな発言!!! おおおおお、何があった。 結局9月中旬に1回目を予約。モデルナなので2回目を終えていわゆる「フルワクチン」になるのは10月末とかなり遅くなるものの、とにかく1回目を打ってくれたぁ! 良かったぁぁぁぁぁぁぁ。

 何が功を奏したのかはわからなくて、そもそも「家族が打つのまでは反対していない」だったから、単に「できれば打ちたくない」ぐらいの気持ちだったのかもしれないんだけども、県の広域が始まる頃には職場でも接種する人が増え、色々様子が聞けたのかもしれない。おそらく職場でも接種が推奨されたはずだし、世間的にも「ワクチンパスポート」がどうこうという話が出て、「打ちたくないけど仕方がない」という考えに至ったのかも。前述の通り、滋賀も連日200人とかの感染者数で、さすがに他人事じゃなくなったとか。

 何にせよ打ってくれて良かった。ちゃんと接種翌日には休みを取ってて、「熱出てケーキしか食べられへんかもしれん!」とか言うのでプリンとか杏仁豆腐とか好きそうなものを買っておいたけど、結局1回目は37.1℃くらいの微熱しか出ず。ちなみに私も1回目2回目とも37度台の微熱。2回目は体感的にはけっこうしんどかったけど、まぁびっくりするほどではなかった。

 ちなみに息子氏は大学の職域接種で無事2回接種完了。息子氏のことは「ひなたぼっこ」の方で書きます。

 日本、9月30日時点でワクチン1回接種が70.4%、2回接種も59.8%まで来たそうで。これ、「接種対象者人口」、つまり12歳以上に対する比率なのかと思ってたんだけど、どうも「全人口比」らしい。少子高齢化で子どもの比率がもともと少ないとはいえ、すでにアメリカの接種率は追い抜いているらしく、政府も自治体も国民もがんばったなぁ〜という感じ。9月後半、感染者数がどんどん減っていったのは、緊急事態宣言というよりはワクチン効果のおかげっぽい。1回目が70%来てるから、モデルナ難民とか「1回目の副反応が強すぎてもう2回目は嫌!」な人がたくさんいなければ、全人口の7割がワクチン接種済みになることはおおむね確実。いわゆる「集団免疫」には7割では足りず、8割方接種が終わったシンガポールでも感染者数自体は抑えられていない(というか9月に入って急増したらしい)。とはいえ重症化は抑えられているらしいので、それこそ「接種者にとってはコロナはただの風邪」になっていくのかもしれない。

 まだ今は、ワクチン2回打ったからといってマスクをはずしたり、ましてや羽目をはずすことはできないんだけど、でもなんか、「はい、皆さんもうマスクはずしても大丈夫ですよ」と言われても、そうそうはずす気にならないような。私はもともと花粉症で、春先は原則マスクしていたし、無職引きこもりなので、「出かける時だけマスクする」ならさほど大変でもない。外から帰ってきたら手洗い&うがいをするのも元からやっていたこと。

 なんか、ワクチン2回終わったらもうちょっと気持ちが楽になるかな、と思ってたんだけど、やっぱり人混みに行くとドキドキするし、電車内等でウレタンマスクの人見ると「げっ!」っと思うし、まだまだ「人を見たら感染者と思え」的な意識が抜けない。もちろん今は「それで正解」なんだけど、この意識、徐々に薄れていくものなんだろうか。映画館での座席の間引き販売は客としてとても快適だったし、引きこもりのコミュ障としてはずっとソーシャルディスタンスしててくれて良いのよ、という気も。

 コロナ禍になる前、がんばって通っていた体育館のトレーニングジムも、もう行く気がしないし(もともと狭くて密になりやすいし、いちいち器具を消毒してまで鍛えたいわけでもない)、長年続けてきたヨガ教室も、先生が一年経ってもマウスシールド使ってたことですっかり興が醒めてしまった。前にも書いたけど、この辺りの危機意識の差って、一気に「断絶」を生んじゃうよね。旦那さんがワクチン打つ気になってくれてほんとに良かった……。

 コロナで引きこもっているんだから執筆活動その他「家の中でできること」が捗っていてしかるべきなのに、ぜんっぜんそんなことはありません。はい、ぜんっぜん!

 何の自慢にもならないけど、ほんと自分でもやる気なさすぎて笑っちゃう。かろうじてblog書いてるけど、今この文章も、書くのにめちゃめちゃ時間かかってる。文章力はもちろん、集中力がない。あちこち体痛くてじっと座ってるのがしんどいのはあるけど、やっぱ加齢なんですかね。文章だけじゃなく、思いついたことすぐ忘れるし、何かしようと思って別の部屋に行って、「あれ?何しに来たんだっけ?」となることが多すぎて。ちょっと脳の検査してもらった方がいいのかな。頭痛は肩凝り首凝りのせいだと思ってるけど実は――???

