◆第7回『巴里のイザベル』◆(1996/8/17)
- このアニメ、知ってる人いるのかなぁ。実は私自身あんまりちゃんと覚えていないんですが……。確か十五年くらい前の作品で、大阪ではサンテレビで放映していたと思います。
そんな『よく覚えていない』作品をなんで取り上げるのかと言ったら、一つにはこの作品のオープニングテーマがショパンの幻想即興曲だったからです。フランス革命を舞台に(というのは大嘘! 実は普仏戦争時代の話です。オープニングで『1870年9月、パリの街はついにプロイセンの軍隊に包囲されてしまったのです』というナレーションが流れるそうです。2002/01/16注記)、一人の少女の波乱の青春を描いたストーリーなのですが、このアニメで私、初めて幻想即興曲を知ったんですよね。ヒロインの過酷な運命を予感させる豪華でドラマティックな曲。アニメの主題歌と言えばまだ堀江美都子さんや佐々木功さんが主流だった頃のこと、そのインパクトたるや大変なものでした。おかげで今でもこの曲を聴くとイザベル(のオープニング)を思い出してしまいます。
そしてもう一つ印象に残っているのが最終回。革命軍にか、貴族の軍隊にか忘れてしまいましたが、とにかくイザベルとその幼なじみの少年ジャンは、追われて墓地に逃げ込みます。ジャンはイザベルに恋していましたが、イザベルにとっては大事な幼なじみでしかありませんでした。そのジャンが追っ手の銃弾に倒れた時、イザベルは彼の存在の大きさに気づくのですが、それだけならまぁありがちなお話です。イザベルは立ち上がります。立って、堂々と追っ手の兵士達に対峙し、『ジャンを撃ったのは誰!』と叫ぶのです。革命前は世間知らずの貴族のお嬢様に過ぎなかった彼女は今、身を隠すために少年の格好をし、怒りと哀しみに燃える眼で兵士達を睨みつける。それに答える隊長らしき兵士のセリフがまたふるっていたのですが、正確には覚えていません。
とにかくすごく感動したんですよね、そのシーンに。ハッピィエンドどころかヒロインの怒りのセリフで終わるお話。あまりにもそのシーンが好きだったので、自分の小説にも使ってしまったぐらいです(もちろんいくらかシチュエーションは変えてありますが)。
二度と再放送もないかもしれないし、人の口に上ることもないかもしれない、全体として見れば必ずしも名作だったどうかわからない、でも。『パリのイザベル』は、それを見ていた一人の小学生の心にしっかり刻み込まれたのでした。
●次回予告●
次回は『銀河烈風バクシンガー』です。
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