2.メイドパスとベラトーラ (Meidpass & Bella Tola) |
参考地図は「Eアウグストボードパス、メイドパス、べラ・トーラ」のページにあります
歩いた日;2010年7月14日
コース;Grubenー(1h 10min)Meide Mittl.Stafel(10min休み)ー(10min)Meide Ob. Stafelー(1h05min)Meidsee(10min休み)ー(35min)Meidpass(20min休み)ー(25min)Lac
de l'Almina(20min昼食)ー(30min)Lac de la Bella Tola ー(45min) 避難小屋(5min休み)−(20min)Bella
Tola(10min休み)−(10min)避難小屋(5min休み)ー(30min)分岐ー(1h)Tignousa
合計時間:6h40min (総合計時間:8h) 標高差: 登り 1,435m 下り1,075m
最高標高:,3,025m
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トゥルトマン谷とトゥルトマン氷河、そしてヴァイスホルン 山は左からビスホルン(4153m)とヴァイスホルン(重なった右4506m))、中央白い山はテート・ド・ミロン(3693m)、右端はレ・ディアブロン(3609m) |
朝7時20分、山岳ホテル・シュワルツホルンを出発。もし時間と体力に余裕があればべラ・トーラ(Bella
Tola 3025m)にも登ることにする。
小川の橋を渡り樹林帯に入りジグザグに急斜面を登る。300m程も登ると樹林帯を抜け牧草地に出て視界が一気に広がり、直ぐに数軒の家が固まったメイド・ミトラー・シュタッフェル(Meide
Mittler Stafel 2234m)に出る。道路を横切り少し登った所に標識がありメイドパスまで1時間35分とある。
登る左手に真っ白い山が見える。ヴァイスホルン(Weisshorn 4506m)だ。トゥルトマン氷河(Turtmann
Gletscher)がトゥルトマン谷(Turtmanntal)へ落ち込んでいる。地図を見ると明日ツェナールから登る予定のトラキュイ小屋(Cab..de Tracuit 3250m)はこの氷河の上の平に見える右端辺りのようだ。こんな所からトラキュイ小屋の場所が分かるとは思いも寄らなかった。
更に登るともう1つの集落のメイド・オーバー・シュタッフェル(Meide Ob. Stafel
2334m)に出る。ここまでは車道があり車も止まっていて、ちょっと拍子抜けするが展望は抜群。振り返ると朝日で逆光ながら昨日越えて来たアウグスウトボードパスとシュワルツホルンが見える。登る左手前にはメイドホルン(Meidhorn
2874m)が威容を誇る。
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メイド・オーバー・シュタッフェルの集落 中央の山はシュワルツホルン、その右横がアウグストボードパス |
メイドホルン(2874m) |
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中央の岩峰・メイドホルンの背後に聳える ヴァイスホルンとツェナールロートホルン |
オーバー・シュタッフェルからは登る向きを北西に変え穏やかな登りが続く。標高が高くなるにつれてメイドホルンの威容さは影を潜め、代わって背後の氷河の白い山が目立つようになり、ツィナールロートホルン(Zinalrothorn
4221m)も顔を出す。
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登る方向を見上げる 左の尖った岩峰の右がメイドパス 右の岩峰はメイドスピッツ |
登る正面に岩山が大きくなる。メイドスピッツ(Meidspitz 2935m)の山で、その左辺りがメイドパスのはずだが何処も峠のように見える。目を凝らすと稜線に繋がるトレイルが見えメイドパスの位置が分かった。
小川を渡り、少しきつい登りを過ぎるメイド湖(Meidsee 2661m)の横に着く。トレイルから少し離れてメイド湖に回り込み、湖越しに写真を撮る。雲一つ無い快晴だったのにいつの間にか雲が出だしたが、それでもまだ良く見える。特にヴァイスホルン(Weisshorn 4506m)とビスホルン(Bishorn
4153m)が1つの氷河の山になって輝き、その左にはブルネック氷河(Burnegggletcher)が美しい。
