ホーチュルリ峠 (Hohturli Pass) |
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今年も天候が悪く歩けなかったら、またエッシネン湖(Oeschinensee)を見ないで帰ることになってしまうので、エッシネン湖側から登ることも考えたが、ブントアルプ側が急な下りになり、危険性が増すと考えて、今年も去年と同じようにブントアルプ側からの峠越えにした。 歩いて見ると暑い夏のせいか、峠には殆ど雪が無く、さほどの難しさを感じずに上り下りできた。 このトレイルは、峠越えの中でもタフで注意が必用なトレイルの1つのはずだが、ブントアルプ側を4〜5歳の子供を連れた夫婦が別々に2組も下りて来たし、幼児を背負い子で背負った父親が私達と相前後しながら急坂を登っていた。 |
ホーチュルリ峠の最後の登り (ブントアルプ側) |
今回のようにトレイルのコンデションが良ければ問題ないが、悪天候時や雪があれば、トレイルの様子はがらりと変わるのではないかと思う。![]() |
一日目;
Griesalp -(1h30min)Bundalp
[合計時間1h30min 標高差430m 最高標高1840m]
シエール(Sierre)の駅でスーツケースをチューリッヒ(zurich)に送り、山の格好でレイヒェンンバッハ(Reichenbach)の駅に着いた。ここから小さいバスでグリースアルプ(Griesalp)の登山口に向かう。30人ほどの高校生の団体が一緒でバス3台が連なって出発した。
去年下りてきた時と同じ景色が広がり懐かしい。岩をくり貫いた急坂の急カーブを窓ぎりぎりに曲がると直ぐグリースアルプ(Griesalp)に着く。グリースアルプのレストランは結構な賑わい。これを横目に歩き出す。
去年はトラック道路の砂利道を下りたが、今回は暑いので日陰がある正規のトレイルを歩く。途中から去年雨の中を歩いたトレイルに合流し、林を抜け登りになる。ここで高校生の団体が追い越していく。同じ宿のブントアルプのベルグハウスに泊まるらしい。
宿の建物は去年と変わっていなかったが、おばさんは去年と違って英語の話せる人だったし、牛舎の2階にある部屋の通路の電灯は人が通路に出ると点灯するオートマチックになっていたり、手洗いはお湯が出るようになっていて便利になっていた。しかし夕食は出てくるのにやたら時間がかかり、しかも前菜もデザートも無く、去年はこんなではなかったのにナーと残念だった。
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ブントアルプから ブリュムリスアルプ(中央)を見る ホートゥールり峠はその右下の一段低い凹み |
夕方までは晴れていて、ブリュムリスアルプ(Bluemlisalp) の山が良く見えた。写真では確認できないが、その山の右下のなだらかな稜線上にブリュムリスアルプヒュッテ(Bluemlisalphutte)が肉眼でも微かに見える。ホートゥールリ峠はその右の少し低く見える所ということになる。
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突然雪で白くなったゼフィーネンフルゲ峠付近 |
夕方、突然の雷雨があり、暫く降った後、去年越えて来た東のゼフィーネンフルゲ峠(Sefinenfurgge Pass)付近が白くなった。今年もホーチュルリ峠は雪でダメになるのかと心配しながらベッドに入った。
2日目;
Bundalp -(1h45min)白い岩の尾根 -(45min)Hohturli峠 -(8min)Bluemlisalphutte-(5min)Hohturli -(1h)モレイン終了 -(45min)Oberbuergli -(1h30min)Oeschinensee
[合計時間 6h 標高差; 登り1000m 下り1315m 最高標高;2837m]
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白い岩の上を歩く、下にブントアルプが見える |
朝、心配した天気も所々曇がある程度で、まずまずの天気。ブントアルプのベルグハウスを出発、最初はなだらかな牧草地を歩き、次いで右手に入って急な登りになる。登り続けると牧草地が無くなって白い岩がむき出しになる辺りから荒々しい山容になってくる。振り返ると出発したブントアルプがよく見える。
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下から見るホーチュルリ峠 |
白い岩を過ぎると、尾根の裏側に入り、ホーチュルリ峠が上に見えだす。トレイルが何処にあるのか分からない程岩だらけだが、右手の岩の壁の下にトレイルが作られている。
3箇所ほど続いてハシゴがあり、最後のハシゴは殆ど垂直に登る。このハシゴを登った所にベンチがあるが何となく不自然。そのあとは緩やかな傾斜の岩棚を歩き、ホーチュルリ峠に着く。
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ホーチュルリ峠 |
ホーチュルリ峠の両側は急斜面だが峠の上は比較的広い。南側のなだらかな尾根上にブリュムリスアルプヒュッテが直ぐ近くに見える。これから下りるエッシネン湖(Oeschinensee)側は深い谷になっていて谷の底にはカンデルシュテーク(Kandersteg)の町が見える。去年歩いたゲンミ峠(Gemmipass)は左手の山の間あたりであろうか。更にその奥にヴァリスの白い山も見える。
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ホーチュルリ峠から見る ブリュムリスアルプヒュッテ |
ホーチュルリ峠からエッシネン湖側を見る |
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ブリュムリスアルプヒュッテ |
