フランツ・ジョセフ・グレーシャー(Franz Josef Glacier


 地図で見ると、マウント・クック(Mt Cook)の山を挟んでマウント・クック・ビレッジ(Mt Cook Village)の反対側約30〜40kmの位置にフランツ・ジョセフ・グレーシャー(Franz Josef Glacier)とフォックス・グレーシャー(Fox Glacier)の村がある。しかし、ここに行くにはクライストチャーチ (Christchurch)からグレイマウス(Greymouth)を通るか、クイーンズタウン(Queenstown)や ワナカ(Wanaka)からハースト(Haast)を通っていく大回りの道しかない。どちらもバスで8時間以上はかかる。私達はワナカからバスに乗ったがフォックス・グレーシャーまでの間、町や村と言える所は一つも無かった。
フランツ・ジョセフ・グレーシャーもフォックス・ぐれシャーも、海岸線から10km程度のところに氷河があり、ガイド付で氷河歩きを楽しむことができる。フランツ・ジョセフにYHA(ユースホステル)があり、そこに泊ったので、フランツ・ジョセフ・グレーシャーの氷河歩きに参加した。
  フランツ・ジョセフのウォーキングコースは、西海岸に面する多雨地帯の山中のため、苔とシダがからまった深い森林ばかりで、展望所以外は、周りの景色をほとんど見通すことができなかった。 ガイド付き氷河歩きを含め、3箇所歩いたので紹介します。
Franz Josef の村から, 
この谷の奥に氷河がある。 スケッチ

フォックス・グレーシャー の氷河には行っていないので、フランツ・ジョセフ・グレーシャーの氷河とどちらが良いのか比較ができないが、フランツ・ジョセフの村 は山に囲まれた感じなのに対し、フォックス・グレーシャーは山際ながら、西に広く平原が広がっていて開放的な感じがする。YHAに泊らないなら、フォックス・グレーシャーの宿を選んだ方が良いかもしれない。

フランツ・ジョセフのYHA(ユースホステル)は新しくて、大きくて、綺麗で、シャワーなどの設備も非常に良かった。利用したYHAが多いというほどでもないが、ワナカ(Wanaka), アーサーズ・パス(Arthur's Pass), カイコウラ(Kaikoura), マウント・クック(Mt Cook), ハンマー・スプリング(Hanmer Springs)等の他のYHA と比べて各段に良かったように思う。一番辺ぴな所で、期待もしていなかっただけに、全くの驚きだった。

@ Glacier Day Walk Guides:8h
A Glacier Valley Walk : 1h 20min returnB Sentinel Rock Walk :20 min return

C Alex Knob Track :
  8h return

D Roberts Point Track : 5h return

E Tartare TunnelsWalk:1h 20min return 
 
@はガイド付きで氷河の上を歩 く1日コースABは氷河が見えるショートコース。Cは尾根から氷河を見るコースDは近くで氷河を見るコース。Eは林の中のショートコ−ス。
        @CEは歩いたコース


 レイク・マセソン(Lake Matheson) の湖面に、マウント・クック(Mt Cook)とマウント・タズマン(Mt Tasman)の山が映った姿は、他に類を見ない美しさと言われ、ニュージーランドの代表的な景色の1つとして良く写真で紹介されている。この湖は、フォックス・グレーシャーの村外れにある。行った日は、あいにく、山が雲の中で、ただの湖だった。末尾に紹介しています。
 

インターネット情報
 *リンク
・Franz Josef Glacier 近辺のDOCトレイル(英):Franz Josef Area 
・Franz Josef と Fox の Glacier 全般の案内と :Glacier Country
ウォーキングコースの簡単な案内(英)
 ・ガイド付氷河ウォーキング(英)       :Franz Josef Glacier Guides

現地で入手する情報
 ・ ザ・グレーシャー・リージョン、レイク・ウォンバット・アンド・アレックス・ノブ・トラック(The Glacier Region, Lake Wombat and Alex Knob Track): DOCで$0.50

 ・ザ・グレーシャー・リージョン、フランツ・ジョセフ・グレーシャー・アンド・センチネル・ロック・ウォーク
  (The Glacier Region, Franz Josef Glacier and Sentinel Rock Walks): DOCで$0.50


 ・フランツ・ジョセフ・グレーシャー・ガイド (Franz Josef Glacier Guides)の事務所で氷河ウォーキングのパンフレットを入手 
 



@全日コース、氷河ウォーキング

歩いた日 :2002年12月18日

コース
 前日にフランツ・ジョセフ・グレーシャー・ガイド(Franz Josef Glacier Guides)のオフィスに行き、ガイド付氷河ウォーキングの予約に行く。他では経験できないと思い、一番歩きがいがありそうな、全日コースウォーキングを申し込む。他に半日コースや、ヘリに乗り、氷河の中央付近に降りて2時間くらい歩くのや、氷河の上の山小屋付近に降りて1日歩くのなど、色々コースがあるようだ。

