アニメ大好き

◆第24回『ベルサイユのばら』◆(1997/10/5)

 あれぇ、『ベルばら』って前にも1回取り上げてなかったっけ?、とお思いになった方、古くからの『M MAGAZINE』ご購読、ありがとうございます。はい、確かに第2号で既に取り上げているのですが、あの時は『本の虫』の方で、マンガの『ベルばら』としてでした。今回はアニメの『ベルばら』です。

似てねぇオスカル  マンガがアニメになる場合、何故かストーリーが変わっていたり、見るに耐えない絵だったり、声のイメージが違いすぎたりで原作ファンはがっかりすることも多いのですが、『ベルばら』はかなり健闘していました。何と言っても絵が美しい。少年時代(少女時代?)のオスカルなんて原作以上に美少年でよだれが出そうなほど。また、けっこうこの少年時代が長く描かれるんですよねぇ。でも大人になるにつれてだんだん顔が長くなっていって、最後はオスカルもアンドレもすごい馬面になっちゃうのが(絵自体はきれいなんだけど)、もったいないというか不満でした。

 ストーリーは、というかエピソードは概ね原作と同じなんですが、やはり細部は異なっていて、特にアンドレの扱いがかなり違うんですよね。一言で言うと、やたら暗い。アンドレって、原作では目が見えなくなるまではけっこうお調子者というか、3枚目的に描かれるシーンも多いんだけど、アニメの方では最初から最後までずっと暗いし、苦悩してる。たとえばその、『目が見えなくなる』きっかけとなる『黒い騎士事件』において、原作ではオスカルが嫌がるアンドレの髪を無理矢理切って有無を言わさず黒い騎士の身代わりをさせるんだけど、アニメではアンドレが自分からすすんで身代わりになる。また、オスカルが衛兵隊に入るにあたって、原作ではアンドレはオスカルの付き人(?)として当たり前のようにくっついていくんだけど、アニメではオスカルがきっぱり拒否するのでアンドレは一兵士として衛兵隊に入る。原作以上にオスカルの自立への苦悩を出そうとしているんでしょうが、結果的にオスカルもアンドレも非常に暗いキャラクターになっていて、いいような悪いような。

 でも一番納得がいかないのは、アンドレの死に方。原作では、アンドレは戦闘の最中にオスカルをかばおうとして蜂の巣になって死にます。アニメでは、まったく戦闘中でも何でもない時に敵兵に見つかり、その敵兵をオスカルが撃って、敵兵の撃った弾がオスカルの後ろにいたアンドレの胸に命中するという、いわゆる『流れ弾』死なんです。これは、ちょっと、いくら何でもばかばかしいというか、アンドレがあまりにも哀れというか、一体どういう意図があったのかと思ってしまいます。無駄死にとしか言いようがないもんね。

 オスカル役はクイーン・エメラルダス役でも有名な(?)田島令子さん。高めで凛とした声がオスカルによく合っていました。先日『映画版』なるものを見る機会がありましたが、オスカル役が戸田恵子さんで、ちょっといまいちでした。声で最も印象深いのはジャンヌ役の松金よね子さん。めちゃめちゃうまくて、首飾り事件の間はもうジャンヌが主役! オスカルもアントワネットも目じゃありませんでした。

 あと、音楽も良くて♪くさむらに〜♪の主題歌は曲も詞も絶品だと思うのですが、最後に入ってるアンドレのセリフがね〜。聞いててめっちゃ恥ずかしかった。まだオープニングは『ジュテーム、オスカル』程度だけど、エンディングはくどくど長い。すごぉく真っ正面から「愛と感動の歴史ロマン」してたので家族で見てるとこっちが照れちゃうというところがけっこうありました。別に私が作ってるわけでもないのに、照れくさいんだよねぇ。あー、本当に『ベルばら』の話を始めると止まらなくなっちゃうわ……。


●次回予告●

次回は『エースをねらえ!』です。


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