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メイド湖(2661m)より、東(写真左)〜北(写真右)方向を見る 山は左端がシュワルツホルン(3201m)、その右の凹みがアウグストボードパス(2893m)、右端の一番高い山がヴァイスホルン(4506m)、その左肩にビスホルン(4153m) |
メイド湖からは西に方向を変えメイドパスへの登りになる。峠の手前でトラバース気味に登ると大きな岩の横に着く。そこがメイドパス、時刻は10時半、これなら何とかべラ・トーラにも登れるかもしれない。
左の岩が大きすぎ北側が良く見えないので南側のメイドスピッツ寄りに少し登ると何とか北側の展望が広がる。ここからはヴァイスホルンのピークが一層尖って見える。
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メイドパス(2790m) | メイドパスからヴァイスホルンを見る 左側の氷河はブルネック氷河、右側がトゥルトマン氷河 |
西の方角には特異な形状のベック・ド・ボソン(Becs de Bosson 3149m)が聳え、その右には前に登ったロック・ドルジヴァル(Roc d'Dorzival 2852m)が見え、その左下にはグリメンツ(Grimentz)からのゴンドラ駅・ベンドーラ(Bendolla)、その手前には白い建物のホテル・ヴァイスホルが見える。北を見るとローヌ谷を挟んで左に氷河を載せたレ・ディアブルレ(Les
Diablerets 3210m)と右にはヴィルトホルン(Wildhorn 3248m)が遠望できる。
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西には、左ベック・ド・ボソン(3149m)、 右ロック・ドルジヴァル(2852m)、 左中はベンドーラのゴンドラ駅、 手前の建物はホテル・ヴァイスホルン |
ローヌ谷を越えて 左レ・ディアブルレ(3,210m)、右ヴィルトホルン(3248m) |
昨日歩いた東を見ると、アウグストボードパス越しにフレッチホルン(Fletschhorn
3998m)が顔を出し、その右にはミシャベル山群のナーデルホルン(Nadelhorn 4327m)とドーム(Dom
4545m)も顔を揃える。
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アウグストボードパス越しのフレッチホルン(3993m) | ミシャベル山群の 左・ナーデルホルン(4327m)と右・ドーム(4545m) |
メイドパスで景色を眺めていると、「昨夜シュワルツホルン・ホテルで一緒でしたね」と言って若い男女のペアーが話しかけてきた。オランダ人で婦人は禅の先生で東京や京都は何度か行った事があるとのこと。「メイドパスはドイツ語圏とフランス語圏を分ける境界になっていて、ここからはフランス語になる」と教えてくれた。彼等はオートルートをモンフォール(Mont
Fort)近くのルヴィー小屋(Cab de Louvie)まで通して歩くとのこと。「5・6日後に、逆にモンフォールからプラフルーリ小屋(Cab
de Prafleuri)を経由してアローラ(Arolla)まで歩く予定だ」と私が言うと、「どこかでまた会うかもしれないね」との言葉を残して彼等はホテル・ヴァイスホルン(Hotel
Weisshorn)へ向った。それが、後日、予想外の所での再会となった。
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振り替えって見るメイドパス(岩山の左) |
メイドパスを超えて下ると間もなくホテル・ヴァイスホルンとの分岐に出る。これを右に入りべラトーラ湖(Lac
de la Bella Tola 2579m)への道を取る。このトレイルの岩に塗られたペイントのマークは、赤・白と青・白の両方がある。所々で岩やガレで道が不明瞭になっている為だと思う。確かにガスが出て視界が悪いと少し面倒な気がする。穏やかに下ると先ずラルミーナ湖(Lac
de l'Armina 2652m)に出る。ここで昼食。
池の端で真っ直ぐ下る道と再び別れて右に入る。振り向くと越えて来たメイドパスが良く見える。
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スキーリフトの鉄塔近く(2624m)から見る南の眺望 |
ゆるく登りながら不明瞭な道を北に向かうとスキーリフトの鉄塔の下を通る。地図上で2624mの地点で丁度高台になっていて北の方角が開ける。雲が多くなったが山はまだ良く見える。
