![]() |
−おきなぐさ− 目次
|
||
第43・44回例会報告 |
|||
|
「ポラーノの広場」の読書会を10月27日、12月22日と2回連続でしました。
物語の最初に、「前十七等官 レオーノ・キュースト誌 宮沢賢治訳述」とあり、モリーオ市の博物局に勤めていたキューストが、「イーハトーヴォのすきとほった風、夏でも底に冷たさをもつ青いそら、うつくしい森で飾られたモリーオ市」で過ごした日々を回想し、宮沢賢治が翻訳したという形式がとられていること。イーハトーヴォ、モリーオ、センダード、シオーモ、トキーオなどの地名、キュースト、ファゼーロ、ロザーロ、テーモ、ミーロ、そしてデステゥパーゴなどの人名の、面白さ。
遁げた山羊が、キューストとファゼーロを出会わせ、「ポラーノの広場」の伝説を思い出させ、探すことになっていきます。
つめくさのあかりの中にうかんだ数字を読みながらいくと「ポラーノの広場」に行けるというので出かけます。でも、キューストは、数字はちゃんと読めないし、「番号なんてあてにならない」とまでいいつつ、山猫別当と出会い、「ポラーノの広場はあるが、花を数えて行くようなところではまい」と忠告を受けます。
「ポラーノの広場」にいくと、山猫博士というあだ名のデステゥパーゴたちが、選挙のための酒盛りの場にしてしまいます。そこで、ファゼーロとデステゥパーゴが、決闘するはめになってしまいました。
ファゼーロが行方不明になりキューストは警察に呼ばれます。
キューストは、出張ででかけたセンダードで、デステゥパーゴと出会います。
せっかく、ポラーノの広場をいう理想郷を自分たちで作り上げていくということになったのに、キュースト自身は荒んだ街で暮らし、参加しません。
それぞれ、物語を堪能した後で、「透き通った風の不思議な理想郷の伝説に心ひかれる」「しろつめくさの野原の美しい情景と社会主義的世界の混在が賢治らしい」「なつかしく思いながらも、過去形にして書いている部分が、宮沢賢治=キューストに思える」などの感想がでました。
| |||
第44回例会報告 |
|||
|
今回の例会から「春と修羅(第1集)」を読んでいくことになりました。その第1回目として、1回の例会でどれだけ(量的に)読み進めるかという見当を付けるつもりでしたが、1回目は「序」に終始してしまいました。それでもまだまだ時間が足りないという感もあって「奥が深いぞ」と改めて思いました。
第2段で賢治は前段での「わたくし」の規定が万物に共通すると主張し、第3段では「けれども」それは共通して感じているに過ぎないことを認めた上で、それでも2千年もたった頃には証明される日が来るかもしれないと願望しているのですが、その願望はこの「序」を書いた時点では半ば確信だったと思われます。「青ぞらいっぱいの無色の孔雀」や「きらびやかな氷窒素」、「透明な人類の巨大な足跡」という単なる装飾ではない美しい表現の意味についても例会でもう少し掘り下げられればよかった、と今思っています。言葉については全段通して、「神と鉱質インクをつらね」とか「宇宙塵をたべ」だとか「銀河や海胆が新鮮な本体論をかんがえ」る、etc.とかの表現が非常にユニークで新鮮に感じられるという感想がありました(出版当時は極少数の知識人がそういう受け取り方をしたようです。賢治としては最大限「因果の時空的制約のない表現法だったのでしょうか」。) 最終段2行目の「時間」について、「春と修羅」刊行後の手入れで、賢治が書き直そうとした形跡があるのは、次行の「第四次」と重複しているためだろう(賢治は「第四次」という言葉を「時間」という意味で使っていた)、という意見もありました。 「第四次延長」=「(空間+時間)×永遠」というような意味でしょうか。信仰者賢治らしい深淵な命題についての科学者賢治らしい壮大な実験が「心象スケッチ『春と修羅』」だったとして、果たして賢治の心象に共感できるか、「序」の主張が証明されるにはまだ時期尚早かもしれませんが、賢治の実験にどこまでついていけるか、これから詩を読んでゆくのが楽しみです。 (加齢と共に記憶力が著しく低下しています。例会報告になっていないかもしれません。申し訳ないです。― 歳のせいにするな、という声も聞こえますが。) | |||
宮沢賢治朗読物語 その1 |
|||
|
あーちゃん、いーちゃん、うーちゃんよ、ええか、わしゃ、もう老いぼれじゃ。バタバタしとるうちになあ、わしもいつボテッと死ぬかも知れん。死んだらなあ、2・3日のうちに焼き場で焼かれて、煙になってしまうんよ。あとには、カスみたいな骨のほかにはな〜にも残らんじゃろう。人生ちゅうもんは、そんなもんじゃよ。でな、まだしゃべれるうちになあ、わしの「宮沢賢治の朗読の経験」とやらを少しでも話しておこうと思うんじゃがな、おもろうなかったら、捨ててくれたらええがな。もしも、わしの話の中にやで、ちょっとでもあんたらの役に立ちそうなことがあったら、役立ててくれたらええがな、まあそういうこっちゃ。
| |||
タイトル雑録−おきなぐさ |
|||
|
賢治がその作品にしばしば登場させ、愛した野草。キンポウゲ科オキナグサ属。多年草で乾燥地に生育するそうですが、その生育場所である里山の減少や、農業の機械化に伴い耕作用牛馬が減り、その飼料用の草が繁り、背の低いおきなぐさに日光が照射しなくなり枯れた、等の理由で「絶滅危惧植物図鑑」(環境省刊)では絶滅危惧植物U類に指定されています。2月下旬頃からつぼみをつけ、3〜4月に開花し、5月頃実った種子がふわふわとした白髪白髭のようになるので「翁草」、「白頭翁」(中国)、「ハルミコッ(老婆草)」(韓国)、などと命名されているようです。日本では昔は「ねっこ草」とも呼ばれ、万葉集にも詠われています。賢治は童話『おきなぐさ』で「おきなぐさ」では「あのやさしい若い花をあらわさない」と言い、「うずのしゅげ」と呼んでいます。
| |||
編集後記 |
|||
| |||