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「オカヤドカリを飼う!」ということ


オカヤドカリの飼いかた


オカヤドカリの繁殖


Q & A







オカヤドカリ騒動を越えて・・オカヤドカリを飼う!改訂にあたって

オカヤドカリの商品化は、1935年に東京の坂庄太郎氏と那覇の新垣進明氏の間で取引されたのが最初だと伝えられています。
以後、当時の日本人には馴染みの薄かった南国沖縄の「珍しいカニ」という触れ込みで、おもに露天商によって祭りや縁日などで売られていました。
私も路上にたらいを並べて売っていた様子をよく憶えています。
しかしながら当時はオカヤドカリが10年以上の寿命を持つ生き物だということは、一般にはまったく知られておらず、キリギリスやカブトムシ同様、夏が終われば死ぬ生き物だと誤解されていたため、インターネットの発達によって、飼育情報が一般に広まる1990年代まで、本土に送り込まれたオカヤドカリたちのほとんどすべてが冬を越すことなく死んでしまう運命でした。

日本における「オカヤドカリ飼育情報」の先駆けは1990年代に横浜在住のyamさんが、ご自身のサイトの中に開設された「やどかり研究所」というコンテンツでした。
やどかり研究所(通称ヤド研)の中で紹介されたオカヤドカリの飼い方は、非常にシンプルなものでしたが、水槽に砂を敷きヒーターで加温するという、オカヤドカリ飼育の基本は、ここで確立されたといえるでしょう。
yamさんのサイトは、もともと磯の生き物の採集や飼育関連の情報がメインだったため、オカヤドカリはあくまで「おまけ」的な扱いでしたが、1998年に満を持して日本初のオカヤドカリ情報サイト「ハートミットクラブ」が登場します。
管理人は京都在住のとれもろさん。
国内外の文献や資料をあたり、研究者に直接インタビューまでして収集された貴重な情報を、惜しげもなく詰め込んだ高度な内容のコンテンツは、現在でもオカヤドカリ・サイトの金字塔として、圧倒的な存在感を持っています。
一般の愛好家や販売業者がネット上で発信している情報も、その源流をたどれば、ほとんどすべてがここにたどりつくはずです。
ハートミットクラブが日本のオカヤドカリ飼育の発展に与えた功績ははかりしれません。

ヤド研やハートミットクラブがどちらかといえばアカデミックな情報中心だったのに対し、オカヤドカリ飼育の楽しさを写真日記風に紹介されたのが、girotさんとcaveさんでした。
奇しくもお二人ともプロのデザイナーさん。
そのセンスの良いレイアウトや美麗な画像、洒脱な語り口がとても魅力的で、私も更新されるのを楽しみにしていたものです。
日々淡々とした内容ですが、斬新な飼育情報がいっぱいで、ガジュマル、ユニット式水槽レイアウトなど、現在では常識化している飼育情報の多くが、ここから発信されました。
残念ながらgirotさんは惜しまれつつサイトを閉鎖されましたが、caveさんのサイト「偏屈の洞窟」は現在も公開中で、その美しい水槽レイアウトを参考にされている愛好家は多いと思います。

オカヤドカリ飼育を取り巻く状況がおかしくなったのは2004年、大手玩具メーカー株式会社トミー(現株式会社タカラトミー)が、「ハーミーズクラブ」という飼育玩具を発売したのがきっかけでした。
トミーは生き物であるオカヤドカリをブリスターパックに詰め、小さなプラケース、わずかな砂、プラスチックのヤシの木の玩具、それにケバケバしく着色した悪趣味な貝殻などをセットにして、全国の玩具売り場の店頭に並べたのです。
プラスチックの玩具と同じ感覚で店頭に陳列されたオカヤドカリは、当然、消費者の目の前に無残な死骸をさらす結果になり、この非道な扱いに心を痛めた多くの愛好家による、「反対キャンペーン」がネット上で大々的に繰り広げられることになります。
「飼育セット」と銘打ちながら、このようないい加減な商品を販売することで、消費者から受けるであろう反発を予測できなかった大企業の無神経さには呆れるばかりですが、トミーは数多の批判を受け流してなんと翌年もハーミーズクラブの販売を継続、さらにそれに便乗して大手ペット用品メーカーの株式会社マルカンまでもが、同様のセットを発売するにいたって、愛好家の怒りは頂点に達しました。
一方、これらのメーカーの商品やその他の関連商品、そしてオカヤドカリそのものを取り扱う便乗通販業者がネット上に乱立。
明らかな密猟個体や密輸入個体を堂々と販売し、宣伝のためにヤラセやなりすましなど様々な手段を駆使して各所の掲示板やブログに進入、都合よく曲解した嘘情報をネット上にばら撒きました。
反トミー・キャンペーンを展開する愛好家たちは、そのような新規参入業者に対しても、手当たり次第にモグラ叩き的な批判を開始、その結果、議論の方向性が見失われ、説得力のない支離滅裂な誹謗中傷がネット上に溢れることになります。
結局、根幹的な問題は解決されることなく、騒動は自然消滅的に終息してしまい、なんともやりきれない気持ちだけが残りました。

現在、オカヤドカリを飼育し、ブログなどで情報を発信しておられるのは、かつてのおかしなブームや業者の思惑とは関わりなく、純粋にオカヤドカリ飼育を楽しまれている方々だと思います。
そのような現状を受けて、この度みーばい亭サイトのオカヤドカリ情報コンテンツを一部改訂致しました。
できる限り騒動当時の攻撃色は排除したつもりですが、管理人の性格上、多少過激な部分が残っていることはご容赦願います(笑)

旧態依然としたサイトですが、愛好家の皆様の情報交換の場としてお気軽にご利用いただければ幸いです。


2010年9月20日 管理人記

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