みーばい亭の
ヤドカリ話
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15.砂中環境改善計画


砂に埋め込んだレンガの仕切り
ゼオライトも新品に更新した





砂を入れて流木やシェルターをセットした状態
左に見えるのが新たに設置したタッパー


ウルトラマンだったか、ウルトラセブンだったか、ジャイアントロボだったか、怪獣王子だったか、シルバー仮面だったか、アイアンキングだったか、ファイアーマンだったか、ジャンボーグAだったか、マイティジャックだったか、サンダーマスクだったかは忘れたが、宇宙人が地底ミサイルを配備して地球侵略を企てるという話があった。
宇宙人曰く、「地球は陸海空の守りは固いが地底は無防備」なのだそうだ。
21世紀(?)の科学的知識を持ってすれば、円筒の先にドリルをつけた「地底ミサイル」では、ドリル部分が地面にめり込んだ時点で本体が逆回転してしまって、1cmも進めずに侵略基地もろとも自爆する・・という事はすぐにわかるのだが、大人の言うことは何でも正しいと信じていた幼少の頃の私は、地底ミサイルの脅威を素直に心配して不安になったものだ。
確かに我々地球人は地底からの攻撃など、まったく気に止めずに暮らしているし、当然何の防衛もしていない。
幸いどこかの国が地底戦車や地底ミサイルを開発したという話は聞かないが、地震や噴火などの自然災害に対しては、まったくなす術もなくやられっぱなしである。
お間抜けな宇宙人も着眼点(だけ)は悪くなかったということだ。

オカヤドカリを飼いはじめたのが20世紀の末だからもうずいぶんになる。
その間彼らが少しでも快適に過ごせるように腐心し、自分なりに飼育環境を改善工夫してきたつもりである。
ただしそのほとんどは地上部分。
水槽内の約3分の1を占める砂中は、砂の質や湿り具合を気にすることはあってもレイアウトという意味ではほとんど手付かずだった。
こんなことでは宇宙人に地底ミサイルを打ち込まれても仕方がない。
というわけで、宇宙人の地球侵略に備えてオカヤドカリ水槽をモデルに地底防衛戦略を考えてみようと思う(ウソ)


ムラサキオカヤドカリやナキオカヤドカリは、砂に潜って脱皮をするが、脱皮用の巣穴を掘る場所は、砂の中ならどこでも良いというわけではなくて、それなりにこだわりがあるようだ。
自然下での脱皮環境は確認したことがないので良く分からないが、飼育下では流木の際や水入れの下などに巣穴を掘ることが多いことから推して、オカヤドカリは、石や木などの安定した固い物にそって脱皮用の巣穴を掘る習性があると考えても良いだろう。
脱皮が近くなって砂に潜り込んだオカヤドカリがしばらくの間ジョリジョリと砂の中を動き回っているのは、砂中環境が単調で脱皮場所がなかなか決まらなかったせいかもしれない。
それならば砂の中に巣穴の拠り所になるものを埋め込んでやれば、脱皮場所を探して砂中を動き回り、他個体の脱皮を邪魔することも少なくなるのに違いない。
では具体的に何を埋れば良いか?
天然石は大きさや形が不揃いで扱い難いし、流木では安定性に欠ける。
コンクリートや金属は安全性に問題があるし、イシサンゴの骨格を埋めてしまうのはもったいない(^^;
固く安全で形が揃っていて入手しやすい物となると、やはりレンガだろう。

・・・と、ここまでは以前から考えていたことだ。
ところが、いざ実行に移すとなると、なかなかタイミングが難しい。
まず、脱皮中の個体がいないことが第一条件だが、複数飼育をしていると全員が地上にそろっていることはめったにない。
なんやかんやと時間が掛かることが予想されるので平日は無理。
大量の砂を洗うことになるから気候や天気が良くないと飼い主のやる気がおこらない。
そんな条件が奇跡的に合致したのが先月の末。
実に3年ぶりのフルメンテである。
さすがに60p水槽の砂を全部取り出すのは大仕事だったが、きれいに洗って新しい砂を入れた水槽は飼い主にとっても気持ちが良い。
レンガは一番大型の個体が充分入れるだけのスペースを開けて画像のように配置した。
左手にはレンガを台にして砂を入れたタッパーを設置してある。
タッパー自体を脱皮スペースとして利用できるのはもちろんだが、タッパーの下部を砂中シェルターとして機能させるのも狙いのひとつ。
つまり自然下における「石の下」の再現である。
とにかく、オカヤドカリ飼育最大の関門である「脱皮」を無事に乗り切ってくれることが、すべての飼育家の切なる願いだろう。

さて、このレンガが防護壁となって脱皮中のオカヤドカリを地底ミサイルから守ってくれるといいのだが・・。


メンテナンスの間に久しぶりの海水&日光浴
当のオカヤドカリたちには迷惑かもしれないが、とりあえず飼い主はさっぱりした気分になる
オカヤドカリのストレスを考慮するのも大切だが、飼い主のテンションを維持するのもまた大切
オカヤドカリのように寿命の長い生き物と付き合うには、そのあたりのバランスを上手くとるのもひとつのコツだと思う
最低限の知識と常識が必要なのはいうまでもないが・・。

2007.6.1

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