◆第27回『海底超特急マリンエクスプレス』◆(1998/1/4)
- 『アニメ大好き!』始まって以来初の単発スペシャル作品です。1回こっきりの放送なので、ちょっとマイナーというか話についていける人は少ないかもしれない……。私は再放送も含めて3回ぐらい見ましたが、タイトルに『海底超特急』と本当についていたかどうか、実は曖昧です。
この作品は日本テレビの24時間テレビの中で放映された手塚治虫作品の一つです。初期の24時間テレビは毎年オリジナルな手塚作品を放映していて、私は毎年そこだけ見てましたが、10回ぐらいで終わってしまいましたね。最初が『バンダーブック』で、その次がこの『マリンエクスプレス』だったんじゃないかと思うのですが……。あと『ブレーメン4』『フウムーン』『バギ』など。いずれも手塚作品らしく自然や生命の尊さ・強さを描いてクオリティの高いアニメでしたが、面白さはこの『マリンエクスプレス』がダントツでした。
ストーリーは、海底を走るマリンエクスプレスの初走行にトラブルが起こり、タイムスリップ(?)して登場人物が謎の帝国に迷い込んでしまい、そこの独裁者と闘いを繰り広げる、というもの。主人公の青年(名前忘れました)以外は手塚キャラ総出演で、青年の父がお茶の水博士、大怪我を負った博士を暴走する車内で手術するのはもちろんブラック・ジャック、列車のコンピュータを正常に戻すため自身を犠牲にするアトム、帝国の独裁者は『三つ目がとおる』の写楽くん、囚われのお姫様は『リボンの騎士』サファイア、忘れちゃいけないヒゲおやじ……、とまるでかつての東映や大映の『忠臣蔵』のような豪華さ(こんな比喩わかる人いるのか? 私って何歳なのよ)。
列車のトラブル、ブラック・ジャックの手術、アトムの自己犠牲、帝国での闘いと勝利、ともう見せ場の連続で、『超特急』の名の通りラストまで一気にスパートして飽きさせない。極上のエンターテイメントに仕上がっています。またラストシーンがめちゃくちゃイカしてるんですよねー。サファイアと恋に落ちた青年やブラック・ジャックは帝国にとどまり、ヒゲおやじだけが元の世界に戻ってくるのですが、一人だけ戻ったヒゲおやじにとってはすべてが夢の世界の出来事のようで、誰に話しても信じてはもらえまいとため息まじり。ところがふと目にした岩(イースター島の巨像みたいな奴だったかな)に、見覚えのあるサインが。それは向こうの世界でブラック・ジャックが刻んだものだった! 「夢じゃなかった! 確かにあれは現実に起きたことだったんだ!」と岩にすがってうれし泣きをするヒゲおやじ―――。なんてお洒落なエンディングなんだぁと、強烈に印象に残っています。
この夏『ジャングル大帝』の映画を見て、ああやっぱり手塚アニメっていいわぁと思いました。手塚さん本人による新作はもう見られないとしても、これからもその精神を継いだ新作をぜひぜひ作ってほしいですね。
●次回予告●
次回は『ザンボット3』です。
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