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◆番外編その2『人造人間キカイダー』『人造人間キカイダー01』◆(1999/3/5)

 早速番外編第2弾です。特撮ヒーローと言えば忘れてならないのがやはりこの『キカイダー』でしょう。ただ単に強いだけでない、悲哀をにじませたヒーロー、強烈な個性を持った敵役、苦悩を背負ったお飾りではないヒロイン、と子供向けでありながらけっこうシリアスなドラマが展開された作品でした。

 「ジロー、チェインジ〜、キカイダーぁ♪」という主題歌でおなじみ、キカイダーが人間の時の名前はジロー。そんでもって01(ぜろわん)はイチロー。01の方が後に出て来るんだけど、01の方が「お兄さん」という設定だったみたいです。お兄さんったって、ロボットだから年上も年下もないんだけど、「先に作られていた」ということらしい。『仮面ライダー』は人間が改造されるので、「父よ、母よ、妹よ〜」ということが歌えるのですが、キカイダーは最初っから「人造人間」で、ロボットで、「人間に変身できる」だけなので、本来家族なんていないはず。まぁ要するに『キカイダー』が当たったから2匹目のどじょうでお兄さんができちゃったんでしょうね。

 で、「人間じゃないものに改造されてしまった」悲哀があるんだったらあった『仮面ライダー』に対して、こちらは「そもそも人間じゃない」ことによって「さすらうヒーロー」になってます。人間じゃないから恋も成就できない、とか。このへんの話はあんまりよく覚えてないんですけどね。ジローといえばとにかくギターを背負っていて、何故か必ず高い所から現れるという……。あんたは小林旭か、ってなもんですが、イチローの方はトランペットを背負っている。そんなもん背負ってサイドカーに乗ってたら自分から「ぼくは変わってる!」と言いふらしてるようなもんだよねぇ。そりゃ孤独にもなるって。

ビジンダーとワルダー  しかしこのサイドカーは格好良かった! 「あんな乗り物があったらいいなぁ」と思って見てたら本当に公道を走ってるのでびっくりしました。「うわっ、キカイダーのバイクやん。こんなん普通の道走っていいの!?」と。

 主役以上に人気があったらしい(なんか単独主演する作品も作られたとか作られないとか)敵役ハカイダー。なんてそのまんまなネーミングなんでしょうか。しかも人間の時の名前はサブロー。もう、ほんまにそのまんまやがな。作った順番っちゅうわけやね。ハカイダーのデザインはなかなかカッコいいですが、サブローも写真で見ると(どんな顔だったか見るまで覚えてなかった)男前。ハカイダーには悪魔回路がついてて、キカイダーには良心回路がついてるって、それは一体どのような仕組みのものなんでしょうかね。ついでにビジンダーには激痛回路ってもんもついてたそうで……。何それ?

 ビジンダーは『01』に出てくるヒロインで、人間の時はマリ、まだティーンエージャーの志穂美悦子が演じてました。インパクト強かったですね、ビジンダーは。薄倖のヒロイン。自分がロボットであることに苦悩して、いつも寂しげな顔をしている。ビジンダーがキカイダーの恋人として描かれていないのがまたすごいところで、ビジンダーを救うために自らを犠牲にするのはワルダーという別の人造人間(もちろん人間の時はシロー……? 人間の姿にはならなかったような)だったりする。このワルダーっていうのがまたまぬけなデザインなんだけどねー。ビジンダーと組んでえらい高級なドラマを繰り広げてくれるんだな、これが。その分01自身にドラマはなかった。キカイダーにはあった悲哀もなかった。光り輝く太陽電池のゼロワンボディが美しいだけだった。

 それにしても一体どこをどう作ればゼロワンボディから人間の姿への変身が可能になるんでしょうかね。これは変身モノすべてに言えることですが。キューティーハニーみたいに服をとっかえひっかえするだけじゃないもんね。デビルマンになる時破れては元に戻る不動明の服とか。絶対おかしいあり得ないとわかっていても子供は変身ポーズを真似して喜び、変身ベルトを買ってその気になる。変身の醍醐味を味わうためにヒーローは必ず普段は人間の姿をしていなければならないんですねぇ。そういう意味で最初から最後までロボットのままの『ロボット刑事K』は異色でした。というわけで、以下次回。

参考文献『メーキング・オブ・東映ヒーローA』講談社編(講談社X文庫)


●次回予告●

次回は『ロボット刑事K』です。


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