令和5年12月号(第161号)     トップページ  年月別リスト 地域別リスト
栄町通
SAKAEMACHI TORI
 兵庫県 神戸市中央区栄町通 ほか 神戸市HP

Feel KOBE HP




 海岸通の1本北側の通りは、栄町通と呼ばれ、明治から昭和初期にかけて金融街として文字通り大いに栄え、銀行や保険会社等の重厚な様式建築のビルが建ち並んでいた。
 残念ながら、第二次大戦や阪神淡路大震災を経て、そのいくつかは失われてしまったが、堅牢な造りのおかげで、生き残った建物も少なくなく、またその文化財的価値が見直されて修復やリニューアルが施されて新たな町並みが形成されている。
 特に2001年に地下鉄海岸線が栄町通りの下に整備され、利便性がアップしたため、周辺地区は高層マンション街へと変身しつつある。隣接して東側に元町・三宮地区、西側にハーバーランドと神戸を代表する商業地区が控えているため、栄町エリアは新しい都心居住地区として注目されつつあるようだ。
①毎日新聞神戸支局 ②みなと元町駅 神明別館 ④旧三菱銀行神戸支店  
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  ①毎日新聞神戸支局  大正14年に、渋沢栄一が発起人となって設立された横浜火災海上保険会社の神戸支店として建築され、昭和28年に毎日新聞神戸支局(現在は神戸支社)となった。関西建築界の長老的存在だった河合浩蔵の設計による作品ということで、玄関部分のみ保存されている。
②みなと元町駅 明治末期に、渋沢栄一が興した第一銀行の神戸支店として建築された。設計は東京駅の設計者でもある龍野金吾である。龍野式レンガ造と呼ばれるデザインで、急速に高層マンション街化しつつある周辺エリアの中でも、充分その存在感を示している。現在は、地下鉄海岸線「みなと元町駅」として活用されている。
③神明別館 帝国生命保険神戸出張所として大正10年に建築された。その後、NHK神戸支局や、㈱フットテクノの事務所を経て、現在は「あかふじ米」で知られている㈱神明が所有している。様式建築ながら、ごてごてした装飾を抑えた優雅なデザインだ。
④旧三菱銀行神戸支店 明治33年に完成した神戸初の石造+れんが造の様式建築で、東大1期生である曾禰達蔵の設計。堂々とした風格あるデザインで、当時の神戸市民には驚きの目を持って迎えられたのだろう。戦後、子供服のファミリアの所有を経て、現在は外観保存されタワーマンションに建て替わっている。