 朝8:30にオフィスに行く。専用のクランポン( Crampon:アイゼン)、専用の靴、靴下、アイス・エイクス(Ice Axe:ピッケル)、それとゴアテックスの分厚いレインコートを貸してくれる。
 東洋人は我々のみ。年寄りも我々のみで、若い人が多い。バス1台50人の客を乗せ、9時に出発。グレーシャー・ロード(Glacier Road)の終点で降り、ここから約30分グレーシャー・バレー・ウォーク( Glacier Valley Walk)の道を歩き氷河の末端に着く。ここから10人単位のグループに分かれ、それぞれにツルハシのように大きなピッケルを担いだガイドが着く。女房と私のグループには若い女性のガイドが付き、アイゼンの履き方や歩き方の指導を簡単にすると、直ぐ氷河に取りつく。ガイドの女性はツルハシで氷をカットし、ステップを作りながら進む。クレパスには幅50cm程度のアルミの簡単な橋が懸けられていて、それを渡る。フランス人の女性が橋を見てキャーと悲鳴をあげ、尻込みする。引き返すのかと思ったら、なだめすかして何とか渡らせた。さすがはガイド。
氷河の上を歩く
 3箇所ほどクレパスを渡った所で、ガイドがレインコートを着るように言う。晴れなのに何故かと思ったら、人がやっと通れる氷の壁に入り、起伏の激しい氷の間をすり抜けて昇り降りする。厚手のレインコートが必要なわけが分かった。 ガレ石が氷に乗っている場所で昼食をとり、15分休憩。 午後は更に起伏が激しくなり、ガイドは盛ん

ツルハシでステップを切り、トンネルをくぐったり、水のはった溝をトラバースしたり、結構変化のあるルートを歩かせてくれる。
クレパスを渡る

 氷が折り重なった部分の深い清んだブルーの色が美しい。歩いている氷河の上の方を見渡すと、遥か遠くまで氷河がぎざぎざに重なり合い波打っているように見える。2時過ぎに下りに入り、3時ごろ登る時に渡ったクレパスの橋に出る。時間が経った為、ぐらぐらで、固定のピンを打ち直す。これを見て例のフランス人女性がまた後退りする。これもガイドが上手に言い含めて渡らせた。
 氷河を下りた後、駐車場までの30分の歩きが長く感じた。自分の靴でなかったのと、歩くのに神経を使ったので今日1日の疲れたがどっと出た。 それにしても不特定多数のお客をちゃんと氷河の上を歩かせ、無事に終了させるあたりはさすがプロと感心した。
 午後5:30、オフィースに戻り借りたものを返却。案内してくれたガイドが 良くやりましたねと挨拶してくれ、歩いた証明にサインをしてくれる。費用は1人$100、充分楽しむことができ、Mieは大喜びだった。



  

C
アレックス・ノブ・トラック / クリスマス・アウトルック往復
  (Alex Knob Track/Christmas Outlook) 

歩いた日:2002年12月19日

コース
Franz Josef -(35min) Track 入口 -(35min) Lake Wombad -(1h 40min) Rata Lookout -(1h)Christmas Outlook -(2h20min) Franz Josef / Total 6h 10min


 昨日の氷河歩きの疲れが残るが、氷河を上から見ようと、アレックス・ノブ・トラック(Alex Knob Track)を歩くことにする。フランツ・ジョセフの村から氷河へのアクセス車道を約2km歩く。歩道がない砂利道で車が通る度に猛烈な砂埃がまき上がり、閉口する。
 トラックに入り、静かな平らな林になる。暫く進むと急坂になり レイク・ウォンバッド(LakeWombad)の分岐になる。案内書には色々な鳥が戯れる神秘的な場所と書いてあるので行ってみる。分岐から往復30分。小さな池で回りはうっそうとしたジャングル。展望は利かず、特別に綺麗というほどでもない。しかも鳥の1羽も見えない。がっかりして引き上げる。もとのトラックに戻り登り続ける。
 次第に苔が多くなり、地面から木の枝先まで一面が苔に埋もれてきた。苔とシダと林だけしか見えないトラックを延々と歩き、漸く氷河が見えるラタ・ルックアウト (Rata Lookout)の展望地に着く。雲が出てきたが、どういうわけか氷河の上だけは青空が出ている。氷河は良く見えるが、期待していたより遠い。氷河を眺めながら昼食をとり、更に登る。また苔むす林に入る。木の幹や枝から苔が垂れ下がり薄気味悪いほどだ。       
Rata Lookout からのFranz Josef Glacier
 クリスマス・アウトルック(Christmas Outlook)に来て、やっとまた氷河が見える。高度が上がった分だけ氷河の上が見えるようになったが、雲が更に増え、かすんで見える。 更にこの先の最終点、アレックス・ノブ(Alex Knob)に向って歩き始めたが、目の前の尾根が黒い雲に覆われ、足元にも霧が漂い始めた。登っても完全にガスの中で視界は利かなくなるので、登るのを止めにして、来た道を引き返し下山した。
Christmas Outlook からのFranz Josef Glacier
 このトラックは、ルックアウト以外はほとんど展望が利かず、しかも氷河は遠くに見え、さほどの迫力を感じなかった。また、トラック の真横や下が、氷河ヘリコプター遊覧飛行のルートになっているようで、ひっきりなしにヘリコプターが飛び、やかましい。
 労力をかける割には感動の少ないコースと感じた。歩いていないので分からないが、もっと近くで見られる ロバーツ・ポイント・トラック(Roberts Point Track)の方が良かったかもしれない。