 まぁ元々引きこもりな上にコロナでさらに人と会わなくて、かろうじて家族と会話するだけの生活だから、圧倒的に脳味噌に刺激が足りてないんだよね。格好の話し相手だった息子氏がいなくなって、ほんとにろくに声出さないもんなぁ。どうにか読書はしてるし、昔の特撮やアニメ見るのに忙しく、「物語」は浴びてるんだけど、それだけではダメらしい。昔の人がよく言った「テレビばっかり見てるとバカになる」というアレはあながち間違いでもないのか。

 「昔の」っていうのがダメなのかな。今のアニメや特撮も見てるけど、昔の方が面白いっていうか……。新しいものより「面白いことがわかっているもの」「すでに好きなもの」の方に目が向いてしまう。もちろん昔一回読んだ(見た)からってすべて覚えているわけもなく、読み返すたび新しい発見があったり、「この年になって初めてわかること」もあったりするんだけど、単純に、「面白くないかもしれないものに時間を費やすより、楽しめるとわかってるものに時間をかける方がいい」と思ったりもする。何せ「私たちには時間がないのよ!」である。未知のものに時間をかけられるほど老い先が長くないんだよなぁ。

 って、笑えるほど「年寄りの思考」やん。認めたくないものだな、自分自身の、加齢ゆえのあやまちというものを……(自分で言ってて刺さりすぎる)。「親しんだもの」と「未知のもの」との取捨選択、対象が「トッキュウジャーとジェットマン、どっち見る?」だったりするところがまたなー。

 東映特撮公式が太っ腹すぎてどんどん昔のライダーや戦隊を配信してくれるもんだから、ほんとに取捨選択しないと時間がいくらあっても足りない。9月途中まで配信してくれてた『キョウリュウジャー』、三周目でもめちゃめちゃ楽しかったし、その前の『鎧武』も見れば見るほど味わい深い(これも三周目)。今は『ディケイド』『トッキュウジャー』、そして初見の『マジレンジャー』。サンライズチャンネルは『ボトムズ』『ダグラム』『ダイターン3』を1クールずつやってくれてるし、CSとレンタルで途中まで見て残り1クールぐらいだった『ターンエーガンダム』もガンダムチャンネルが。

 『ターンエー』はテレビ本放送の時、面白いと思えなくて1クールでやめちゃって、でも今改めて見たらめちゃくちゃ面白くて、なんか、不思議だよねぇ。人間の感じ方って。『ダグラム』も本放送の時(まだ中学生!)は1クールぐらいで脱落して、最終盤だけまた見たような記憶があるんだけど、これまた今見ると「反政府ゲリラとそれを弾圧する側の政治駆け引き」がとんでもない。まさに「大人になったからこそ楽しめる」コンテンツなんだけど、しかしよくこんなアニメ作って放送してたよねぇ。1981年、昭和で言うと56年、まだまだ「アニメなんて子どもが見るもの」の時代だよ。おもちゃを売るための番組で、放送時間だって夕方だった(最初18時で、途中から17時55分開始になったらしい)。まだ家庭用録画機器はそんなに普及してなくて、その時間に家にいる人間でなければ見られない作品だったわけで。

 ちなみに我が家は新しもの好きの父のおかげでかなり早い時期にナショナルのVHSデッキが導入されたんだけど(リモコンがワイヤードだった!)、今ちょっとググったら当時20万円以上していたみたいで……。たぶんマックロードNV-6000って機種なんだけど、Wiki見るとその後継機のところで「初めて20万円を切る」って書いてある。消費税なんかない時代とはいえ、父ちゃん太っ腹すぎないか。うち、借家だったし、全然セレブじゃなくてどっちかというとブルーカラーだったのに、なんでそんな豪儀な買い物が。本当に、好きなことには惜しみなくお金使っちゃう人だったんだなぁ(BSチューナーとかWOWOWとかもすぐ導入したし、お相撲や野球のために東京や九州へ普通に遠征する人だった。すごい)。

 話がずれた。えーっと、『ダグラム』ですよ。ダグラム、始まったのは1981年で、終わったのは1983年。当時のサンライズロボットアニメはだいたい放送期間が1年、話数50話前後だと思うんだけど(※ファーストガンダムは43話、ダンバイン49話、ボトムズ52話など)、ダグラムはなんと75話! 友達は「面白い」と言って見てたけど(今思えば彼女の“見る目”すごい)、子どもにはなかなかとっつきにくい地味で暗い内容だったのに打ち切られもせず……。って、今Wiki見たら「視聴率と関連商品の売れ行きは好調で6クール放送になった」と書いてある。そーか、私みたいに脱落する方が珍しかったのか、そーか。

 そうそう、思い出した。当時、関西ではサンテレビで放送してたのが途中からテレビ大阪に移って、私の家では見られなくなったんだよね。『ブライガー』も途中で見られなくなって泣いたんだけど、最終回はその「ダグラムもちゃんと見てた」友達のところに押しかけて見た記憶がある。ダグラムのあと、ボトムズは初回から見てたから、どこかの時点でテレビ大阪が映るようになって、それでダグラムも最後は見られたのかもしれない。さすがに40年前の記憶はもう曖昧だけれども。

 サンライズ公式さん、1クールずつ分割でいくつかの作品を交互に配信というスタイルなので、ダグラムを最後まで見終わるのに(最後まで配信してくれるとして)かなり長いことかかると思うんだけど、がんばって完走したい(もっと別のことをがんばれ定期)。

 昔の作品って“絵”の作り方、雰囲気が違って、そこも面白い。『ダイターン3』見てると、人物モブの描き方とかすごくスタイリッシュで、なんか、逆に新鮮に見える。技術的に今よりずっとできることが少なかったろう中で、どう見せるか。絵のタッチ自体が全然違うし、ロボットの輪郭線がしなっているのとか、物理的にはおかしいんだろうけど、そのしなりによってスピード感や質感が出てて、“味がある”っていうのかな。今のアニメはとてもきれいだけど、それだけが正解じゃないというか。

 ……後半すっかり「早口のオタク」になってしまった。まだまだアニメや特撮のことなのか語れるのか! 情熱があるのか! 

アニメや特撮を楽しめなくなったらいよいよ私も終わりだもんな。がんばろ(だからもっと違うことをがんばれ)。