ダンブランシュ(Dent Blanche 4357m)とグラン・コルニエ(Grand Cornier 3962m)が重なって大きく聳える。その右にはモワリ氷河(Glacier
de Moiry)が真っ白だ、その右には懸垂氷河を持ったポワント・ド・ムルティも見える。
ダン・ブランシュの左には順にポワント・ド・ジナル(Pte de Zinal 3780m)、モンデュラン(Mont Durant 3713m)、黒くベッソ(Besso 3658m)、オーバーガーベルホルン(Ober Gabelhorn 4063m)、手前に大きくレ・ディアブロン(Les Diablons 3609m) 、そして一番左がツィナールロートホルン(Zinalrothorn 4221m)。
雲に隠れて見えないのはマッターホルン(Matterhorn 4478m)だけのようだ。
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避難小屋からの南の眺望 |
鉄塔の下を過ぎ、ガレ石のトレイルを過ぎると間もなくべラ・トーラ湖(Lac de
la Bella Tola 2579m)に出る。名前負けするような小さな池。この横を通ってべラ・トーラ山(Bella
Tola 3025m)の真下(2590m)のトラック道に出る。時計は12時20分。ティニューサ(Tignousa)で15時30分のゴンドラに乗れば今日泊まるツィナール(Zinal)に17時半には着くが、これを過ぎるとバスが2時間後まで無くツィナールの宿の夕食の19時に間に合わなくなる。あと3時間でべラ・トーラを往復してティニューサまで歩かねばんらない。ちょっと厳しいが万一遅れても心配なのは夕食のみと割り切ってベラ・トーラの急なジグザグの登りに取り付いた。
息切れしない程度に必死に登り避難小屋(2900m)で小休止、ザックを小屋に置いてここから空身で登る。
前峰のロートホルン(Rothorn 2998m)に繋がる尾根に出て右のベラ・トーラの頂上に向かう。13時25分頂上。頂上の標識にティニューサまで1時間45分とある。15時半までは未だ余裕がある。落ち着いて展望を楽しむ。
雲が多くなったがそれでも360度の展望。ヴァリス(Valais)地方の名峰が並ぶ。サース谷(Saastal)の東側のラッギンホルン(Lagginhorn
4010m)や西側のミシャベル山群のドーム(Dom 4545m)などが連なって見え、その右にはビスホルン(Bishorn 4153m)とヴァイスホルン(Weisshorn
4506m)が大きく聳える。ヴァイスホルンの左のブルネック氷河(Brunegg Gl.)と右のトゥルトマン氷河(Turtmann Gl.)が素晴らしい。先ほど越えてきたメイドパスも、丁度ヴァイスホルンノの真下に小さなV字となって見えている。
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ベラトーラ頂上より、東(写真左)〜南(写真右)方向を見る 遠くの山の左からフレッチホルン(3993m)、ラッギンホルン(4010m)、バルフリン(3796m)、中央大きく見えるのがナーデルホルン(4327m)、そのすぐ右はドーム(4545m) 中ほどの山並みは、左にシュワルツホルン(3201m)、その右の凹みは前日超えたアウグストボードパス(2893m)、 右に飛んで一番右端の尖ったピークがツィナールロートホルン(4221m)、その左の一番高い山がヴァイスホルン(4506m)、その左に重なって氷河を乗せたビスホルン(4153m)、その左のブルネック氷河を挟んでブルネックホルン(3833m)、その左にバルホルン(3610m) |
*余談ですが、帰ってから分かったことですが、ヴァイスホルンの左のブルネック氷河を挟んで、バルホルン(Barrhorn 3610m)という右肩が傾斜した山が見えますが、この山の難易度はT3(〜T4、赤白マーク)程度で特殊登攀道具無しで登れる一番高い山の1つのようです。グリューベンの奥のトゥルトマンヒュッテ(Turtmannhutte 2519m)を起点にして登るようです。ちょっと歳をとりすぎたので登るのは夢の中だけになりそうです。
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ベラ・トーラ頂上より南方向 |
