アニメ大好き

◆第15回『機動戦士Zガンダム』◆(1997/1/10)

 あの『機動戦士ガンダム』のおそらく10年後ぐらいを舞台にした続編で、『ガンダム』の主要キャラはほぼ全員顔を出しています。ただし、顔を出しているだけで主役ではありませんし、あれだけ大活躍したホワイトベースのメンバー達が特に英雄になるでもなく地味に(?)生きているのを見るのは、『ガンダム』ファンとしては少々寂しいものがあります。アムロに至っては本当になさけないですからねー。最終話『脱出』のあの感動にいつまでも浸っていたい方は、見ない方がいいかもしれません。

 でも。私は好きでしたねー。丁度高校生の時に放映されてたんですけど、毎週金曜日は『Z』を見るために特急で帰ってましたから。もう一度シャアアムロに逢えるのはホントに嬉しかった。セイラさんが出てこなかったのと、カイさんの出番がほんのちょびっとしかなかったことが残念でなりません。

ロザミア  ところで今回このコラムを書くにあたって、一生懸命『Z』のストーリーを思い出そうとしたのですが、なんか一向にまとまらない。ティターンズとエゥーゴが闘っていて、最後にはジオンの残党を率いたハマーンが出てきて、途中やたらと強化人間の女の子が出てくる―――こーゆーのストーリーって言わないよね。でも『Z』ってかちっとしたストーリーがなくて、比較的年齢層が高くて妙にリアルな登場人物達のその時々の行動を描くことでなんとなく話が進む、というアニメだったような気がするんです。だから全然要約することができない。うーん、なんかホントにねー、一人一人のキャラクターが強烈で、『ガンダム』の『闘うことを強いられた子どもたちのドラマ』とは違う、『自分の意志で闘っている大人たちのかなり生臭い人間模様』という感じだったと思います。勝手な大人達に翻弄されたあげく、最後は心を壊されてしまうカミーユ……こんなかわいそうな主人公は前代未聞でしょうね。

 ああ、愛するロザミィの話を書こうと思っていたのに紙数(そんなのあるのか!?)が少なくなってきた。『やたらと出てくる強化人間の女の子』の筆頭はフォウですが、私のお気に入りはロザミア! カミーユをお兄ちゃんだと思って甘える幼女のような愛らしさと戦闘での残忍さのギャップ、気がふれたような非常識なセリフの数々……。作られたニュータイプの悲劇をまざまざと見せてくれます。結局ニュータイプは戦争の道具にしか使われず、ジオン・ダイクンやララァが夢に描いたような『人類の革新』『人はみんなわかりあえる』という世界は一向に訪れる気配を見せない。アムロのその後がなさけないのも(途中で多少ましになるけど)、ニュータイプであることが幸福をもたらさないどころか、不幸を呼ぶ世界の象徴なのかもしれません。

 『ガンダム』で築き上げた『ニュータイプ幻想』を富野さん自ら壊そうとしたのがこの『Zガンダム』だ、というのは言い過ぎかなぁ。こんなこと書いてたら猛烈に『Z』が見たくなってきました。富野さんの意図を確かめるためにも。


●次回予告●

次回は『戦国魔神ゴーショーグン』です。


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