◆第33回『ターンAガンダム』◆(1999/8/9)
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「一昔前のアニメに関する勝手なウンチク」という触れ込みのこのコラム、タイトルに反して特撮モノが続きましたが、やっとアニメに戻ってきました。でもでもでも。今回ご紹介する『ターンAガンダム』は一昔前どころか現役バリバリ、放送中の作品。まだまだ評価を下すには早いのですが、あえて言ってしまおう。面白いぞ!、と。
元祖ガンダムから数えてこの作品は一体何作目なんでしょう? 「Z(ゼータ)」があって「ZZ(ダブルゼータ)」があって、「W」とか「X」とかもありました。TVシリーズ以外にもビデオ作品も一杯出てるし、まったくいつまで『ガンダム』にしがみついてるつもりなんだ、とこの『ターンA』が始まる時も思ったのですが。10数年ぶりに富野氏が手がけると聞いて、ついついビデオをセットしてしまった第1回。以後、しっかり「毎週録画」してしまっています。こーゆー奴がいるから作り手も『ガンダム』という名前にしがみつくんだろうなぁ。
「A」をひっくり返した記号で「ターンA」と読ませる今回のガンダム。原点に返るという意味が込められているのか(その割にはアムロもシャアも出てこない、とHiroは言うが)、オープニングは西条秀樹でエンディングは谷村新司。しかもオープニングの作曲は小林亜星。いまどきの若いポップス歌手でもなく、昔懐かしいアニメ歌手でもなく、元祖『ガンダム』世代の心をくすぐるベテランの起用が心憎い(と言っても本当はもうちょっと上の世代なのかなぁ。秀樹がアイドルで谷村さんがアリスだった頃って。私が小学校の頃出場したブラスバンドの祭典、ゲストがアリスだったけど。あ、ひょっとして秀樹の起用は『傷だらけのローラ』にひっかけてるとか。主人公の女装した時の名前がローラなんだよね)。またこれがついつい口ずさんでしまう名曲なんです。「ぱっとサイデリア〜♪」だけじゃない小林亜星(そういえば亜星&秀樹って『寺内貫太郎一家』やん)。
物語は、月に住むムーンレースと呼ばれる人々が地球に帰還しようとしたことから始まります。強引に入植を始めようとする月の人々と地球人との間に当然のことながら争いが起こるんですが、19世紀程度の機械文明しか持っていない地球と、「モビルスーツ」部隊を投入する月とでは勝負にならない。戦争になんかならないはずだったのに、地球側が「モビルスーツ」を発掘してしまった! そう、一体どういう歴史になってるんだか、過去の遺跡としてモビルスーツが発掘されちゃうんです。ザクとかドムとか、ガンキャノンとかが!
平和裡に入植を実現したい月の女王と、少しでも有利に交渉を進めたい地球側の領主。トップの思惑とは裏腹に勝手に戦闘を始めてしまう軍隊。一度戦火が上がれば容易に相手への憎しみは募り、「復讐」という名のもとに争いは拡大再生産されていく。しかも「月の女王」を暗殺しようとする月側の人間がいることが示唆され、地球側の主力「ヒゲのモビルスーツ」に乗るのは実はムーンレースの少年。誰よりも月と地球の和平を願う故に同じ種族と闘う少年は叫ぶ。「ムーンレースであろうと地球人であろうと、命を粗末に扱う者は許せない!」 そうかと思えば主人公の友人は地球人として生きていくため、金のために地球側の情報を月に売る。この辺の重層的な人間模様はさすが富野さんと言うか、確かに『ガンダム』と言うか。友人を売ってまで得た金が首都の崩壊によってただの紙屑に変わってしまう、なんて描写、普通のアニメにはないよね。
月の女王と地球人の少女は入れ替わっちゃうし(この展開はいくらなんでも都合がよすぎる気がするが)、怪しいムーンレースの女は出てくるし、新たに発掘された宇宙船、あれってひょっとして「木馬」!? そもそもなんだって地球にはモビルスーツが埋まっているのか、ムーンレースが月に住むようになったいきさつは何なのか、早く「地球と月の歴史」を明らかにしてくれ!
月を見て喜ぶ息子に「あそこにはムーンレースが住んでてね」と教え、「ターンAターン♪」と主題歌を歌って聞かせる私。ところで「ニュータイプ」という言葉は出てくるのかなぁ。
●次回予告●
次回は未定です。あしからず。
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