少し休憩の後ザックを峠に置いて小屋まで登る。僅か60m程の標高差だが一段と見晴らしが良くなる。
東を見ると、ゼフィーネンフルゲ峠の左奥にシルトホルン(Schilthorn)の回転展望台が見え、その右下は山の形からみてシュヴァルツホルン(Schwarzhorn)、真ん中の低い山はメンリッヒェン(Maennlichen)、右のうっすらと見える大きな山はアイガー(Eiger)に違いない。 去年、ゼフィーネンフルゲ峠からは殆ど何も見えなかったので、遠くではあるが歩いた山域がこんな風に見えるのかと感激した。
北を見ると、今日出発したブントアルプが眼下に見え、谷のずーと先にはトゥーン湖(Thunersee)まで見渡せる。
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ブリュムアルプヒュッテから東方向を見る 中央手前ゼフィーネンネンフルゲ峠 左端シルトホルン その右奥シュヴァルツホルン 中央メンリッヒェン、右端薄っすらとアイガー |
ブリュムアルプヒュッテから北方向を見る 中央下ブントアルプ 左上トーゥーン湖 |
その左にはホーチュルリ峠から北西に伸びる稜線が見え、小屋の南側は氷河を戴くブリュムリスアルプの山が直ぐ近くに迫っていて変化のある景色を楽しむことができる。
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小屋から 下のホートゥールリ峠を見る 右端はトゥーン湖、 その左の山がニーセン(2362m)、 中央台形の山はエルミックホルン( 2742m) |
ブリュムリスアルプの山と氷河 拡大→ 左ヴィシ・フラウ(Wyssi Frau 3650m)、 岩の陰がブリュムリスアルプホルン (Bluemlisalphorn 3664m) |
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ブリュウムリスアルプ氷河(Bluemlisalpgletscher) 奥の白い山がブリュムリスアルプホルン |
景色を堪能した後、エッシネン湖に向け下山を開始、ザラザラの砂礫の急な下りで、スリップに注意しながら歩く。
氷河が次第に上に見えるようになる。氷河が長く尾を引くように下まで下がっていて、見上げた氷河の方が迫力がある。
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下から見るブリュムリスアルプ氷河 |
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下っても山小屋は何時までも見える |
どんどん下って振り返ると、峠の山小屋が良く見える。この小屋は下りの殆どのところから見え、エッシネン湖のホテルに着いてからもまだ見えた。
今回と逆にエッシネン湖から峠に登る場合は、ずーっと小屋が上に見え、しかも以外と近くに感じるので、こちらから上るほうがしんどいのではと思った。
モレインの上に出て左下に小さな氷河湖を見ながら更に下りると氷河が次第に視野から消えて、牧草地に出る。小さな草花を楽しみながら下るとオーバーベルグリ(Oberbaergli)の小屋が見え、目の前にエッシネン湖が突然姿を現す。
しかし空模様がおかしい、真っ黒な雷雲が山にかかり出した。ここから湖畔を通って下りれば早いが、右の崖の上を通った方がエッシネン湖の良さを味わうことができる。迷ったが雨に合っても直ぐホテルに着くことができると、上のコースを取った。
歩くに連れて次第にエッシネン湖の真上になり、断崖絶壁の垂直の壁で囲まれたエッシネン湖の姿を見るようになる。暫くエッシネン湖を左真下に見ながら歩いていると、遂にゴロゴロと雷が鳴り出し、ポツリポツリと雨が降り出した。
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オーバーベルグリを過ぎてからのエッシネン湖 | |
←オーバーベルグリから見るエッシネン湖 |
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真上から見るエッシネン湖 拡大→ | |
大きくせり出した岩の下を過ぎて直ぐ雨具を着る。エッシネン湖が背後に見える位置になった頃には、ピカピカ、ゴロゴロと大忙しの強い雨になってしまった。真上でビカビカ、ガラガラーと来ては首を縮めるがただ黙々と急いで下りるだけ。やっとリフト乗り場へ行く広い道に出て左に曲がりようやくホテルに着いた。ホテルのレストランは避難した人たちで膨れ上がる程、注文を受けるのに従業員はてんてこ舞いで、チェックインを10分程待たされた。ホテルといっても泊まった部屋は山小屋と一緒のドミトリー、しかし他の客はスイスのルツェルンから来た2組の家族だけで広々と使えた。
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大きな岩の下を過ぎて雨具を着る | ホテルからのエッシネン湖、 ブリュムリスアルプホルンは雲の中 |
3日目;
Oeschinensee -(1h)Kandersteg
[合計時間; 1h 標高差; 下り346m 最高標高; 1522m]
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カンデルシュテークより エッシネン湖方向を振り返る |
山は今日が最終日、駅まで歩いたら終い。昨日は最後に雨に合ったが、今は薄い曇り。カンデルシュテークの駅までリフトを利用しても良いが、距離もさほど無いし時間も十分にあるので歩くことにする。一般車の入れないアスファルトの道路と歩道の道を適当に選んで駅に着いた。
このトレイルはあまり見晴らしの良い道ではないので、リフトに乗らずに絶対歩くべしとは言いがたい。しかしそれでもヨーロッパの人は沢山ここを登って来ていた。