令和5年8月号(第157号)     トップページ  年月別リスト 地域別リスト
神戸海岸通 2
KOBE KAIGANTORI
 兵庫県 神戸市中央区海岸通 ほか 神戸市HP

Feei KOBE HP




 明治初期に海岸線に沿って、現在のJR神戸駅北東側付近から旧居留地の南側に至る道路が整備され、「神戸海岸通り」と呼ばれるようになった。
 当初は、港に向かて木造の外国商館が建ち並ぶストリートだったが、神戸港の発展に伴って外国の企業と競い合うように、日本の商社や海運会社もこのエリアに進出するようになり、重々しい石造様式建築のビルが立ち並ぶ、国際港都神戸の表玄関らしい都市景観を形成するようになった。
 その後、第二次大戦や阪神淡路大震災をへて、これらのビル群は大きな被害を受けたが、歴史遺産を生かしたまちづくりを進めようとする機運の高まりの中、修復や再整備が取り組まれ、数多くの名建築がよみがえっている。
 さながら、我が国の近代建築を開拓していった著名な建築家たちの作品が建ち並ぶ「建築文化遺産通り」と呼んでもいいのかもしれない。
⑤チャータードビル ⑥商船三井ビルディング ⑦海岸ビル ⑧神戸メリケンビル  
 ←画像をクリック  
  ⑤チャータードビル 旧チャータード銀行神戸支店の建物で、J.H.モーガンの設計により昭和初期に建築された。正面にイオニア式円柱を3本配した端正で気品あるたたずまいである。現在は、この建物が持つ雰囲気を生かしたレストランや物販店として活用されている。
⑥商船三井ビルディング 旧大阪商船神戸支店として、渡辺節の設計より建築された。交差点の角に向かって玄関を構え、玄関を中心に両翼を拡げ、優雅さと威厳とを兼ね備えた堂々とした外観で、に入港する商船向かって会社の威勢を誇っているような姿だ。
⑦海岸ビル 旧三井物産神戸支店として大正期に建築された。阪神大震災で全壊認定を受けて、低層部が外観保存されたうえで、超高層ビルに生まれ変わった。古典様式建築を基調として、細部に幾何学的な意匠が配置されている。小寺家厩舎や神戸地裁を設計した河合浩蔵の作品。
⑧神戸メリケンビル 大正期に旧日本郵船神戸支店として建築され、「神戸郵船ビル」として親しまれてきたが、2019年に所有者が変わり、このビル名称に変更された。メリケン波止場の入り口に建つため、このビル名になったのだろう。阪神大震災の前年に耐震改修が施工されたため、倒壊を免れたそうだ。