★サイド・ノート★
仕事を通じて考えたことや思ったことを掲載します。
治具・抜き型メーカーとしての意見ですが、参考になるでしょうか・・。
☆コンベア末尾でのトリミングについて
最近、よく見かける作業形態がこれです。
ダイカストマシンに取り出し機をセットし、製品をコンベア上に落とします。
数mのコンベア移動の間に扇風機等で冷却し、その末尾でプレス処理をします。
これですと、鋳造士がプレス行程をカバーできるため、経費節減の柱として
中小企業を中心に多く導入されています。
私共のような零細企業の得意先となっているわけですが、プレスメーカーとしては
一番条件の悪いプレス計画となります。
最大の理由として、プレス時における製品温度が一定しないことが有ります。
夏場と冬場、金型温度が上昇しきっていない打ち始めと金型温度が安定したとき。
製品温度が50度違えば確実に「かじり」が出る抜き型で、上記の二つは大きな要因になります。
そのために、計画段階で有る程度の熱膨張率を見込み、更にクリアランスを考慮して制作します。
しかし「湯道」部分の蓄熱量が大きいため、製品ピッチと製品での膨張率を変化させる必要が有ります。
このようにして計画された抜き型であっても、現場へ導入された時点において調整が必要です。
よって、コンベア末尾でトリミングを使用する場合、製品を極力「一個取り」とし、
「ゲート残り」「欠け込み」「かじり」「押さえ傷」等が有る程度発生しても
支障のない製品を選択することが重要です。
☆抜き型のクリアランスについて
「ゲートやオーバーフロー部分はキッチリ、その他はラフに・・。」
現場サイドからの要望として、よく聞かれる声です。
抜き型メーカーとして、できない作業ではありませんので仕方なく了承します。
ゲートが一方向から入り、オーバーフローが残り三方に有れば理論的には有効な方法ではあります。
しかし、最近の複雑になってきた製品構造や、鋳造技術・金型加工技術等の向上により、
今までなら量産に適していないような製品形状でもベースに乗るようになってきました。
その結果、製品形状そのものを抜き型ガイドとして利用するしか手だてのない場合が多くなっています。
そういった製品を上記のような方法で制作すると、「位置が決まらない」状況になります。
手法としては抜き型上部に突出形状を設けて、製品のスライドガイドとするしか有りません。
バリの出ないダイカスト製品という物は存在しませんので、金型が古くなるにつれて邪魔になってきます。
ラフに作ると言う事と、入りやすいと言う事を同一に考えることができなくなっている状況を
そろそろ認識して行く時期になっていると考えられます・・・。
☆気温と室温と精度
「きつい・・。」「セットできない・・。」「公差から外れている・・。」
タイトルから想像できる通り、温度変化による収縮の影響です。
加工場所の温度管理は、広い空間のエアコンディションという壁が立ちはだかります。
☆クリアランスと膨張率について
勘違いされる事のと多い箇所です。
膨張=大きい→冷えると小さくなるから隙間ができる
円や四角、六角など頂点が同一円上に取れる製品であればこの理論は成立します。
しかし、そうでない場合この理論は見事に破綻してしまうのです。
☆抜き型における精度
☆抜き型のメンテナンス
☆無給油プレスの要望
☆耐用ショット数