更に南のヴァイスホルンの右手にはダンブランシュ(Dent Blanche 4357m)がグラン・コルニエ(Grand Cornier 3962m)と重なって一際大い。鉄塔近くや避難小屋から見えたのと変わらないが、更に険しく迫力ある氷河の山となって見える。
西を見ると、アニヴィエの谷(Val d'Annivie)のグリメンツ(Grimentz)の村が見え、その上に烏帽子のようなベック・ド・ボソン(Bec
de Bosson 3149m)が聳え、その奥にはアローラ(Arolla)の山だろうか、こちらにも氷河の山が見える。
北西にはべラ・トーラの姉妹峰のロートホルン(Rothorn 2998m)が尾根伝いに見え、その先にローヌ谷を挟んで左にレ・ディアブルレ(Les Diablerets 3210m)と右にはヴィルトホルン(Wildhorn 3248m)の氷河の山を遠望できる。
べラ・トーラにも地図にはベラ・トーラ氷河(Bella Tola Gl)としてこの尾根の右下に有ることになっているが、これはどう見ても残雪(雪渓)としか思えないほどのものになっていた。
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ベラ・トーラ頂上よりベック・ド・ボソン(3149m)、 村はグリメンツ 後ろの白い山々はアローラ周辺の山? |
ベラ・トーラ頂上より、姉妹峰のロートホルン(2998m) 遠くはローヌ谷を挟んで 左レ・ディアブルレ(3,210m)、右ヴィルトホルン(3248m) |
<追記>
上の左の写真で遠望する山々の名前がある程度分かりましたので、写真を拡大して記入します。アローラを越えてグラン・コンバン(Grand
Combin 4314m)の近くやモン・フォール(Mont Fort 3328m)周辺の山なども見えていたようです。
雲がかかっていなければ、エギュイーユ・ルージュ・ダローラの後方にはグラン・コンバンが、またベック・ド・ボソンの右後方にはモン・ブラン(Mont
Blanc 4808m)が見えるそうです。
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西方向の拡大 手前の山の左はサスネール(3254m)、そお奥の左端はエギュイーユ・ルージュ・ダローラ(3644m)、真後ろに3つ並んで左からル・プルルール(3704m)、ラ・サール(3646m)、ポワンド・ヴァソン(3489m)、その右はコンバン・ド・コルバシエール(3716m)、 続いてプチコンバン(3663m)、 手前の山に戻って右に尖った山はベック・ド・ボソン(3149m)、その奥の左の氷河の山はロザブランシュ(3336m)でその右にモン・フォール(3328m)が顔を出している |
北を見ると、ベラ・トーラの尾根伝いの黒いブルネットホルン(Brunnethorn 2952m)の先に、これまた氷河の山が見える。レッチェン谷(Lotschental)の北側の山群でチンゲルホルン(Tschingelhorn
3562m)やブライトホルン(Breithorn 3780m)などが連なる。その右横にビーチホルン(Bietschhorn
3834m)が大きく聳えていたが、何故か写真には大方欠けて写っていない。あまり沢山有って撮り忘れたようだ。
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ベラ・トーラ頂上より 手前の黒い山はブルネットホルン(2952m) 奥の白い山は左からレッチェン谷のチンゲルホルン(3562m)、 ブライトホルン(3780m)、グロスホルン(4754m)、 右欠けている山はビーチホルン(3934m) |
ベラ・トーラ頂上より避難小屋を見る |
10分ほど展望を楽しんで、下に避難小屋を見ながら頂上を後にする。姉妹峰のロートホルンは時間がないので登るのを省略。小屋に置いておいたザックを担ぎジグザグの道をトラック道路まで下る。トラック道を少し進むと右側にトレイルがあり、トラック道から分かれる。小川の横を歩くようになっていて、トラック道を歩くよりは随分と気持ちが良い。ゆるい下りを延々と歩くと、以前来たことのあるベラ・トーラ小屋(Cab Bella Tola) に着いたがここもパス。更に下ってゴンドラ乗り場のテニューサに着いた。時刻は15時20分。予定通り15時30分のゴンドラに乗れた。
ツィナールの宿には17時過ぎに着き、夕食前にゆっくりとビールが飲めた。
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小川の横のトレイルから見るダン・ブランシュ、 | ベラ・トーラ小屋(2346m)が見えた |