Eターテアー・トンネル・ウォーク(Tartare Tunnels Walk

天気の悪い日に、時間つぶしに歩ける平坦な整備されたショートコース。

歩いた日: 2002年12月21日

コース
 低い曇で山の姿が全く見えない。身体を少し動かそうと、ターテアー・トンネル・ウォーク(Tartare Tunnels Walk)を歩くことにする。コースの終点にトンネルがあり懐中電灯を持っていくようにとパンフレットに書いてある。フランツ・ジョセフの村のコワン・ストリート(Cowan Street)を抜けた所に、柵があり、開けて入る。細い車道で、道の両側とも、シダと林の密林の中を歩く。高い木の上から、ベルバードと思われる綺麗なさえずりが聞こえ、他の鳥も盛んにさえずる。
ファンテール(Fantail)のツガイが枝の中や、歩いている私達の周りを飛びまわる。同じツガイなのか、別のツガイなのか、姿を消しては、また次々と現われる。この鳥を見ていると、何か幻想的になり、ダリの絵に描かれた鳥のように思えてくる。色んな場所で ファンテいるに出会ったが、何故かここが一番多かったように思う。
 左に谷が見え、谷川の音が響く中を更に細い車道を進むと、突然道がなくなり、くちはてた選鉱の装置が現われ、その横に小さなトンネルが見える。入ろうとしたがトンネルの中には、たっぷりと水がたまっていて、靴のままでは入れない。諦めて帰る。帰り道、Mieは金を見つけると言って張り切って色んな石を拾い上げていたが、もちろん見つかるはずもない。
往復で約1時間少しのショートウォーク。


 

レイク・マセソン、フォクス・グレーシャー
Lake Matheson ,Fox Glacier

現地で入手する情報
    ・ザ・グレーシャー・リージョン、レイク・マセソン(The Glacier Region, Lake Matheson):
      DOCで$0.50で入手できる
歩いた日:2002年12月20日

 雲っていて、山は見えないが、晴れることを期待してYHAを出る。フランツ・ジョセフから定期バスでフォックス・グレーシャーまで1時間の乗車。マセソン湖(Lake Matheson)はフォックス・グレーシャーの村から6kmほど離れているので、自転車(こちらではバイクという)を借りる。レンタル料は1台1日$20。やたらサドルの位置が高く、Mieのも私のも、20cmもサドルを下ろしてやっと足が届く。自分では短足とは思っていなかったがこんなにヨーロッパ系とコンパスが違うものかと改めて感心する。縦長のヘルメットを被り、自転車をまたぎ、ハンドルを握ると、競輪選手のような格好になる。ハンドルが下に付いていて、ペダルを踏むとふらふらして怖い。何度か回りを試走して道路に出る。平原の中、少し
下りの真っ直ぐの道をのんびり走る。4kmほど行くと、右折の道路があり、これを2kmほど走ると駐車場に着いた。駐車場の端に自転車用の柵があり、立て掛ける。カギもかけずにほ放っておいて良いのか心配になるが、どの自転車もカギなどかかっていない。

 駐車場から綺麗なウォーキングコースになっている。大きな案内の看板を見て、湖を一周することにする。東側に見えるはずの山は、定規で線を引いたように300〜400m辺りの標高から上が、すっぽりと灰色の雲で覆われている。
 湖の周りの樹木は綺麗に湖に映っているが山の姿が無く何とも寂しい。山が見えた時の湖に映る姿を想像して我慢するしかない。誰も見に来る人などいないと思ったら、結構、人に会う。
山の姿が無かった Lake Matheson。
絵葉書から借用した(ごめん) Lake Matheson。
晴れの日はこのように鏡に映したように見えるらしい。


 マセソン湖の水の色を良く見ると、綺麗ではない。黒っぽい茶色をしている。葉や樹皮などに含まれるタンニンが湖に流れ込んで黒っぽくなっているもので、湖が鏡のように山を綺麗に映すのは、この黒い茶色の水のお陰ということらしい。
 
 一周約1時間半の平らなウォーキングコースなので、革靴でも歩ける。


 帰りは、車道は僅かな登り勾配になり、その上、向かい風で遮るものが何も無く、必死に自転車をこいでもなかなか前に進まない。サドルが小さく、尻の内側が痛い、自転車をようやく返した時には、尻の痛さに足の痛さが加わり、しばらくの間は、がに股でしか歩けなかった。もっと簡単に走れると思っていたが、やはり、慣れぬことはしないほうが良さそうだ。その後、サイクリングの人を最初に見た時、私の視線は自然に尻に向いてた。見ると、ちゃんと尻当てが付いていた。



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